U−18での世界大会開催を目指す WBCムエタイジュニアリーグ リポート

長谷川亮

大和哲也も賞賛のレベルの高さ

7月23日に「WBCムエタイジュニアリーグ U−15 第二回全国大会」ならびに「WBCムエタイジュニアリーグ U−18 第一回全国大会」が開催された 【長谷川亮】

「WBCムエタイジュニアリーグ U−15 第二回全国大会」ならびに「WBCムエタイジュニアリーグ U−18 第一回全国大会」が7月23日、東京・ディファ有明で開催された。

 WBCムエタイジュニアリーグは昨年夏に15歳以下(中学生以下)の全国大会を初開催。「国際ジュニア」(東日本)、「EXPLOSION」(東日本)、「NEXT☆LEVEL」(西日本)、「SMASHERS」(東北、北海道)という全国4地区の団体の代表・推薦者がトーナメントに参加し、優勝を争った。

 昨年のプレゼンターは当時WBCムエタイ世界スーパーライト級王者であった大和哲也が務めたが、「レベルが高くてビックリしました。地方大会で優勝や上位入賞した子たちが来ているので、40試合以上ありましたが本当に面白かったし全部しっかり見れました。特に中学生、50kg〜60kgの子の試合は驚かされました。パンチと蹴りはもちろん、キャッチしてコカしたり、そういうテクニックもすごく上手で、自分も刺激になりました」と語り、世界王者をして驚嘆せしめる内容となった。

プロとそん色ない輝き見せた大田一航

中学校クラス−50kg級で優勝を飾った大田一航はプロでも活躍する拓真の弟 【長谷川亮】

 今年は上記4大会に加え、さらに北海道と沖縄の大会からもそれぞれ推薦選手の派遣があり、まさに“北は北海道から南は沖縄まで”「全国大会」の名にふさわしい参加でレベルの高い攻防が繰り広げられた。

 U−15=15歳以下の部は小学校低学年(小学3、4年生)、小学校高学年(小学5、6年生)、中学校(中学1〜3年生)の3クラスで、さらに体重別で試合を実施。ジュニアリーグのルールは首相撲5秒など制限が加えられるが、早くも小学生にして首相撲を使いこなし、あるいは相手の蹴りをキャッチしてバランスを崩すといった、昨年大和を驚かせた技術が今年も展開。出場者は各大会で活躍した実力者とあって、ブレイクの早い短い時間の中でもヒザを有効に使って打ち込み、また豊富な試合経験をうかがわせ、すでにスタイル・勝ちパターンの確立している選手が多く見られた。

 中でも光ったのが、プロと遜色ない攻防を見せ中学校クラス−50kg級で優勝を飾った大田一航(神奈川県厚木市立毛利中学校/新興ムエタイ)。現在プロで8戦7勝(3KO)1分と負けなしの快進撃を見せる拓真の弟である一航は昨年も−45kg級を制しており連続優勝。決勝では梅本彪司(神奈川県横浜市立今宿中学校/はまっこムエタイ)と、どちらも中学生と思えない首相撲合戦となったが、一航は要所で右ストレートなどパンチもヒットさせ、2−0の判定勝利をもぎ取った。

 セコンドでサポートするとともに優勝を見届けた兄の拓真は、「自分よりパンチが上手くて回転が速い。練習してても自分が勝てるのは首相撲ぐらい。パンチがいいので日本向きのスタイルだと思うし、自分よりもっと活躍できると思う」と、その実力を自分以上であると高評価。弟・一航のデビュー、そして兄弟揃っての活躍が待たれる。

MVPは−55kg級優勝の川上叶

大会MVPを獲得した川上叶と大田一航 【長谷川亮】

 また、同じく中学生クラス−40kg級では那須川天心がセコンドについた高坂文都(群馬県前橋市立荒砥中学校/ワイルドシーサー)が、サウスポーから左の攻撃を巧みに当てて優勝を果たした。

 今年初開催となった18歳以下の部=U−18は−55kg級、−60kg級、−65kg級の3階級で実施され、首相撲からのヒザで2度のダウンを奪って初回TKOで優勝した−55kg級の川上叶(大阪府立西淀川高等学校/龍生塾)がMVPを獲得。同じくU−15でのMVPとなった大田一航とともに、大会後援のタイ国政府観光庁よりバンコク観光ムエタイ体験ツアーが贈られた。

実行委員長「プロでやっていける子ばかり」

那須川天心もセコンドとして大会に来ていた 【長谷川亮】

 齋藤京二・大会実行委員長は「体の柔らかさがあるので、しなやかでプロの選手たち以上に綺麗な技が出る。U−18になると本当にプロと変わらない。このままプロでやっていけるような子ばかりでした」と大会を総括。ジュニアリーグの活動には手応えを感じているようで、「U−18での国別対抗戦やアジア大会、世界大会も開催していければ」と今後の展望を語っていた。

 大会の各賞受賞者は以下の通り。

U−15MVP:大田一航(神奈川県厚木市立毛利中学校/新興ムエタイ)
U−18MVP:川上叶(大阪府立西淀川高等学校/龍生塾)
小学校低学年敢闘賞:所風雅 (神奈川県大和市立大和小学校/Refre.k)
小学校高学年敢闘賞:山口瑠 (大阪府藤井寺市立藤井寺小学校/拳心會館)
中学校敢闘賞:高坂文都(群馬県前橋市立荒砥中学校/ワイルドシーサー)
高校生敢闘賞:倉持心一夢 (タイ バンコク トリニティーインターナショナルスクール/鷹虎)
小学校低学年フェアプレー賞:曽我昴史(埼玉県川越市立霞ヶ関小学校/鍛錬会)
小学校高学年フェアプレー賞:吉成士門(神奈川県横須賀市立大塚台小学校/チューティンムエタイ)
中学校フェアプレー賞:北野峻平(大阪府立藤井寺市立藤井寺中学校/拳心會館)
高校生フェアプレー賞:池田剛(広島県立沼南高等学校/空修会館)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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