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女子ラグビーで異彩を放つ「転向組」
金メダルへ「奇跡を起こし続けないと」

女子ラグビーに刺激を与える「転向組」

リオ五輪に臨む中村主将(右)と桑井
リオ五輪に臨む中村主将(右)と桑井【斉藤健仁】

 リオデジャネイロ五輪から正式種目となった男女7人制ラグビー。男子のメンバーを見ると、その多くが小さいころからラグビーに親しんできた選手であり、遅くとも高校から競技を始めている。一方の女子も、男子同様に多くの選手が小さいころからタグラグビー(腰につけたタグを取り合う)を通じて楕円球に触れて、そのまま競技を続けている。ただ、2009年に7人制ラグビーが正式に五輪競技に採用された影響もあり、他競技からラグビーに移ってきた「転向組」が、刺激となってチーム力、競技力を支えている。


 7月26日、五輪が開かれるブラジルに旅立った「サクラセブンズ」こと女子7人制ラグビー日本代表。12名の顔ぶれを見てみると、ベテランの兼松由香、ユース時代から活躍してきた山口真理恵や鈴木彩香だけでなく、冨田真紀子、横尾千里、谷口令子、三樹加奈、そして大学生ながら選出された大黒田裕芽、山中美緒、小出深冬は小さい時からラグビースクールやタグラグビーで楕円球に親しんできた選手たちである。


 そんな中でも、中村知春主将と桑井亜乃の2人が他競技からの「転向組」であり、異彩を放っている。

「バスケットボールの経験が生きています」

バスケットボールから転向し、日本代表の主将を務める中村
バスケットボールから転向し、日本代表の主将を務める中村【斉藤健仁】

 まずはチームの中で「アニキ」と呼ばれているキャプテンの中村は、小学4年から法政大学まで12年間、バスケットボールをプレーしていた。バスケットボール日本代表歴もある森ムチャ(トヨタ自動車)と同じ年(27歳)で地元が近く、162センチの身長だったため、ポジションはポイントガードだった。ただ「実業団から声をかけられるレベルにはなく、五輪出場も考えたことはなかったですね」と振り返る。


 2010年、中村は大学の部活を引退後、「違う競技をやってみたい」と実家の近くで練習していたクラブチームの門を叩く。そのチームが「フェニックス(現・東京フェニックスRC)」という名門だったこと、また中村はもともと闘争心があり、コンタクトを厭わなかったことも功を奏し、2011年に五輪を目指すために日本ラグビー協会が実施した、女子選手にとっては1回目となる「セブンズアカデミー」に招集。タイミングも良かったと言えよう。そして、その実力が評価されて、すぐに日本代表合宿に呼ばれ、2012年から主将を務め続けている。


 中村のポジションはSH(スクラムハーフ)だ。バスケットボールのポイントガードよろしく、ボールをさばき、ゲームをコントロールする。ラグビー経験が少なくても、パスのうまさはバスケットボール経験者ならではだ。またディフェンスの間を、ボールを持って仕掛ける姿も同様。「セブンズとバスケットボールはフィットネスが必要で、ボールのハンドリングや相手を抜くスポーツという共通点がり、味方のためにスペースをつくる動きなどの感覚はバスケットボールの経験が生きています」

中村「本当にレベルも上がってきました」

相手を抜く動きでは、バスケットボールの経験が生きていると語る
相手を抜く動きでは、バスケットボールの経験が生きていると語る【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 ただ、2009年に女子ラグビーが五輪の正式種目となって以来、多くの若い選手が切磋琢磨し、国内大会も整備されてレベルが上がってきた。五輪代表に選ばれる前、中村は「今の若い選手はスキルがある選手が多いです。本当にレベルも上がってきました。私は基本スキルをぶっ飛ばしてやってきましたが、(日本代表としての)プライドは持っている」と語っていた。


 女子ラグビーは、2012年、女子として初のフルタイムの指揮官となった浅見敬子ヘッドコーチが就任して以来、環境面が良くなり、強化が進んできた。中村は常にそんなサクラセブンズの先頭に立って走ってきた。現在では1年間で300日に及ぶ合宿と試合を通じて、誰よりも楕円球に打ち込んできた。その自負は誰にも負けない。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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