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失点増加で不安定な戦いが続く鹿島
守備陣が見たその要因とは?

昌子、植田が分析する失点増加の要因

昌子のCBのパートナーが定まらず、連係が落ち着かないことも失点増加の要因の1つと考えられる
昌子のCBのパートナーが定まらず、連係が落ち着かないことも失点増加の要因の1つと考えられる【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 その要因を分析してみると、昌子のCBのパートナーが植田直通、ファン・ソッコ、ブエノと頻繁に変わることで、連係があまり落ち着かないことや西と山本の両SBが高い位置を取り過ぎて、相手に裏を突かれる回数が多いこと。攻撃陣やシステムの変化によって前からのプレッシングがうまく連動しないことなどが挙げられる。こうした中で、最終ラインの統率役である昌子は、負の連鎖に歯止めをかけようと努力を重ねてきたという。


「セカンド(ステージ)に入ってから、まずSBの位置を修正することに取り組みました。ウチの失点パターンは大伍君や脩斗君が高い位置を取った時、背後のスペースを使われて、クロスを入れられる形が多い。僕らCBも先に触りますが、そのクリアが中途半端になって、セカンドボールを拾われて決められるというパターンが多かった。それを踏まえて、SBの位置を後ろ目にするよう仕向けていきました。


 それ以外にも変化をつけないといけないと思い、CBの位置取りを変え、自分が右、ソッコが左に入る形にしました。自分が右にいた方が大伍君の攻め上がりの特長を消さずに済む。大伍君も僕を信頼して後ろのカバーリングを任せてくれたので、だいぶ問題は改善されたと思います」と昌子は7月23日の第5節浦和レッズ戦(1−2)から8月10日のスルガ銀行チャンピオンシップ、インディペンディエンテ・サンタフェ戦(0−1)にかけての公式戦4連敗を抜け出した後、努めて前向きに語っていた。


 しかし、石井監督の進退問題もあり、鹿島は横浜FM戦、柏戦とリーグ2戦未勝利と再び足踏み状態に陥った。柏戦は右サイドに伊東が入り、CBも昌子が左、ブエノが右と普段と異なる形でスタートしたことも混乱の一因になったのかもしれないが、誰が出ても安定した戦いができなければ、年間王者の座はつかめない。


 セカンドステージに入ってからミスが増え、コンスタントに出場機会を得られなくなった植田も責任の一端を感じているようだ。


「(柏戦を)外から見ていて、単純にラインが低すぎると思いました。もっとラインを上げれば、ディフェンスも楽になるし、みんなも楽になる。(ラインを上げることは)すごくきついかもしれませんが、ちょっとした頑張りでチーム全体も変わってくると思います。失点はCBの責任ですし、そこを全部僕たちが背負うくらいの気持ちでやらないといけない。僕自身も日頃の練習から細かいところにこだわって、チームを軌道に乗せられるようにしたいです。自分が成長しなければいけないと強く感じます」と強調していた。


 ファーストステージでは昌子・植田のCBコンビが機能していたからこそ、通算失点を10に抑えられたと言っても過言ではない出来だった。その好連係を取り戻すことが、鹿島復活への早道かもしれない。

見直しが必要なのは守備陣だけではない

守備陣だけでなく、中盤から前線の選手たちが守備意識を高めることも必要だ
守備陣だけでなく、中盤から前線の選手たちが守備意識を高めることも必要だ【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 加えて、守備陣だけでなく、中盤から前線の守備意識を今一度、高めることも肝要だ。鹿島は世代交代の時期を迎えており、攻守の要である小笠原が出場しない試合も徐々に増えている。激しい寄せを厭わない小笠原がいれば、危ない場面でしっかりとボールを奪ってくれるが、永木と柴崎のコンビになるとその部分では甘くなりがちになる。


 特にデュエル(1対1の競り合い)の脆さという課題を抱える柴崎は守備面のレベルアップに努めなければならないし、永木もゲームコントロールやハードワークといった自身の特長を鹿島というチームでより発揮できるよう仕向けていくべきだ。永木はそんな自覚を強めているという。


「僕も鹿島に来て、少しずつ試合に出られるようになったので、もっと自発的にやっていかなければいけない。下を向いていてもしょうがないし、前に向かって進んでいくしかないと思います」と湘南ベルマーレ時代にはキャプテンマークを巻いていた男は良い意味での割り切りを口にした。


 目下、鹿島は勝ち点14の11位に沈む。年間順位も勝ち点53の3位と、川崎、浦和の2強に大きく水を開けられている。すでにCS出場権を確保しているとはいえ、セカンドステージ残り6試合で復調できなければ、年間王者にも手が届かないだろう。


 差し当たって、9月17日の第12節ジュビロ磐田戦で無失点を目指す必要がある。エース・金崎夢生を筆頭に、攻撃陣の得点力不足も課題だが、失点を限りなくゼロに近づければ、攻撃陣もリスタートやカウンターから勝機を見いだすことができる。それこそが常勝軍団がJリーグ発足以来、積み上げてきた勝利の方程式だ。その原点に回帰すべく、昌子を中心に一丸となって守りの修正を図ることが求められる。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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