錦織ヒヤリ、追い上げかわし初戦突破 楽勝ムードが一転、甘くない全米OP

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錦織、35歳のベテランに苦戦

1回戦を楽勝ムードで進めていた錦織だったが、経験豊富なベッカーの巻き返しに苦戦した 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 全米オープンの第2日(現地時間30日)、男子シングルスで第6シードの錦織圭(日清食品)が、新装されたグランドスタンド・コートの第1試合に登場、ベテランのベンヤミン・ベッカー(ドイツ)の追い上げをどうにか振り切り、3−1で2回戦に駒を進めた。

 第1セット、第2セットをともに6−1で圧倒し、そこまでの試合時間はわずか49分。ポイント数では2倍の差をつけ、楽勝ムードが漂っていた。しかし、したたか者であふれかえったツアーはそれほど甘いものではない。ベッカーのランキングは現在96位。第6シードの錦織との技量の差は明らかだったが、10年を超すツアー経験を持つ35歳のベテランは、この日のコンディションを計算していただろう。

 大会前日からニューヨークは急激に暑くなっていた。気温32度はそう高くなくとも、今年オープンしたばかりのショーコート、グランドスタンドには直射日光がジリジリと照り付け、逃げ場がない。リオ五輪に出場した錦織は心身をすり減らしているはずだから、一泡吹かせたいベッカーとしては、長丁場の戦いをイメージしていただろう。

「第3セットに入ってから、プレーがガラッと変わりましたね。彼が良くなった。第4セットの立ち上がりも自分は良くなかったので」(錦織)

 ベッカーに少しでも勝機があるとすれば、炎天下のフルセットで錦織が崩れてくれること。セットカウント0−2から集中力を高め、第3セットの第5ゲーム、15−40からの錦織の攻撃を必死にかわしてサービスキープ。さらにベッカーは第8ゲーム、この試合で初めてのブレークポイントを生かし5−3とリード。続く第9ゲームで錦織にブレークバックのポイントを握られても、懸命に逃げ切って1セットを奪った。

 セットカウントで2−1とリードしていても、錦織にそれほどの余裕はない。逆に、気持ちを貯めていたベッカーは、第4セットに入っても時速200キロ前後のサーブで畳み掛け、第3ゲームを先にブレーク。

リオ五輪で熱戦を繰り広げた後の全米オープン。難しい初戦となったが、どうにか乗り越えた 【Getty Images】

 ただ、追い上げる側に、そもそも余裕があったわけではなかった。第4ゲーム、錦織は3つのダブルフォルトにも助けられてブレークバック、命拾いした。錦織のファーストサーブの威力が減退していただけに、そのままファイナルセットに持ち込まれていれば、さらに危ない展開になっていただろう。

 五輪というイレギュラーな日程を乗り越えて戻って来たグランドスラム、その難しい入り口を、錦織はどうにか乗り越えた。

「(五輪前の)トロントは決勝まで進んで試合もできたし、(後の)シンシナティは3回戦負けで早く終わり、心身ともに休養できた。その点ではいい感じでこの大会に入れたと思います」

 2回戦の相手は、予選上がりのカレン・カチャノフ(ロシア)。グランドスラム本戦初登場の20歳も、気は抜けない。

奈良は順当に初戦突破

 この日のデイセッションでは、男子は第3シードのスタン・ワウリンカ(スイス)、グリゴル・ディミトロフ(ブルガリア)らが勝ち上がり、錦織と3回戦で当たる可能性のあったフィリップ・コールシュライバー(ドイツ)は棄権となり、9月のデビス杯の日本戦で来日する可能性があるアレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ) 、若手のボルナ・コリッチ(クロアチア)も途中棄権した。

 一方、女子シングルスでは、奈良くるみ(安藤証券)がストレートで勝利し、これでグランドスラムでは7大会連続で初戦突破を果たした。なおアナ・イバノビッチ(セルビア)、ウージニー・ブシャール(米国)は1回戦で敗れている。

(文:武田薫)


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