日本ハム・西川遥輝が“第2の開花” 逆転優勝に導いた北のリードオフマン

ベースボール・タイムズ

スマート、華麗さの裏側で…

リードオフマンとして日本ハムの逆転優勝に貢献した西川。プロ6年目にして初の打率3割超えも見えている 【写真は共同】

 最大11.5ゲーム差を覆しての逆転優勝を決めた北海道日本ハム。その中で大きな役割を果たしたのが、8月上旬から不動の1番打者に定着した西川遥輝だ。今季はここまでチームトップの41盗塁をマーク。加えて自身初の打率3割超えとなる3割1分4厘(9月28日終了時点)の高打率を残し、リードオフマンとして堂々たる数字を残している。

 振り返ると、昨季までの西川の印象は“スマート”だった。打っては鋭い打球で外野手の間を破り、走っては瞬く間に三塁到達。そのタイムは11秒を切り、「三塁到達スピードは球界ナンバーワン」と他球団の選手も舌を巻く。さらに守備面でも頭上を抜けそうな打球を華麗なジャンプでアウトにするなど、走・攻・守すべてにおいて“華”があるというイメージだった。

 ただその一方で、変化球に対し、簡単にバットが空を切り、1番を担いながら100を超える三振数の多さは、“淡白さ”と映り、時に“集中力の欠如”が目立ってしまうプレーヤーでもあった。象徴的だったのは昨年7月20日の東北楽天戦(札幌ドーム)。平凡なレフトフライを捕球後、アウトカウント間違えてスタンドのファンにボールをプレゼントしてしまったあのシーン。そうした“負の面”もあり、まだ2年連続盗塁王が狙える可能性がありながら、昨季終盤の9月には負傷した訳でもない中で、屈辱の2軍降格を命じられたのだった。

不振を乗り越えての上昇カーブ

 元々、将来を嘱望されていた逸材だった。智弁和歌山高時代から注目を集め、2010年ドラフト会議で2位指名を受けて日本ハムに入団。高卒2年目、栗山英樹監督の就任初年度の2014年に1軍デビューを果たすと、4年目の2014年には43盗塁をマークして盗塁王のタイトルを獲得した。しかし、攻守で精彩を欠いた昨季は、大きな批判を浴び、V逸のひとつの要因にも挙げられた。

 しかし、この苦い経験が西川の糧になる。まずは意識の変化。今年は春先から周囲に「今年はやります!見ていてください!」と自ら発言し、がむしゃらに汗を流した。その意欲、威勢のいい発言とは裏腹に、今季序盤は慢性的に抱えている右肩痛の影響で打撃が安定しない時期が続き、「痛みとはずっと付き合っていかないと…」と沈んだトーンで話すこともあった。実際に、4月を終えた時点では打率2割3分5厘。5月17日には打率2割1分1厘にまで数字を下げた。

 しかし、5月下旬から6月の声を聞くとともに打率も徐々に上昇。8月には月間打率3割8分3厘をマーク、一気にパ・リーグ打率ランクの上位に顔を出すようになった。そして、7月31日の福岡ソフトバンク戦から9月24日までの実に約2カ月、45試合もの間、連続出塁を継続してみせた。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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