- 長谷川晶一
- 2016年9月2日(金) 11:00

2008年の第3回・日本(松山)大会から始まって、10年のベネズエラ大会、12年・カナダ大会、そして14年・日本(宮崎)大会まで、実に足掛け6年、4大会において侍ジャパン女子代表・マドンナジャパンは優勝カップをその手にしてきた。そして迎える第7回・韓国大会(正式名称:第7回WBSC女子野球ワールドカップ)。マドンナジャパンは前人未到の大会5連覇を目指して、9月1日に韓国入りした。
7回目となる今大会は9月3日から11日にかけて、韓国・釜山の「キジャン ヒュンダイ ドリームパーク」にて行われる。出場する国と地域は、以下の12チーム。
【グループA】韓国、ベネズエラ、キューバ、パキスタン
【グループB】日本、カナダ、オランダ、インド
【グループC】アメリカ、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイ、香港
9月3〜5日にかけて行われる、グループ別の「オープニングラウンド」の1位と2位チーム、合計6チームが7〜10日の「スーパーラウンド」に進出。そして、11日に同ラウンド1位と2位が決勝戦、3位と4位が3位決定戦を行う。マドンナジャパンが目指すのはもちろん、同日18時から行われる決勝戦の舞台だ。
これまでの実績では、日本を筆頭にアメリカ、カナダ、オーストラリアが「世界4強」と呼ばれてきたが、近年、急成長を遂げているチャイニーズ・タイペイにも注目したい。しかし、日本とアメリカは頭ひとつ抜けていて、両チームともにスーパーラウンド進出はほぼ確実。「打倒アメリカ」を旗印に一致団結すれば、5連覇も決して夢ではない。
新世代をまとめる主将・志村

では、マドンナジャパンの顔ぶれを見ていこう。
今回は全20選手のうち、実に8選手が代表初選出。現役高校生で18歳の清水美佑(埼玉栄高)を筆頭に、19歳の田口真奈(環太平洋大)、20歳の小島也弥(環太平洋大)、田中露朝(尚美学園大)、船越千紘(平成国際大)、21歳の荒木未来(アサヒトラスト)、長池玲美菜(MSH医療専門学校)、そして、豪快な一発が魅力の有坂友理香(アサヒトラスト)ら、新世代選手が続々とマドンナジャパン入り。
しかし、可能性を秘めた若手選手たちではあるものの、国際舞台での実力は未知数。こんなときに頼りになるのがベテランたちだ。06年の第2回・台湾大会から代表入りした志村亜貴子(アサヒトラスト)、金由起子(ホーネッツ・レディース)は今もなおチームの中心として頼りになる存在。今年34歳になる主将の志村はチーム有数の俊足選手で、一方の金はいまだ衰えぬ長打力でチームのポイントゲッターとしての期待がかかる。
ヤクルト川端妹には主軸を期待

2010年にスタートし、リーグ創設7年目を迎えた女子プロ野球JWBLからは5選手が選出された。ヤクルト・川端慎吾の実妹であり、女子プロ界最大のスター・川端友紀(埼玉アストライア)を筆頭に、安打製造機・三浦伊織(京都フローラ)は、今大会でも間違いなくクリーンアップを任されることになるだろう。

前回大会でMVPを獲得した里綾実(兵庫ディオーネ)はマドンナジャパンの不動の大エースで、2大会連続のMVPを目指す。前回大会でベストナインに輝いたショート・厚ヶ瀬美姫(兵庫ディオーネ)は、今回も1番、もしくは2番打者としてチームに勢いをもたらすはずだ。また、捕手としてはもちろん、手薄な外野陣のスーパーサブとしても期待されるのは寺部歩美(兵庫ディオーネ)だ。代表歴も二期目を迎え、円熟期に差し掛かっている。
緻密な野球は他チームを圧倒

選手個々の実力は、間違いなく世界ナンバーワンだと言っていいだろう。また、「準備と予測」を大切にし、状況に応じた采配を振る大倉孝一監督(環太平洋大)による緻密な野球は他チームを圧倒する。実力、そして実績を考えれば日本の5連覇達成の可能性はとても高い。しかし、海外での一発勝負の戦いでは、何が起こるかわからない。
それでも、日本代表チームは油断することなく、気を抜くことなく、全身全霊を懸けて白球と対峙する。総合力に勝り、真摯に野球に向き合うマドンナジャパン。黄金のトロフィーはまたも日本にもたらされる可能性は高い。
9月11日の決勝戦終了後、マドンナジャパン戦士たちはどんな表情で最後の瞬間を迎えているのだろうか? その瞬間を、期待して待ちたい――。