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南ア撃破から1年、輝きを増す立川理道
「新しいジャパンとして次につなげる」

歴史的勝利について「固執することはないです」

日本代表、サンウルブズ、クボタで中心選手として活躍する立川理道
日本代表、サンウルブズ、クボタで中心選手として活躍する立川理道【斉藤健仁】

 ラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表が南アフリカを倒した「ブライトンの奇跡」からはや1年……。あと3年で日本に楕円球の祭典がやってくる。

 カモメが舞う、イングランドの港町のピッチ上で日本の「12」番を背負っていたのは、現在、26歳の立川理道(たてかわ はるみち)だ。身長180cm、体重95kgのインサイドCTB(センター)。エディー・ジャパン時代から積み上げたキャップ(国際試合出場数)は46と日本代表の中核を担っている愛称「ハル」は、今、どんな思いを抱いて2019年に向かって駆けているのか――。


 南アフリカ戦前日、同じポジションだったクレイグ・ウィングの負傷で、急きょスターティングメンバーに抜てき。ボールキャリアーとして、世界屈指のフィジカルチームのディフェンスにも負けず、何度もゲインを重ねて勝利に大きく寄与。その後の3試合でもミッドフィールドで攻守にわたって献身的なプレーを繰り返し、「W杯で成長した選手」として日本の3勝1敗に大きく貢献した。


「南アフリカ戦の勝利はすごく自信になりましたし、いい経験になりました」と立川は振り返ったものの、決して過去の栄光に執着することはない。「(南アフリカ戦に)固執することもないですし、試合の映像もほとんど見ていませんし、忙しくて振り返っている時間もなかったですね」(立川)

「サンウルブズに来て何も後悔はなかったです!」

サンウルブズのジャガーズ戦ではスーパーラグビー初勝利に大きく貢献した
サンウルブズのジャガーズ戦ではスーパーラグビー初勝利に大きく貢献した【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 W杯は特別な舞台ではあるが、現役選手にとっては、まだキャリアの一部に過ぎない。点ではなく、未来に続いている線である。それを証明するかのようにワールドカップ後も立川はピッチの上で体を張り続けた。本人が「ノンストップでしたね(苦笑)」と振り返るように、クボタの中核として、昨シーズンのトップリーグは8試合に出場した。


 さらに、2016年からスーパーラグビーに加入した日本チームのサンウルブズには、日本代表の兄貴分であるHO(フッカー)堀江翔太の「他のチームで出られないより、(サンウルブズで)スーパーラグビーの試合に出た方が絶対プラスになる」という説得も受けて、「堀江さんについていきたい」と参戦を決意。マーク・ハメットHC(ヘッドコーチ)にリーダーグループの一人に選ばれ、慣れない13番やゲームキャプテンを務めるなど、親善試合も含めると16試合中14試合に先発した。


 4月、歴史的初勝利を飾ったジャガーズ戦では試合終了間際にトライを挙げた。「サンウルブズに来て何も後悔はなかったです!」。またスーパーラグビーの合間、6月に開催されたカナダ、スコットランドとのテストマッチでも、もちろん桜のジャージーを身にまとい、カナダ遠征では堀江が休養したこともあり、ツアーキャプテンも務めるなど日本ラグビー界における存在感は増すばかりだ。

試合数増加も「そんなにしんどいという思いはない」

日本代表、サンウルブズ、クボタと休む間もなく試合が続いている
日本代表、サンウルブズ、クボタと休む間もなく試合が続いている【斉藤健仁】

 ただ日本代表、サンウルブズ、トップリーグと日本の選手も、世界の強豪同様、年中ラグビーをする環境になった今、強豪国にならって「日本代表選手は試合数を減らした方がいいのでは?」という議論もある。実際にニュージーランドでは11月の代表期間後の1カ月はボールを持つことも許されていない。またW杯直前のスーパーラグビーでは2試合の休養が課せられていた。


 だが立川が所属しているクボタは今シーズンから、スーパーラグビーで2度優勝に導いた世界的名将の一人、フラン・ルディケを招聘、強化に大きく舵(かじ)を切った。立川はそういった議論があることを承知したうえで「世界がそうなら休みがあった方がいいのでは」と語るものの、クボタではキャプテンに指名されたこともあり、「僕自身は、そんなに試合が続いてしんどいという思いはない。いい環境でプレーさせてもらっている」とも言う。それでも今年から一般社員からプロ契約に変更、自身のコンディションのケアに充てる時間は増やしている。


 同時に、トップリーグに懸ける思いはエディー・ジャパン時代から変わらない。「指揮官がエディー(・ジョーンズ)さんではなくなっても、プレーの質や精度にこだわり、トップリーグからインターナショナルプレイヤーにふさわしいプレーをしようと僕自身も思っていますし、日本代表に選ばれたいと思っている選手も同じ気持ちだと思います」(立川)

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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