【ノア】“悪童”平柳玄藩が11年のレスラー人生に別れ 引退試合も涙はなし「痛すぎて感慨湧かない」

高木裕美

約11年間のレスラー人生に別れを告げたノアの“悪童”平柳玄藩 【横田修平】

 10日のプロレスリング・ノア「FINAL 祭BAYASHI 〜平柳玄藩引退記念試合〜」東京・後楽園ホール大会では、“悪童”平柳玄藩の引退試合が行われ、884人を動員。入門当時、合宿所で一緒に生活していた潮崎豪とマイバッハ谷口、そして、現在のパートナーであるキャプテン・ノアと組んで、杉浦貴&鈴木みのる&金丸義信&タイチの鈴木軍と対戦し、約11年間のレスラー人生に別れを告げた。

【横田修平】

 平柳は04年6月にノアに入門し、05年10月に本名の平柳努でデビュー。08年から師匠・田上明の命名により、玄藩に改名した。13年4月にはSUWAとのタッグでGHCジュニアタッグ王座を初戴冠するも、SUWAの頸椎損傷による長期欠場のため、一度も防衛せず王座を返上。最近はキャプテン・ノアとのコンビ「キャプテンズ」で、顔にペイントを施したり、毒舌マイクで相手チームを挑発したりと客席を沸かせていた。だが、7.30後楽園大会で、突如引退を表明。妻と幼い3人の子供のため、引退後はジブラルタ生命保険会社に就職することを公表した。

 会場入口には、ノアでの先輩であった小橋建太さんやWWEのイタミ・ヒデオ(KENTA)、佐々木健介さん、対戦経験のあった新日本プロレスの獣神サンダー・ライガーなどからの花が並び、東側客席には引退記念Tシャツを着た観客がズラリ。第1試合では、小峠篤司&原田大輔&拳王&大原はじめの4人が、引退記念Tシャツを清宮海斗の頭にかぶせてポーズを決め、平柳へのはなむけとした。

先発を志願するも鈴木軍の猛攻に

先発を志願すると場外へ捨て身のトペスイシーダ 【横田修平】

 背中に「GENBA祭」とペイントを施した平柳は、「約11年、ありがとうございました。最後の祭りだ、楽しんでいけ!」自ら先発を志願。だが、直後に鈴木軍が4人同時にドロップキック。いきなりのピンチに陥った平柳だが、キャプテンのアシストを受けて場外へトペスイシーダを見舞い、ポーズを決めると、早くも玄藩太鼓へ。だが、あまりにも長すぎたため、みのるにカットされてしまう。

自ら先発を志願した平柳だが鈴木軍の猛攻に 【横田修平】

 鈴木軍の猛攻にさらされながらも、平柳はタイチのパンタロンをはぎ取って股間わしづかみ。さらにみのるにも急所握りをお見舞いし、ブレーンバスターで投げてみせる。10分以上のローンバトルに耐えた平柳だが、すぐに再び自らタッチを要求。

最後の対戦相手に杉浦を指名

最後の対戦相手に指名した杉浦に金的攻撃で大金星を狙った平柳だったが… 【横田修平】

 自ら最後の対戦相手に指名した杉浦にエルボーで食らいつくと、トレイン攻撃から顔面にツバ攻撃。玄藩太鼓のリズムで会場と一体化したところで、ミサイルキック、昇龍玄藩を炸裂。だが、2発目はブロックされ、ツバ攻撃も中山レフェリーに誤爆。すかさず鈴木軍がなだれ込み、怒とうの連係攻撃。平柳は杉浦への金的攻撃で最後の大金星を狙うも、杉浦がニーリフト、ラリアット、オリンピック予選スラムとたたみかけると、あえなく3カウントを献上した。

引退試合にもかかわらず鈴木軍にボコボコにされてた平柳 【横田修平】

絶対泣くと思ってたけど、痛すぎて感慨が湧かない

 引退セレモニーでは師匠であった田上社長、選手会長の潮崎、そして4歳の長男・源太君から「おつかれさま」と花束とメッセージを受け取った平柳は「本当はレスラーにもなれないような人間だったのに、当時社長だった三沢さんに田上さんが『そろそろデビューさせてくれないか』って言ってくれて、それでプロレスラーになれました」と、秘話を語り、支えてくれた仲間やファンへ深く感謝。10カウントゴングは、平柳たっての希望でキャプテン・ノアが務めるも、途中から玄藩太鼓のリズムに代わったため、平柳が思わずツッコミ。最後は仲間たちの胴上げで、フィナーレとなった。

【横田修平】

 首筋や胸元を真っ赤に腫らした平柳は「絶対泣くと思ってたけど、痛すぎてそんな気持が起こらなかった。殴られたりいろいろありすぎて、感慨が湧かない。もう少したったら、そういう気分になるんでしょうけど……」と、涙は見せず。「今回、リングに上がったのは長男だけで、娘2人は『イヤだ』って来てくれなかったけど、オレに似ず、かわいい嫁に似て、本当にかわいいんですよ」と、引退を決意する理由となった家族への深い愛を明かし、プロレスラー・平柳玄藩としての人生に別れを告げた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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