高校野球芸人と都立強豪校を見てきた――カネシゲタカシの『ぷぷぷぷプロ野球』

カネシゲタカシ

左:知らないおじさんと野球談義する藤田。右:わたし 【カネシゲタカシ】

 高校野球大好き芸人のトータルテンボス藤田憲右と行く初めての地方大会! テーマは「強豪都立を見に行く」。今回はその後編です。

都立強豪校vs.かつての強豪校

 東東京大会3回戦「都立城東対日大一」(江戸川区球場)は小雨の中プレイボール。

 城東は1999年と2001年に夏の甲子園出場を果たした都立の名門。春の都大会は準々決勝で惜敗するも、エース・関根智輝投手(3年)を中心に、その後優勝する関東一と互角の戦いを繰り広げたとか。

 対する日大一は、その昔「夏の一高」と呼ばれた甲子園経験も豊富な“かつての強豪校”。さあ、試合の行方やいかに?

「おっ、これ両軍のキャッチャーが同じ中学出身ですよ」

 さっそく藤田はさっき買った選手名簿から両校のページを素早く見つけ、読み解く作業を始めます。

 ちなみに彼はプロ野球選手の出身校をほぼ暗記している「出身校マニア」。“埼玉県は聖望と埼玉栄と花咲徳栄がごっちゃになる”ってのが「埼玉あるある」だそうですが、こんなにピンと来ない“あるある”も珍しい。

「このピッチャー、あと7キロ早かったら本当にいい投手になれますよ」

「ああ〜、センター正面か。変化球のぶん詰まりましたね」

 高校野球芸人のナマ解説を聞きつつ0対0で1回が終了。ここでわれわれは試合前から薄々感づいていた、ある事実に確信を得ます。

「関根くん、いませんね……」

目当ての“都立の星”関根投手が……

選手名簿には名前があるのに……関根君の姿が見当たらない…… 【カネシゲタカシ】

 城東をエースで4番として支える“都立の星”こと関根投手がまさかの欠場。彼を目当てに来たとも言えるだけに、軽く慌てつつ「背番号1」を探します。

「うーん、グラウンドには見当たりません。そもそも円陣のとき、城東は選手が1人足りないんですよ」

 そ、そうかぁ。なんだろう、アクシデントかな?

「普通にトチってたらイヤですけどね。『遅刻しました〜』とか言って後から来て……」

「トチる」とは芸人用語で「すっぽかす」の意味。そんなエースで4番はイヤだ!

 ひとまず何か情報はないかとツイッターで検索してみると、やっぱりありました。「関根投手は体調不良で欠場」という学校関係者……というか高校生らしき人物の投稿が。

 あっさり機密が漏洩してて、落合中日ならこの関係者はクビだなと思いつつ、エースと4番を同時に欠いた城東が心配になります。

 あ、そういえば藤田はエースで何番だったの?

「高校時代、僕は7番を打ってました。でもバッティングはほとんど練習しませんでしたね。だから自分に打撃センスがあるかないかも、いまだにわかんないんス」

 なるほど。限られた練習時間を有効に振り分けると、自ずとそういうことになるのでしょう。そして最終的にこの手の会話は「大谷翔平すげー」に行き着きます。

ユニホームの違いの真相は!?

城東のユニホーム。写真は試合後に撮影 【カネシゲタカシ】

 選手名簿によると城東は部員107名の大所帯。ユニホーム姿でメガホンを持った補欠の選手たちが三塁側スタンドで大声援を送っています。そんな彼らのユニホームは「白」。グラウンドの選手たちのユニホームは「黄色っぽい白」。この違いはなんなのか?

 ちょうど城東野球部OBだという某野球雑誌のT記者からメールが来たので、この謎を尋ねてみました。すると明快な回答が。

「公式戦用は素材が全然違うんです。スタンドのみんなが着てるのは練習用で、わざと色を変えているわけではありません」

 なるほど、そういうことですか。

「たぶんですけど、ソックスの色も違いませんか?」

 あ、違う! スタンドの選手のソックスだけ、緑地に白いラインが2本入ってます。

「僕らのときは入ってなかったんで、なにか意味があると思います。ライン2本だから『甲子園に2回行った誇りを持とう』的な? あくまでも僕の想像ですけど(笑)」

 真相をご存知の方は教えてください。

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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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