メダルの命運を分けた「1打」の意味 女子ゴルフ野村の課題はパーオン率

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最終日に猛チャージを見せたが、メダルまであと1打及ばず4位で大会を終えた野村敏京 【Getty Images】

 リオデジャネイロ五輪ゴルフ女子は現地時間20日に第4ラウンドが行われ、世界ランキング5位の韓国代表の朴仁妃が金メダルを手にして幕を閉じた。銀メダルは現世界女王のリディア・コ(ニュージーランド)、銅メダルにはフォン・シャンシャン(中国)が入った。日本勢は野村敏京が最終日にノーボギーの「65」を出してトータル9アンダーまで伸ばしたが、メダルには1打及ばず。4位入賞で116年ぶりの女子ゴルフ競技を終えた。もう一人の日本代表・大山志保はトータル8オーバーの42位だった。

 野村は最終日に大きくチャージを見せたものの、あと1打及ばなかった。その1打の差を野村は「パッティングが決まらなかっただけ」と語ったが、データを見ると違うところに銅メダルのフォン・シャンシャンとのわずかな差が見て取れた。

パッティングは銅メダルのフォンを上回るも……

野村敏京(4位)
平均飛距離:257.6ヤード(7位)
フェアウェイキープ率:80.77%(35位タイ)
パーオン率:68.06%(32位タイ)
パッティングのスコアに対する貢献度:1.332(5位)

フォン・シャンシャン(銅メダル)
平均飛距離:248.9ヤード(20位)
フェアウェイキープ率:80.77%(35位タイ)
パーオン率:79.17%(5位タイ)
パッティングのスコアに対する貢献度:0.128(27位)

 野村が敗因に挙げたパッティングはむしろフォンを上回る数字を記録している。確かに最終日は多くのチャンスを作ってバーディパットをもう一つ決めきれなかった印象だったが、全体を見れば野村のスコアはパッティングが作っていたと言っていいだろう。ちなみにパッティングのスコアへの貢献度は銀メダルのリディア・コと比べても野村の方が良い数値だ(コは−0.105で32位だからむしろグリーン上で苦しんでいる)。

グリーンを捉えるショットが課題

アプローチ技術の高さには定評がある野村。課題は明確だ 【Getty Images】

 差が見えたのは、男子の代表でも見られた傾向だが、グリーンを捉える確率を示すパーオン率。フォンが4日間79.17%で5位タイだったのに対し、野村は68.06%で32位タイと全体の半分以下。ティショットの飛距離も野村の方が出ていることを考えれば、フォンよりも短いアイアンを持つ場面が多いにもかかわらずグリーンを外すことが多かったと言える。ヘッドコーチの丸山茂樹も「もう少し(ショットに)幅が出てくればトップを狙える」と語るように、どんな状況下でもグリーンを捉える引き出しを増やすことがさらに上を狙うための課題の一つと言えそうだ。

 ちなみに、パーオン率ほどの差がストロークに表れていないのは、野村のアプローチ技術の高さにある。グリーンを外した時のパーセーブ率は全体の1位。丸山コーチも「試合運びが落ち着いていて、アプローチ、パットが長けていた印象」と小技の精度を評価した。それだけに課題は明確。野村がトップを獲る日もそう遠くはないと思える五輪での戦いぶりだった。
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