プロスト的勝利のハミルトンが首位浮上 今宮純のハンガリーGPインプレッション
あえて独走することなく勝ったハミルトン。ロズベルグの精神的なダメージは……? 【LAT】
速さで押すレースではなく、むしろ速さを必要十分な程度に抑え、2位ニコ・ロズベルグをぶっちぎろうとはしなかった。
「1周引き離そうが1秒差だろうが、前でゴールすれば、勝ちは勝ち」
これは昔、国内レース取材を始めたころに日産ワークスチームの長谷見昌弘さんから聞いたお言葉。奥深い意味を、駆け出し新米記者の自分は理解するまでに時間がかかった。余談を言うなら星野一義さんはセナ的で、長谷見さんはプロスト的なのかもしれない。F1取材に移行してから、お二人を、そう思ったりした。
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トップ集団すべてがスタートで加速
コース全域が新舗装され、毎日雨に洗われたグリッドは奇数列も偶数列も路面グリップに、これまでのような差異はない。2番手のハミルトンがダッシュ、2列目レッドブル勢もそつなく、3列目フェラーリのベッテルもクリーンに決めた。今年トップ集団すべてが、これほどのスタート加速を見せたのは印象として初めてだ。
だから広い1コーナーで“スリーワイド(3台が並走)”のような飛び込みが見られた。たまらないシーン。ハミルトンは抜け出し、ロズベルグは位置取りがうまくいかず後退、それでも2コーナーへのアウトサイド・ラインを見抜いた。一瞬レッドブル勢にやられかかったピンチをしのぎ、メルセデス勢がワンツーを確保。ハンガロリンクでは1〜2コーナーをめぐる攻防、位置取りとスペースによってトラクションも変化するから、最初で最後の最大のオーバーテイク・チャンスが、ここになる。
「取ったぞ1コーナー」。だが、ハミルトンには逃げを打つ気配がない。5周目1.405秒、10周目2.033秒、15周目2.557秒、16周目にピットへ。ここまでスーパーソフトをいたわり、ソフトタイヤに切り替えても2秒前後のリードを保ち続け、41周目に2度目のピットイン。2位のロズベルグ目線だと、敵を視界内に捉えてている。52周目、周回遅れのエステバン・グティエレスに引っ掛かったハミルトンは「早くどけ」と抗議、ロズベルグとの差は0.619秒差に急接近。すると53周目1.208秒、55周目2.688秒、またたく間に視界の外へ逃げていった。