【全日本プロレス】諏訪魔が三冠王者・宮原撃破で2回戦へ 秋山が大森を破り2連覇へ意欲

高木裕美

王道トーナメント1回戦、諏訪魔が現三冠王者・宮原を下し2回戦へ 【前島康人】

 全日本プロレスの秋の風物詩「第4回王道トーナメント」が4日、東京・品川プリンスホテル ステラボールで開幕し、755人を動員した。

 今年は16選手が参加し、初戦となるこの日は1回戦8試合を実施。17日、神奈川・横浜ラジアントホールで2回戦、最終戦となる19日の東京・後楽園ホールで準決勝および決勝戦が行われる。この日の結果を受け、横浜での2回戦は、諏訪魔vs.滝澤大志、秋山準vs.長井満也、ゼウスvs.崔領二、ケンドー・カシンvs.青木篤志に決定した。

盟友・ドーリングの技で決着つける

最後は盟友・ドーリングの技で宮原を仕留めた 【前島康人】

 メインイベントでは、前三冠ヘビー級王者の諏訪魔が現王者の宮原健斗を撃破。完全復活ののろしを上げた。

 諏訪魔は今年1月2日の後楽園ホール大会で秋山準から三冠ヘビー級王座を奪取。しかし、その代償として、試合中にバックドロップを放った際に右アキレス腱完全断裂の重傷を負い、王座を返上して治療に専念。7.14後楽園大会で約半年ぶりの復帰を果たした。

 欠場の間に新王者となった宮原は、腰にベルトを巻いて堂々と入場。大先輩を前に臆することなく、ハイキック、ヘッドバットを打ち込むと、諏訪魔もスリーパーでやり返す。宮原の串刺しニー、垂直落下式ブレーンバスターをはねのけ、強引にラストライドで投げた諏訪魔だが、カバーには入れず。大ケガの原因となったバックドロップも決死の覚悟で繰り出すが、カウント3には至らず。宮原はラストライドをウラカンラナで切り返すと、ヒザ蹴り、ジャーマンスープレックス。しかし、シャットダウン式を狙おうとしたところを諏訪魔が力任せに振り切り、ドロップキック、バックドロップを繰り出すと、盟友ジョー・ドーリングの必殺技レボリューションボムでフィニッシュを決めた。

「勝つまで長かった。苦しかった。半年間の地獄を思い出した。でも、勝ててすごくうれしい。自信になったよ」と晴れやかな表情を見せた諏訪魔。自身の欠場中に三冠王者として団体を引っ張ってきた宮原を「世界観を作ったと思う」と評価した上で、「オレにも意地がある」と、その世界観を覆すとキッパリ。ドーリングのフィニッシュ技を出したことについては「オレは復活したぞ。おまえも帰って来いよってメッセージ」と、悪性脳腫瘍と闘病中の盟友に呼びかけた。

秋山は連覇に自信「死角がない」

秋山は同期の大森を下し2連覇への第1歩を踏み出す 【前島康人】

 昨年の覇者・秋山準は同期のライバル・大森隆男を破り、連覇へ意欲を見せた。

 秋山は序盤から大森の顔面をテーブル、鉄柱に打ちつけるラフな攻撃を見せると、さらに頭突き、串刺しニー2連発。さらにフロントネックロック、エクスプロイダーを繰り出すと、大森も雪崩式ブレーンバスター、延髄へのアックスボンバーからの雪崩式バックドロップで勝負をかける。なおもアックスギロチンドライバーを放つ大森に、秋山はジャンピングニーで大森の腕を撃ち抜いてアックスボンバーを阻止。ニーパットをはずした生のヒザを顔面にブチ込み、エクスプロイダー、リストクラッチ式エクスプロイダーとたたみかけて3カウントをもぎ取った。

 入門当時から競い合ってきた大森との対戦を「あいつもオレとやる時は他のやつとやる時とは違って意地を感じるし、苦しめられた」と振り返った秋山は、「今のオレはほぼ死角がない。チャンピオンとどっちが(上か)というところにいると思うんで、優勝します」と、力強く2連覇宣言をした。

ゼウスがボディガーとの“ビッグガンズ”対決制する

パートナー対決は、ゼウスに軍配 【前島康人】

 ゼウスvs.ボディガーの“ビッグガンズ”によるパートナー対決はゼウスに凱歌。春の「チャンピオン・カーニバル」では外敵の関本大介に敗れ、準優勝に終わったゼウスが、団体の頂点獲りへ大きな一歩を踏み出した。

 ボディガーがエプロンでのギロチンドロップ、ハンマーパンチ、リフトアップからのロープホイップなど、丸太のような腕を生かしたパワー殺法を見せれば、ゼウスも雪崩式ブレーンバスター。なおも粘るボディガーにチョークスラム、ラリアット、ジャックハマーを繰り出し、ひと息にマットに沈めた。

「力と力の肉弾戦でやるしかない。体力勝負」という戦いを制したゼウスは、「目標はトーナメント優勝。三冠王者に絶対になってやる」と語った上で、2回戦で戦う崔に対し「チャンピオン・カーニバルでは負けている相手なんで、もう一度相手を研究し直して倒してやる」とリベンジを誓った。

カシン、大事な卵も守り切り2回戦へ

カシンが悪賢い戦いで2回戦へと進む 【前島康人】

 王道トーナメント初参戦となるケンドー・カシンは、8.28「FIGHTING AID」で大怪獣モノから強奪した卵を持参。「孵化すると怪獣が生まれる」という、とんでもなく物騒なものを守り抜きながら、若手の青柳優馬を一蹴した。

 予告通りに卵を持って入場してきたカシンは、大事そうになで回すと、取り上げようとするレフェリーに「触るな!」と命令。コーナーに置いたまま試合をスタートさせる。試合中も、客席に座って休憩したり、自分の代わりに観客をリングインさせようとしたりと、やりたい放題。青柳はクロスボディーで形勢逆転をはかるが、カシンはちゃっかりボンバー斉藤レフェリーも巻き込んでダウンさせると、レフェリー不在の間に攻め疲れた青柳を飛びつき式腕十字固めで仕留めた。

 試合後、横浜での2回戦で戦う青木がエプロンから挑発すると、カシンは「おう、次やろう!」と握手をした次の瞬間、蹴りで襲撃。怒った青木はカシンの大事な卵を奪おうとするが、カシンがひと足はやくつかんで逃亡した。「今、生まれるかもしれないから気をつけた方がいいよ」と、卵を抱えたカシンは、「青木も苦労したな、あんなに白髪が生えて。青柳も大仁田厚みたいな嘘つきにダマされないように気をつけなくちゃいけないな。これを教訓に頑張ってほしいよ」と我が物顔で語った。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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