【新日本プロレス】ケニー・オメガが後藤を破り初の外国人G1王者に 日本語解禁で絶叫「新日本がオレのホーム」

高木裕美

初出場のケニー・オメガが後藤を下し外国人レスラー初のG1王者に 【横田修平】

 新日本プロレスの真夏の祭典「G1CLIMAX 26」最終戦(第19戦)となる14日の東京・両国国技館大会では、超満員札止めとなる1万204人を動員。メインイベントの優勝決定戦では、ケニー・オメガが後藤洋央紀を破り、初出場初優勝。26年の歴史の中で史上初となる外国人王者が誕生した。

新日本に移籍し冷酷な「ザ・クリーナー」に変身

陽気なキャラクターから一転、冷酷な「ザ・クリーナー」に変身 【横田修平】

 カナダ出身のオメガは、08年7月にDDTプロレスマットへ初来日。飯伏幸太とのタッグ「ゴールデン☆ラヴァーズ」で人気を博し、ジュニア戦線で活躍した。14年11月からは新日本に移籍するが、今までの陽気なキャラクターから一転、漆黒のコスチュームをまとった冷酷な「ザ・クリーナー」に変身。バレットクラブの一員として悪の道を突き進むと、今年からは3代目リーダーに就任。ヘビー級に転向し、IWGPインターコンチナンタル王座などを獲得した。

最終戦の内藤との死闘で観客をトリコに

鉄柵からのムーンサルトなど“路上王”の本領を発揮 【横田修平】

 前日の最終公式戦では、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)のリーダー、内藤哲也と対戦。30分時間切れ寸前となる死闘の末に内藤を破り、実力で大「ケニー」コールを奪い取った。

後藤も雪崩式牛殺しなど危険技連発

後藤も牛殺し、雪崩式牛殺し、封印していた裏昇天、昇天・改を解禁するも… 【横田修平】

 迎えたこの日の決勝でも、オメガの勢いは増すばかりで、後藤がオメガの痛めた左ヒザを攻めるや、場内からは大ブーイング。完全に観客をトリコにしたオメガは、鉄柵からのムーンサルトアタックや、エプロンへのパワーボム、観客の手拍子をあおってからのノータッチトペなどの破天荒な技を繰り出していく。

飯伏、デヴィット、AJの必殺技を敢行

飯伏の得意技であるシットダウン式ラストライドに会場騒然 【横田修平】

 後藤も牛殺し、雪崩式牛殺しで首を破壊し、スリーパーで絞め落とそうとするが、オメガは後藤を背負ったままコーナーから落とし、大ダメージを与える。20分過ぎ、オメガはかつてのパートナー、飯伏の得意技であるシットダウン式ラストライド、さらにはフェニックススプラッシュを放つも、後藤にかわされて自爆。

フェニックススプラッシュは惜しくも自爆 【横田修平】

バレットクラブの初代リーダー、プリンス・デヴィットのブラディサンデー 【横田修平】

2代目リーダー、AJスタイルズのスタイルズクラッシュ 【横田修平】

最後は自身の必殺技「片翼の天使」でフィニッシュ

最後は自身の必殺技・片翼の天使で後藤から3カウント 【横田修平】

 後藤は封印していた裏昇天、昇天・改を解禁し、GTRで勝負をかけるも、オメガはこれを阻止すると、バレットクラブの初代リーダー、プリンス・デヴィットのブラディサンデー、さらに2代目リーダー、AJスタイルズのスタイルズクラッシュを敢行。そして、オメガ自身の必殺技である片翼の天使で後藤をマットに突き刺し、3カウントをもぎ取ると、両国国技館が一気に燃え上がった。

新日本で封印していた流暢な日本語を解禁

試合後のマイクでは、封印していた流暢な日本語も解禁 【横田修平】

 バレットクラブの仲間たちの祝福を受けたオメガは、真紅のG1優勝旗ではなく、漆黒のバレットクラブの旗を振り回すと、前日のように英語で長々とアピール。だが、突如「おまえら、分からないだろ。だから、今から、オレが日本語を話す」と、新日本では封印していた流暢な日本語を解禁。今まで使わなかった理由を「オレはヒールだからさ」と明かすと、「日本がオレのホーム。新日本はオレのホーム。だから、そっちには行かない」と、かつての仲間たちが旅立っていった世界最大のプロレス団体への移籍を否定し、IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカをはじめとするレスラーたちに宣戦布告した。

かつての仲間の技については「ノーコメント」

【横田修平】

 バックステージでの優勝インタビューでも英語でまくしたてたオメガは、バレットクラブからあっさりLIJにクラ替えしたファンに「恥を知れ」と痛烈批判。試合中に出したかつての仲間の技についての質問には「ノーコメント。次の質問へ」と、無言を貫いた。外国人選手として初の優勝という偉業については「日本人のレスラーは最も強いハートを持っている。彼らはギブアップなんてしない。リング上で死ぬ気だ。でも、オレはリング上では死なないぞ。金や名声、女が欲しいからな。でも、オレは彼らのハートを食ってやった。そして、彼らの精神を砕いてやった」と勝ち誇ると、「オレは2日連続でクソみたいにタフな試合をやったぞ。今は最高の気分だ。今夜はよく寝れるだろう」とニヤリと笑い、バレットクラブの仲間たちと共に勝利の美酒に酔いしれた。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント