面白い展開を生んだ“逆スパ・ウェザー” 今宮純のベルギーGPインプレッション

F1速報

三者三様の達成感が感じられた表彰台

いきなり自らのレースを台なしにしてしまったマックス・フェルスタッペン。そこからのリカバーもならず… 【LAT】

 今年は連日30度が続く“逆スパ・ウェザー”となった週末、タイヤはオーバーヒート、マシン&パワーユニットも想定外のオーバーヒート状態に。それを克服するのはエンジニアたちの仕事、戦略プランを何十パターンもシミュレートするのがストラテジストの役割だ。それで難コースに挑み、戦うのがドライバーたち。

 6周目、オー・ルージュ上り坂地点でケビン・マグヌッセンがクラッシュ。ややオーバースピードに見えた。1999年に大改修されエスケープが広くなっていて、ぶ厚いタイヤバリアによって助かった。まずセーフティカー状態となり、それからの赤旗は適切な判断だった。ベテランぞろいのコースマーシャルに復旧作業に集中してもらい、彼らも迅速に動いた。長いコースのあちこちに補修用タイヤバリアを準備するなど、伝統あるスパ24時間耐久を継続開催してきた彼らはル・マンやモナコ、インディ、わが鈴鹿のみなさんも含めて最高レベルだと思う。他のグランプリも見習ってほしい。赤旗中断から17分後、コースは完全に修復された。

 この突然の事象によってタイヤ選択やレース戦略などが分かれた。幸運と不運が交錯。しかし、それもゲームのうちで一喜一憂している場合ではない。首位ニコ・ロズベルグの心理はハミルトンが5番手まで迫り、赤旗中に自分と異なるソフトタイヤを履いたことが、やや気になっただろう。ライバルとの間で壁になってくれると思われたフェラーリ勢とフェルスタッペンは後退、2位ダニエル・リカルド、3位ニコ・ヒュルケンベルグ、4位アロンソが間にいるだけだ。戦況をしっかり把握すればリカルドだけをマークすればいい。ハミルトンの3位=15点は、ほぼ確実だから、自分は1位=25点を絶対確保すること。終盤ペースは1分53〜54秒台、ロズベルグは単独走になると今シーズン序盤見せたように粛々と刻み、44周トップのまま自身20勝目。首位ハミルトンに9点差で後半初戦をまとめた。

 終わってみればロズベルグはポールポジションから、スパで初めて完勝。2位リカルドは3レース連続表彰台、3位ハミルトンはロズベルグとの得失点差をマイナス10点で乗り切れた。三者三様の達成感が感じられた表彰台の下で、フェルスタッペンが完走した中では今季ワースト11位で終わり、初日から駆けつけたオランダ人ファンは空騒ぎ状態に。金曜1位、土曜2位、そして日曜11位、この夏のベルギーGPの週末を彼はメモリー保存することだろう。

(Text:今宮 純/Jun Imamiya)

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