錦織ヒヤリ、追い上げかわし初戦突破 楽勝ムードが一転、甘くない全米OP
錦織、35歳のベテランに苦戦
1回戦を楽勝ムードで進めていた錦織だったが、経験豊富なベッカーの巻き返しに苦戦した 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
第1セット、第2セットをともに6−1で圧倒し、そこまでの試合時間はわずか49分。ポイント数では2倍の差をつけ、楽勝ムードが漂っていた。しかし、したたか者であふれかえったツアーはそれほど甘いものではない。ベッカーのランキングは現在96位。第6シードの錦織との技量の差は明らかだったが、10年を超すツアー経験を持つ35歳のベテランは、この日のコンディションを計算していただろう。
大会前日からニューヨークは急激に暑くなっていた。気温32度はそう高くなくとも、今年オープンしたばかりのショーコート、グランドスタンドには直射日光がジリジリと照り付け、逃げ場がない。リオ五輪に出場した錦織は心身をすり減らしているはずだから、一泡吹かせたいベッカーとしては、長丁場の戦いをイメージしていただろう。
「第3セットに入ってから、プレーがガラッと変わりましたね。彼が良くなった。第4セットの立ち上がりも自分は良くなかったので」(錦織)
ベッカーに少しでも勝機があるとすれば、炎天下のフルセットで錦織が崩れてくれること。セットカウント0−2から集中力を高め、第3セットの第5ゲーム、15−40からの錦織の攻撃を必死にかわしてサービスキープ。さらにベッカーは第8ゲーム、この試合で初めてのブレークポイントを生かし5−3とリード。続く第9ゲームで錦織にブレークバックのポイントを握られても、懸命に逃げ切って1セットを奪った。
セットカウントで2−1とリードしていても、錦織にそれほどの余裕はない。逆に、気持ちを貯めていたベッカーは、第4セットに入っても時速200キロ前後のサーブで畳み掛け、第3ゲームを先にブレーク。
リオ五輪で熱戦を繰り広げた後の全米オープン。難しい初戦となったが、どうにか乗り越えた 【Getty Images】
五輪というイレギュラーな日程を乗り越えて戻って来たグランドスラム、その難しい入り口を、錦織はどうにか乗り越えた。
「(五輪前の)トロントは決勝まで進んで試合もできたし、(後の)シンシナティは3回戦負けで早く終わり、心身ともに休養できた。その点ではいい感じでこの大会に入れたと思います」
2回戦の相手は、予選上がりのカレン・カチャノフ(ロシア)。グランドスラム本戦初登場の20歳も、気は抜けない。
奈良は順当に初戦突破
一方、女子シングルスでは、奈良くるみ(安藤証券)がストレートで勝利し、これでグランドスラムでは7大会連続で初戦突破を果たした。なおアナ・イバノビッチ(セルビア)、ウージニー・ブシャール(米国)は1回戦で敗れている。
(文:武田薫)
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