イチロー、本拠地で偉業達成ならず ルーティンの変化は何を意味する?

丹羽政善

7回に代打で登場するも、ファーストフライに倒れたイチロー 【Getty Images】

 今日(現地時間31日)のカージナルス戦前、前日に続いてマーリンズオーナーのジェフ・ローリアがクラブハウスをうろうろしていた。

 ある米記者に言わせれば、ドン・マッティングリー監督にイチローをスタメンで使うよう無言の圧力をかけている、ということだが、この日もスターティングラインアップにイチローの名前はなかった。

 マッティングリー監督はジャンカルロ・スタントンを休ませるタイミングを見計らっているようだが、前日、6回からイチローと交代させたことで半休となり、それで“休んだ”ということになったか。

 早いペースで試合が進む中、イチローの出番は2点リードの7回無死一塁の場面。

 最近はずっとそうだが、この日もファンはほぼ総立ち。追い込まれてからは、ファウルを打つだけでも「お〜!」という歓声が沸き起こり、ボールを見逃しても、「うぉ〜」と低いうなり声が響く。

 そういう異様な空気の中、7球目――内角高めの球を打つと、バットがぐしゃっと鈍い音を発し、ファーストへ力のないフライが上がる。ため息とともに、立ち上がっていたファンがゆっくりを腰を下ろした。

本拠地10試合で17打数2安打

 今回、大リーグ通算3000安打まで残り4本として本拠地10連戦を迎えていた。期待は高まったが、一方でイチローは冷静だった。

「マイルストーンが見えてきたか?」そう問われるとこう言っている。

「いや、先発でやってたらね、そらそうです」

 ただ、現状の役割はそうではない。

「代打で10試合、もし10打席だったら難しいですよ。当たり前ですけどね。代打なんか、4回に1回(ヒット)の感じだからね。それは分からないです。先発で毎試合と全然意味が違う」

 最終的に今回は2回スタメン出場があり、10試合で計17打席あったが、ヒットは2本。4打数1安打のイメージなら4本出ていてもおかしくないが、それを下回った。

 ちなみに日米通算ながら、ピート・ローズの大リーグ最多安打記録に並び、更新したときには、残り5本で更新という状況で敵地でのパドレス戦に臨むと、3試合で2回スタメン出場し5安打。わずか3日間で5本を打ってしまった。

 そのときと比べれば今回はペースが落ちているが、やはり、代打だとなかなか厳しい。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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