錦織、ワウリンカ撃破のポイントは? 取るべき策は「バックハンド封じ」

スポーツナビ

サービスキープが絶対条件

ワウリンカは錦織が苦手とするビッグサーバー。攻略の鍵とは!? 【Getty Images】

――過去の対戦成績は、錦織選手の2勝3敗。格上のワウリンカ選手に勝機はあるでしょうか?

 錦織選手はマリー選手や(ノバク・)ジョコビッチ選手にもグランドスラムで勝っているので、誰に対しても勝機はあると思います。ワウリンカ選手であってもそうです。

 錦織選手にはサーブが良い時と悪い時とで、少し波があるんです。悪くなったらいつも修正はしていて、マリー戦でも途中、あまり入っていませんでしたが、セットを取れていました。この試合についてはファーストサーブがあまり入っていなくても試合ができていましたが、これが毎回続くとは限りません。やはりサービスゲームは非常に大事になってくるのかなと思います。

 後はストローク戦で後手になりたくないですね。ワウリンカ選手は片手バックハンドのストレートなど、ストローク戦の中でも決定力のあるショットがかなりあります。後手にならないようにするためには、サービスをしっかり入って押していくことが大事になってくるでしょう。やはりサービスが入った方が有利に進められるのかなと思います。

――錦織選手が勝つためのポイントを1つ挙げるとしたら?

 サービスもそうですが、ストローク戦における片手バックハンドは応用の範囲がかなり広いので、ワウリンカ選手にバックハンドで強く打たれるようだと、ストローク戦ではつらくなるでしょう。そういう意味では、(錦織選手としては)ボールをうまく散らすというか、うまく動かして十分な体制を取り、バックハンドをリズム良く打たせないようにするというのが大事なのかもしれません。

(ワウリンカ選手は)良いサーブが入れば間違いなく押してくると思うので、錦織選手はどれだけリターンができるかということになってきます。リターンゲームは水ものですから、毎回返せるわけではありません。ただ、錦織選手がサービスをしっかりキープできていれば、必ずチャンスがめぐってくるということを考えると、簡単に自分のサービスは落とせないというのはありますよね。

――となると、錦織選手にとってはサービスキープが勝利の絶対条件ですね。

 そうですね。それがスムーズにできている時は、かなり(勝つ)チャンスはあると思います。やはりサービスキープに苦労すると、リターンゲームに集中力が回ってこなくなって、ブレークチャンスが少なくなってきます。サービスがスムーズにキープできていれば、その分リターンに集中力を割けます。そうなると今の状態のリターンであれば、かなりのチャンスが来るのではと思います。

錦織の攻めのプレーに期待

――錦織選手は2年前の同大会では決勝まで進んだものの、プレッシャーもあって力を発揮できませんでした。当時と今を比べて、錦織選手の成長をどう感じますか?

 当時よりも、確実に自分が強くなっている実感というか、自分の立ち位置を本人がきちんと理解していると思うので、プレー中の落ち着きがあります。以前は良い時はすごく良いのですが、波があったり、がっかりするところがありましたが、今はそういうのは少ないですよね。プレーの質も上がっていますが、精神面・体力面がすごく充実しているので、決勝にいっても2年前と同じようなことにはならないでしょう。決勝も強い相手になると思いますので、優勝できるかは分かりませんが、その可能性はあると思います。

 2年前に比べたら本当に、良いですね。サービスだけは波がありますが、ショットの安定性、自信があるというか。以前も同じくらいのボールを打っていますが、前よりももっと自信を持っていて、これは通用しているという実感を持ちながらプレーできているので、余裕があるような気がします。先ほど言ったように、1週目の格下相手の時は、ベストでなくてもそこそこできれば勝てるというのが、その証だと思います。ここに来てギアを完全にトップの方に上げてきていますから、次もすごく楽しみですね。

――最後に準決勝では錦織選手にどんなプレーを期待したいですか?

 サービスがしっかりキープできれば言うことなしです。錦織選手はマリー戦の時から攻めています。かなりアグレッシブにいっていますが、そういう姿勢はずっと見ていきたいですね。丁寧にやるべきところはやっていて全然問題ないと思うので、チャンスがあったら攻めていくという錦織選手らしいプレーを見たいなと。それがたくさん出れば、(錦織選手の)勝率は、50パーセントよりもちょっと高めにあるのかなと思います。

プロフィール

森井大治(もりい・だいじ)
ジュニア時代から頭角を現し、同期の松岡修造らとともに海外遠征を経験。1990年からはプロとして活躍し、全日本ランキングは最高7位。97年の 引退後はユニバーシアード代表のコーチや監督を歴任。04年に早稲田大庭球部ヘッドコーチに就任し、翌05年から全日本大学対抗テニス王座決定試合で7連覇、女子は06年から6連覇を達成。現在、日本体育大テニス部の監督を務める。

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