イチローとディズニーランドが関係ある!? 3000安打に王手で特殊ボールが登場

丹羽政善

特別な細工が施された記念球

現地時間6日、8回に代打で出場したイチローはサード内野安打(写真)を放ち、3000安打に王手をかけた 【Getty Images Sport】

 東京ディズニーランドを出るときにまた戻ってくることを伝えると、手の甲に再入園スタンプを押してくれる。

 見た目には、何も見えない。しかし戻ってくるとき、係員が特殊なライトで照らすとキャラクターなどが浮かび上がり、暗いアトラクション内でも同様の現象が起きることが知られている。不過視インクという技術を使ったものだが、同様の仕掛けが、イチローの記録とも関係がある。

 この日(現地時間6日)、8回にイチローが2999本目のヒットを放ち、9回イチローが打席に向かうと、ボールボーイが主審の元へ駆け寄った。手渡したのは、記念文字、あるいは数字、ロゴが隠された特殊なボールだ。

 そのボールを唯一投げたスコット・オバーグによると、「4」という印がついていたそうで、3000ではなかったとのこと。「それが何を意味するのか分からない」と彼は話したが、確かに3000との関連が、現時点では不明だ。

 いずれにしても、今回の3000安打に限らず、大きな記録のときには、そうした特別な細工が施された記念球が登場する。ただ、古くから、というわけではなく、イチローが2004年にシーズン最多安打記録を達成したときは確か、ただのスタンプが押してある程度だった。

 特殊なボールを使う理由は、それを記録の公認球として認定しやすくするためで、通常のボールとの差別化をはかることにある。

88年のワールドシリーズの反省

 かつて、こんなことがあった。

 1988年10月15日、ドジャースとアスレチックスのワールドシリーズ第1戦が行われ、ドジャースが1点を追う9回、2死二塁の場面で、左ひざを負傷しながらも代打で登場したカーク・ギブソンがライトスタンドに逆転サヨナラ2ランを放った。

 ただ、そのボールの行方というのが、実は今もはっきりしない。後にサミー・ソーサやバリー・ボンズの本塁打記念球がオークションで高額取引されるようになると、自分が持ち主だと多くが名乗り出たが、それを証明するすべがなかった。当時は、今のように、マークをつけていなかったからである。いずれにしても“本物”と証明するための措置だが、例え記録球でなくとも、マーク入りのファウルボールを捕るだけでも、お宝かもしれない。

 ちなみにそのボールは現在、マーリンズが管理している。ボールを持ったまま、遠征をしているわけである。この日、そのボールを見せてくれないかとチーム広報に聞いてみたが、「それは見せられない」と断られた。偽物を作られることを心配してか、一応、門外不出だそう。どうしても見たければ、試合中にファウルボールを捕ったファンの元へ走るしかない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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