女子ラグビーで異彩を放つ「転向組」 金メダルへ「奇跡を起こし続けないと」
女子ラグビーに刺激を与える「転向組」
リオ五輪に臨む中村主将(右)と桑井 【斉藤健仁】
7月26日、五輪が開かれるブラジルに旅立った「サクラセブンズ」こと女子7人制ラグビー日本代表。12名の顔ぶれを見てみると、ベテランの兼松由香、ユース時代から活躍してきた山口真理恵や鈴木彩香だけでなく、冨田真紀子、横尾千里、谷口令子、三樹加奈、そして大学生ながら選出された大黒田裕芽、山中美緒、小出深冬は小さい時からラグビースクールやタグラグビーで楕円球に親しんできた選手たちである。
そんな中でも、中村知春主将と桑井亜乃の2人が他競技からの「転向組」であり、異彩を放っている。
「バスケットボールの経験が生きています」
バスケットボールから転向し、日本代表の主将を務める中村 【斉藤健仁】
2010年、中村は大学の部活を引退後、「違う競技をやってみたい」と実家の近くで練習していたクラブチームの門を叩く。そのチームが「フェニックス(現・東京フェニックスRC)」という名門だったこと、また中村はもともと闘争心があり、コンタクトを厭わなかったことも功を奏し、2011年に五輪を目指すために日本ラグビー協会が実施した、女子選手にとっては1回目となる「セブンズアカデミー」に招集。タイミングも良かったと言えよう。そして、その実力が評価されて、すぐに日本代表合宿に呼ばれ、2012年から主将を務め続けている。
中村のポジションはSH(スクラムハーフ)だ。バスケットボールのポイントガードよろしく、ボールをさばき、ゲームをコントロールする。ラグビー経験が少なくても、パスのうまさはバスケットボール経験者ならではだ。またディフェンスの間を、ボールを持って仕掛ける姿も同様。「セブンズとバスケットボールはフィットネスが必要で、ボールのハンドリングや相手を抜くスポーツという共通点がり、味方のためにスペースをつくる動きなどの感覚はバスケットボールの経験が生きています」
中村「本当にレベルも上がってきました」
相手を抜く動きでは、バスケットボールの経験が生きていると語る 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
女子ラグビーは、2012年、女子として初のフルタイムの指揮官となった浅見敬子ヘッドコーチが就任して以来、環境面が良くなり、強化が進んできた。中村は常にそんなサクラセブンズの先頭に立って走ってきた。現在では1年間で300日に及ぶ合宿と試合を通じて、誰よりも楕円球に打ち込んできた。その自負は誰にも負けない。