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いわきでW杯初優勝狙うU15侍
不慣れな国際ルールに対応できるか?
自ら打撃投手を務めるなど、熱心に選手たちを指導する鹿取監督
自ら打撃投手を務めるなど、熱心に選手たちを指導する鹿取監督【写真=高木遊】

 7月29日から福島県いわき市で、15歳以下の野球世界一を決める「第3回WBSC Uー15 ベースボール ワールドカップ2016 in いわき」が開幕する。巨人、西武で投手として活躍した鹿取義隆監督のもと、侍ジャパンUー15代表は同大会初の優勝を狙う。

選考基準は“対応力”の高さ

 今回の代表選手たちは、全国5カ所(神奈川、愛知、大阪、鹿児島、福岡)で行われたトライアウトを経て選ばれた精鋭20名。鹿取監督に選考基準を聞くと「即戦力という面です。暴投しない、投げ方が良いということが基本です」と話し、「特にこの年代は暴投や捕球ミスが多いので、その確率がなるべく低い選手を選ぼうとしました。それが全員に当てはまるわけではないですが、改善を試みた時に少しでも早く改善できそうな対応力の高い選手を選びました」と続けた。


 メキシコで行われた前回大会(2014年)でも指揮を執った鹿取監督だけに、各国の代表選手といえど、時折顔を出すプレーの不安定さを把握している。

 

 また前回大会は1次ラウンドで開幕3連勝を飾るも米国やパナマの選手たちの速球やムービングボールに手こずり2連敗。上位ラウンド進出を逃した悔しさを味わった(最終結果は7位)。それだけに「そうした投手は普段彼らは見たことがない。だから、お手上げで結構です」と割り切っている。だからこそ、確実性の高い守備の構築を目指している。

 

 代表選手決定後初の練習となった強化合宿では、巨人などで内野手として活躍した仁志敏久氏と、広島などで捕手として活躍した西山秀二氏を臨時コーチとして招聘(しょうへい)。プロのトップレベルで培ってきた技術論や心の持ち方を興味深そうに聞く選手たちの表情が印象的だった。

8人+αの投手陣がカギに

外野手登録ながら185センチの長身から投げ下ろす投球で、投手としての活躍も期待される黒須
外野手登録ながら185センチの長身から投げ下ろす投球で、投手としての活躍も期待される黒須【写真=高木遊】

 今大会のルールで、日本の中学硬式野球と異なる特徴が「9イニング制」と「球数制限」、そして10日間で9試合を戦う過密日程だ。


 一般的な中学硬式の試合や大会は7イニングが一般的で、統一ガイドラインによる「投球回数制限」は設けられているが、球数による制限は無い。


今大会は以下のような制限が設けられている。

1〜35球 休息日なし(前日と前々日の投球数が35球を超えなければ、3日連続登板まで可)

36〜50球 休息日1日

51〜65球 休息日2日

66〜80球 休息日3日

最大95球 休息日4日

(95球を超える投球数は認められない)


「この年代は1イニングでもかなりの球数を投げるので、なかなか計算が立たないのが現状」と鹿取監督も正直に語る。一方で「球数を減らすための指示はまったくしません。良いパフォーマンスをするためには、多少球数が多くなっても0点に抑えてくれれば構わない。あとは、我々の投手を代えるタイミングが大事なので、そのためにこれだけの投手を入れました」と話す。


 投手登録は8選手だが、内野手登録ながら最速138キロのストレートを投げる中田惟斗(和歌山御坊ボーイズ)や、外野手登録で代表最長身の185センチから投げ下ろすストレートが武器の黒須大誠(いわきボーイズ)らの登板も予想されている。

被災地のいわき、熊本出身の選手も

4月の熊本地震では被害を受け、練習できない期間もあった捕手の星子
4月の熊本地震では被害を受け、練習できない期間もあった捕手の星子【写真=高木遊】

 また初の日本開催となるこの大会は、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた、福島県いわき市の復興の象徴となる大会でもある。

 

 鹿取監督は2011年4月にいわきを訪れていただけに「街は以前よりはるかに元気になっています。もう1度野球の力で県民の皆さんに元気を与えたいと思います」と話し、地元のいわきボーイズから選出された黒須も「いわきでいつもやっていることを世界大会でも見せていきたいです。震災から5年が経ち、復興が進んでいるということを、自分たちのプレーを通じて伝えていきたいです」と決意を語った。

 

 また捕手の星子海勢(北熊本ボーイズ)も今年の熊本地震で、3週間チーム練習が休止され、被災した本田技研工業の工場に務めていた監督が転勤となり、指揮できなくなるなどさまざまな被害を受けた。

 

「選手としての能力はもちろんのこと、出しゃばらずに優しく明るい人柄でみんなに好かれています」と同ボーイズの萩尾秀二代表が語る人間性も兼ね備えているだけに、ひたむきなプレーが2つの被災地や試合を見た全国の人々に多くの元気や感動を与えるきっかけになるだろう。


 開幕を控え、選手たちの連携は深まっており、世界の強豪を相手にいわきの地で躍動する選手たちが楽しみだ。

高木遊

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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