良くも悪くも主役となったハーフナー 痛恨のパネンカ失敗は「慢心」のため?

中田徹

チームを同点に導く貴重なゴールを決める

良い意味でも悪い意味でも、試合の“主役”になったのはハーフナーだった 【Getty Images】

 8月28日(現地時間)のADOデンハーグ対ヘラクレス・アルメロ(1−1)は、良い意味でも悪い意味でも、ハーフナー・マイクが“主役”になった。

“良い意味”というのは、28分に決めたスーパーゴールのこと。GKエルネスタス・セトクスが蹴ったロングボールを、今季売り出し中の左ウインガー、ゲルバネ・カスタネールがヘディングでつなぐと、ハーフナーが反応良くボールを拾って縦に前進。重戦車と化したハーフナーは、ヘラクレスの選手2人を振り切って、ペナルティーエリア内左のあまり角度のない位置から、左足のハーフボレーシュートを決めた。前半、たった5タッチに終わったハーフナーだが、この一撃はチームを同点に導く貴重なものだった。

 前半のスーパーゴールが起爆剤になったのか、後半のハーフナーのプレーにはすごみが増していく。後半だけで放ったシュートは6本(前半は2本)。ヘラクレスは自陣ゴール前はもちろんのこと、ハーフナーが中盤に引いてボールを受けた時にも厳しくチェックする。54分にはピッチ中央で空中戦を競り合ったハーフナーとMFジョーイ・ペルペシーが睨み合うシーンもあった。

PK失敗で、試合はドロー決着に

 79分には、エドゥアルド・デュプランが右サイドからクロスを入れると、ハーフナーはマーカーを背負ったまま、しっかりペナルティーエリア内でボールをキープ。一呼吸置いてから、マルセイユ・ルーレットで華麗に2人を交わすと、たまらずセンターバックのマイク・デ・ウィーリクが彼を倒した。デニス・ヒグラー主審がペナルティースポットを指差す。PK! これが決まれば2−1となり、ADOデンハーグは開幕4連勝に大きく近付くことになる。

 当然、PKはエースのハーフナーに託された。開幕戦でPKを思い切り良くサイドに蹴って決めていたハーフナーは、「相手は飛んでコースを消してくるだろう」と読んでいた。だから、ゴール中央に“パネンカ”と呼ばれるチップシュートのPKを狙った。

 案の定、ブラン・カストロは右へ飛んだ。ハーフナーのパネンカは、無力のカストロをあざ笑うように、ゴール中央へ吸い込まれていく……はずだった。だが、実際にはボールはバーを越し、PKは失敗。ハーフナーは頭を抱えて人工芝のピッチの上に崩れ、京セラスタディオンには失望のため息が漏れた。

 このパネンカ失敗はインパクトが大きく、オランダメディアに大きく取り扱われることとなった。『アルへメーン・ダッハブラット』紙のデンハーグ地域版のスポーツ欄は、一面に「ノー・チップシュート!」と見出しを打って、PK失敗直後のハーフナーが正座して呆然とする姿を写真で載せている。これが“悪い意味”だ。

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著者プロフィール

中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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