ベテランの存在感が光るフェイエノールト 18年ぶりのリーグ優勝へ向け好発進

中田徹

現地記者からも高い評価を得る

期待値は決して高くなかったフェイエノールトだが、首位攻防戦を続けて制したことでその評価も上がっている 【Getty Images】

 フェイエノールトが8月14日に行われた第2節・トゥエンテ戦に勝利し、開幕2連勝を飾った直後、私はフェイエノールト・スタディオン(通称デ・カイプ)に集った番記者たちに、「今季のフェイエノールトは優勝候補か?」と尋ねてみた。

 彼らの答えを集約すると「昨季は年明けに連敗街道を抜け出せず、早々に優勝争いから脱落してしまった。しかし、今季のフェイエノールトはそうはならないだろう。春頃まで優勝争いに参加してほしい。それはフェイエノールトにとって義務だ」といったニュアンスで、優勝することに対する期待値は低いようだった。

 しかし、ADOデンハーグ、PSVとの首位攻防戦を続けて制したことで、フェイエノールトをよく知る記者たちの考えも少し変わってきている。

「フェイエノールトは優勝の最有力候補とは言えないが、優勝候補の1つと言える」(『デ・テレフラーフ』紙、バレンタイン・ドリース記者)

「これから選手層の厚いアヤックスが調子を上げてくるだろう。PSVも強いチームだ。よって、フェイエノールトが本命とは言えないが、優勝候補の1つだろう」(『デ・テレフラーフ』紙、ユルン・カプタイン記者)

「今季のフェイエノールトは非常にコンパクトな陣形を敷いて安定している。格下相手に取りこぼしがないのも強みだ。優勝の最有力とまでは言えないが、優勝候補の1つだよ」(『アルヘメーン・ダッハブラット』紙、ミコス・ハウカ記者)

 ミコスが強調するのは、GKブラッドリー・ジョーンズの存在だ。彼もまた34歳のベテランだ。正GKである ケネト・フェルメールがアキレス腱断裂の負傷を負い、第2GKのワーナー・ハーンも負傷していることから、緊急補強したゴーリーである。

「オーストラリア人でありプレミアリーグでのプレー経験もあるジョーンズは、フェルメールに代表されるオランダ人GKとは全く違ったタイプだ。ジョーンズの守備範囲は広く、さらにパンチングの距離も長い。PSV戦の試合終了寸前のセーブもミラクルだった。オランダでは足元の技術が高く、ビルドアップができるGKが好まれるが、失点に直結するミスも多い。一方、ジョーンズは守備で安定しており、今季はまだ2失点。素晴らしい活躍だ」とミコスは語る。

 オランダ人は英語が得意だ。ブラジル人のボテギンはオランダ語と英語をマスターした。ジョーンズとディフェンスラインのコミュニケーションも、短期間で随分スムーズになった。こうした点も、今のフェイエノールトの堅守を支えているのかもしれない。

勝負強さを身に付けつつある指揮官

指揮官はゲームプランを使い分け、ビッグゲームに勝ち続けることで勝負強さを身に付けているようだ 【Getty Images】

 フェイエノールトは7月24日に行われたプレシーズンマッチで、バレンシアを相手に素晴らしいプレッシングサッカーを披露し、2−1で勝利した。しかし、PSVと対戦した31日のオランダ・スーパーカップでは、前半フェイエノールトのプレッシングが簡単にかわされ、後半には修正を余儀なくされた。

 対戦チームに研究されたことで、プレミアリーグで2勝1分け2敗と苦戦しているレスターが、チャンピオンズリーグのクラブ・ブルージュ戦に3−0で圧勝した。これと似た現象が、フェイエノールトにも起きていたのかもしれない。

 マンチェスター・U戦のフェイエノールトは、プレッシング、ポゼッション、リトリート、カウンターを使い分け、互角の戦いをして勝利を収めた。PSV戦のフェイエノールトはリカバリーする時間が短かったこともあったかもしれないが、相手にボールを持たせ、割り切って後ろに引いてコンパクトに戦い、セットプレーからの一発に懸けていた。

 ゲームプランを使い分け、ビッグゲームに勝ち続けることでファン・ブロンクホルストは勝負強い指揮官に成長しつつあるのかもしれない。

 PSV戦を終えた後、ファン・ブロンクホルスト監督は「ADOデンハーグ戦から続いたトップウィークを最高の形で締めくくることができた。われわれは3位や4位になることを目指してリーグ戦を戦っているわけではない。目指すのはタイトルだ」と語った。

 1998−99シーズン以来、遠のいているオランダリーグの優勝。フェイエノールトは18年ぶりのリーグ優勝という夢に向かって最高のスタートを切った。

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著者プロフィール

中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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