【UFC】中村K太郎、連勝でランカーとの戦いへ「気持ちの部分で負けないことが大事」

スポーツナビ

10月の「UFCファイトナイト」で復帰後4戦目に臨む中村K太郎にインタビュー 【Zuffa LLC】

 米国の総合格闘技団体「UFC」に参戦する日本人ファイター・中村K太郎。昨年、UFCに復帰し、ここまで3戦2勝1敗。2006年から08年に参戦していた際は1勝も挙げることができなかった(3連敗)が、復帰後は得意の裸絞め(リアネイキッドチョーク)で勝利を奪い、米国での戦いも軌道に乗り始めた。

 その中村の次戦が現地時間10月1日に行われる「UFCファイトナイト:リネカーVS.ドッドソン」(米国・ポートランド)で、ブラジルのエリゼウ・ザレスキ・ドス・サントスと激突する。ここまで20戦15勝5敗で、強烈なパンチを持つ選手に、どのように立ち向かっていくか。

 今回は試合を控えた中村にインタビューし、試合に向けての意気込みなどを聞いた。

ハードパンチャーにびびらずに

――いよいよ次戦が近づいてきましたが、現在の調子は?

 もうバッチリです。

――前回の試合が7月で今回は2カ月半という準備期間での試合となります。

 自分としては間が空かない方がしっかり練習できますし、追い込んだままいけると。ダメージも多少ありましたが、練習をさぼらずに試合に臨めると思います。

――対戦相手はブラジルのエリゼウ・ザレスキ選手ですが、カポエイラなども学んでいる選手のようですが?

 それほどカポエイラ感はないですね。時々クルクルと回って後ろ回し蹴りを出してくるぐらいですが、どちらかというとパンチが得意な選手という印象で、その対策をしてきました。パンチャーに対してやりづらいということもないですが、そういう映像を見たことで飲まれないようにし、びびらないようにするメンタルが重要な部分かと思っています。

――準備ができてバッチリだと?

 バッチリと言うと「そんなに自信あるのか?」となるので、不吉なことを考えちゃいますが(笑)。試合に対しては何が起こるか分からないので、バッチリだと思ったことはないですね。

UFC勝利の要因はメンタルの変化

昨年UFCのリングに戻ってから3戦2勝1敗。勝利の要因はメンタルの変化だと話す 【Zuffa LLC】

――昨年UFCに戻ってからは2勝を挙げています。06年にUFC初参戦の時は3連敗という結果でしたが、以前と今回の参戦で変化はありますか?

 まったく違うと思います。米国に行ったということも重要ですし、技術面で言うなら細かい技術はだいぶ変わったと思います。(最初に参戦した際は)ただ練習をして、やるだけという感じでした。自分の感覚だけでやっていた部分があって、相手がどうきたらどのように対応してというのが、当時は考え切れていなかったです。
 今は(格闘家としての)時間が経ることで知識が蓄積されていき、戦い方とか技術とか、全体的な知識がついて、より相手が嫌な攻撃を考えられていると思います。

 ただ変化で言うと、メンタルの部分が大きいかと思います。今は気持ちの部分で負けないというのが大事なんだなと気づきました。

――以前は気持ちで負けていた?

 そうですね。ダメージを負いたくないというか、長くキャリアを積むためにも、ダメージを負いたくないと思って闘っていて、それが逆に、簡単に打たれて、そのまま流れを引き返せないままやられてしまうというのが続いていました。そこがメンタルの要素だと思うのですが、その点が変わってきましたね。

――そのように考えるようになったターニングポイントは?

 昨年7月のDEEPウェルター級タイトルマッチ(対悠太戦、1ラウンドにチョークスリーパーで勝利)ですね。あの辺りからそう考えるようになりました。相手がボクシングが丁寧な選手で、ストライカーだったので、殴られるだろうなと思っていたので。

UFC再挑戦の連絡の際は「ふるえた」

――その試合後、9月の「UFCジャパン」で再びUFC参戦となりました。それが決まった時の気持ちは?

 めちゃくちゃテンションが上がってましたね。朝7時にマネジャーから電話がかかってきて、日本大会の直前だったので、これはオファーが来たなと。ふるえました(笑)。
 立場的にも日本のウェルター級の中ではトップクラスだったので、マネジャーからは「日本やアジア圏の大会前にはある程度体重を準備しといて」と言われていて、練習して準備もできていました。

――対戦相手は中国のリー・ジンリャン選手でした。

 彼、7月の試合で勝利した後、ドーピングにひっかかってましたね。ただ中国は無洗肉が多いみたいで、飼料に成長ホルモンが使われていて、それを経由していたので、罰せられなかったみたいです。そういう国では食事も注意しないといけませんね。

――やはりUFCもドーピングに関しては厳しくなっているようですね。

 ドーピングを使っている選手がゼロになることは難しいと思うのですが、雑な対応はできなくなっていくので、その部分では完全にフェアになりつつあるかなと思います。

――話を少し戻しますが、UFCジャパンで初勝利を挙げ、今年2月の試合では判定負け(トム・ブリーズ戦)、そして7月の試合では再び勝利を奪ったわけですが、この1年で何が変わりましたか?

 精神的に余裕ができましたね。国内の試合に出ていても、食えているかどうかという社会なので。“格闘家”として、実際食えている選手もいると思いますけど、自分もそう見られたいという自己顕示欲的なものは満たされてきました。それこそこの前の試合で敗れて連敗してリリースとなったら社会的地位がやばかったですからね(笑)。

ランカーと絡み、トップと絡める選手に

勝利を重ね、まずは下位ランカーを破り、さらなる高みを目指す、 【Zuffa LLC】

――そんな中、2勝1敗で迎える4戦目です。この先を見据えると連勝して、ランカーとの戦いも見えてくると思いますが?

 そうですね。そこはそういう発言がふさわしいというか。今はランカーと対戦した経験がないですし、まだそういう立場にいないので、まずは「下位ランカーを1人でも倒して、トップ選手に絡みたい」というような発言ができるようにしたいと思います。

――現状、日本人選手は厳しい状況かと思いますが、やはり日本人選手としてUFCのトップで戦うことが目標?

 今そういうことを言えるのは日本人では堀口(恭司)選手ぐらいだと思うし、水垣(偉弥)も先日コーディ(・ガーブラント)に秒殺されて落ち込んでましたからね。そういうところには行きたいです。しかも重量級だとなかなか難しいので、そういう意味で価値を認められる選手になりたいです。

――それでは最後に試合に向けての意気込みをお願いします。

 最近の試合で負けた時は、少し消極的だったというか。そう思われないように、アグレッシブにフィニッシュを極められるような試合にしたいです。裸絞めで絞めて、毎回勝利して最短でランカーと闘えるようなインパクトを残す試合をしたいと思います。
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