【ノア】 杉浦が潮崎を破りGHC王座返り咲き 石森&ACH組がタッグリーグ初優勝

高木裕美

ノアの至宝は再び鈴木軍の手に渡ってしまった 【前島康人】

 プロレスリング・ノア「第10回日テレG+杯争奪ジュニアタッグリーグ戦」最終戦となる30日の東京・後楽園ホール大会では、ジュニアタッグリーグ戦優勝決定戦およびGHCヘビー級選手権試合などが行われた。

 史上初のランバージャックマッチ形式で行われたGHCヘビー級選手権試合では、前王者の杉浦貴が潮?豪を破り2カ月ぶりに王座返り咲き。試合後は仮面姿のマイバッハ谷口が鈴木軍を襲撃し、実力行使で挑戦権を強奪した。

マイバッハが次期挑戦者に名乗り

みのるの要求を受け入れたノア軍だったが、やはり裏目に出てしまった 【前島康人】

 両者は5.28大阪大会で対戦し、潮崎が杉浦から王座を奪取。だが、潮崎が6.12後楽園大会で鈴木軍のシェルトン・X・ベンジャミンを倒し初防衛に成功後、三沢光晴さんの遺影の前でノア入団を訴えた直後に、杉浦が急襲。2カ月にしてリマッチが決定した。さらに鈴木軍大将・鈴木みのるの訴えにより、両軍のセコンド陣営が選手をリングに戻すランバージャックマッチ形式でタイトル戦が行われることになった。

 あくまでも「完全決着」というテーマの下、場外へ落ちた選手をすみやかにリングに戻そうとするノア陣営に対し、鈴木軍は公開リンチの場と勘違い。開始5分で大荒れとなる中、15分過ぎには鈴木軍の介入によりレフェリー不在となるハプニング。リング上が無法地帯と化す中、ノア勢も杉浦に直接攻撃を加え、王者をアシストする。しかし、杉浦もイス攻撃からオリンピック予選スラムを敢行。さらにエルボー連打、顔面への張り手ラッシュ。潮崎も左のラリアット、バックドロップを繰り出し、強烈な逆水平チョップを打ち込むが、杉浦はそれをしのぐエルボーをブチ込むと、ラリアットからのオリンピック予選スラムで3カウントを奪った。

 敗れた潮崎は、セコンドに両肩を担がれて退場。一方、杉浦はリング上に置かれたイスにふんぞり返り、鈴木軍と共に勝ち誇ると、みのるも「こんな大事な時に、丸藤、中嶋、ヨソに出てる場合じゃない。私利私欲に走ったアイツらはもう帰ってこなくていいからな」と、鈴木軍のノア完全制圧を訴えるが、そこに仮面をかぶった谷口が復活。トレードマークのさすまたを手にした谷口は、油断していた鈴木軍を次々とさすまたでなぎ払うと、杉浦をテーブルの上に寝かせ、コーナーからのマイバッハプレスでテーブルごとクラッシュ。「杉浦、次はオレだ!」と挑戦表明したことで、次戦も、さらなる荒れ模様となること必至だ。

石森&ACHが連勝でベルト奪取も宣言

ジュニアタッグリーグ優勝は石森&ACH組。この勢いのまま、ベルト奪取を狙う 【前島康人】

「第10回日テレG+杯争奪ジュニアタッグリーグ戦」優勝決定戦では、リーグ戦1位の石森太二&ACH組と2位の原田大輔&小峠篤司組が対戦。石森組が、現GHCジュニアタッグ王者組であり、かつ昨年の覇者である桃の青春タッグを破り、高らかに王座挑戦を表明した。

 両軍はリーグ公式戦の7.23後楽園で対戦し、石森組が勝利。リベンジに燃える小峠がACHをタランチュラでとらえると、原田も石森のスプリングエルボーをキャッチしてバックドロップ。15分過ぎには、石森とACHが同時に450°スプラッシュ&ミッドナイトスターを繰り出すが、桃の青春タッグもまた同時にヒザ剣山でブロック。すかさず合体攻撃でたたみかけるが、ACHが驚異の回復力を見せ、分断しきれず。逆に石森が原田、ACHが小峠をつかまえ、同時にジャーマンスープレックスで投げる。これはカウント2で返されたものの、今度は同時に450°スプラッシュとミッドナイトスターを炸裂。1週間前同様、またしても王者組から白星を挙げた。

 さっそく、石森はリング上から「リーグ戦を制覇したので、次はあいつらが持っているベルトに挑戦したいと思います。行くぞーっ!」と挑戦表明。ようやく見つけた運命のパートナーと共に、至宝を奪いに行くと気勢を上げた。

引退宣言の平柳は、本当に辞めるのか?

不甲斐ない戦いを見せた平柳は引退を宣言。しかし、誰もとめることなく、キャプテン・ノアはその背中を押したが…… 【前島康人】

「負けたら引退」を公言していた平柳玄藩が、あっさり敗北。リング上で潔く引退表明を行った。

 リーグ戦の間、ふがいない戦いを見せていた平柳は、最終公式戦を前にパートナーのキャプテン・ノアに「この試合で負けたら引退する」と宣言。悲壮な覚悟を持って熊野準&アンディ・ダルトン組との対戦に臨んだはずだった。

 だが、ここまで4連敗と勝ち星のない熊野組を甘く見たのか、グロッギー寸前の熊野を前にしながら、玄藩太鼓で1分以上も観客をあおり続けた結果、回復した熊野の変形スパインバスターに撃沈。仕方なく、リング上で「引退します」と言ってはみせたものの、観客も興味がないのか、嘘だと思ってるのか、ノーリアクション。

 バックステージで「気力と体力の限界!」と改めて引退が本気であると示した平柳だが、パートナーのノアは「千代の富士か!」と突っ込むばかりで、「今までお疲れさん……って、疲れることしてないだろ」「おまえと組まなくて済むと思うと、やったぜベイビー!」「10年もやるまで、自分がプロレスに向いてないって気づけなかったのか」と悪態をつきまくるばかりで、引退を引き止めるどころかむしろ大歓迎し、言い逃れができないよう退路を断った。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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