辻沙絵、リオで味わった喜びと悔しさ 陸上転向に未練も、東京でリベンジを

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400で銅獲得もタイムに不満

 辻沙絵(日本体育大)の3種目計6レースに渡るリオデジャネイロパラリンピックが終わった。「今持てる力をすべて発揮して、リオにすべてを置いてくる」。そんなテーマを掲げていたが、初めて臨んだ世界最高峰の舞台は甘くはなかった。

400メートルで銅メダリストとなった辻沙絵だが、出場した3種目はいずれもタイムが不発で悔しさが残った 【写真は共同】

「簡単には全部置いてこさせてもらえるような場ではありませんでした」

 メイン種目と位置付けていた女子400メートル(T47、以下同)では1分0秒62で3位に入って銅メダルを獲得した。しかし、初戦の女子100メートルは13秒30で7位、自身最後の種目となる女子200メートルでは27秒97で7位と満足のいく結果を残すことができなかった。

 辻は100メートルが12秒86、200メートルが27秒08、400メートルは59秒72の日本記録を持っている。リオでのレースはどれも自己ベストには程遠い。銅メダルを獲得した直後には歓喜の涙を、そして表彰式では弾ける笑顔を見せていたが、すべてのレースを終え、大会を振り返った時には悔しさのにじむ複雑な表情を浮かべた。

悩んだ末にハンドボールから転向

1年半前までは健常者とともにハンドボールで活躍。パラ陸上への転向は容易な決断ではなかった 【写真は共同】

 辻が陸上を始めたのはわずか約1年半前のこと。それまでは小学5年生から始めたハンドボールの選手として活躍。生まれたときから右腕のひじから先がないのだが、健常者に混じってそん色のないプレーを見せていた。水海道第二高(茨城)時代には総体や国体にも出場し、スポーツ推薦で日本体育大に進んだ。

 転機が訪れたのは2014年、大学2年の夏だった。高校時代にじん帯を3度も断裂し、大学でもけがに苦しんでいた辻に、ハンドボール部の監督がパラ陸上への転向を打診したのだ。当初はハンドボールへの思いを断ち切れず、陸上部とハンドボール部を兼部して活動していた。

 それでも非凡な才能を持つ辻は、陸上選手として初めて挑んだ国際舞台でいきなり結果を残す。昨年10月にカタールで行われたIPC(国際パラリンピック委員会)世界選手権で100メートルに出場して6位入賞を果たした。いきなり世界トップクラスの選手となり、メダルへの思いを強くする。悩んだ末に陸上に専念することを決めた。

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