【NJKF】テヨンが判定の辛勝で新王者に TOMONORIは3度目の正直で戴冠

長谷川亮

判定勝利で王者となったテヨン 【長谷川亮】

 ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)「NJKF 2016 5th 〜WBCムエタイ祭り〜」が23日、東京・ディファ有明で開催された。

 今回は大会タイトルの通り、WBCムエタイ王座戦3試合を実施。ダブルメインイベントではスーパーライト級とフライ級、2階級のインターナショナル王座決定戦が行われた。

テヨンは勝利にも笑顔が見られず

テヨンは効果的なローを放っていたが、決定打にはつなげられず 【長谷川亮】

 スーパーライト級王座決定戦に挑んだのは同日本統一王者のテヨン。18勝のうち実に15勝がKOというテヨンは“破壊の激闘王”の異名を持ち、元WPMF世界ライト級王者で、WBCムエタイでは2013年にインターナショナル・スーパーフェザー級王座を獲得しているマティアス・セブン・ムエタイ(イタリア)と対戦した。

 1R、マティアスは左ロー、テヨンは右ローと両者は蹴り合いでスタート。しかしより効果的に映ったのはテヨンのローで、マティアスはダメージを隠すかのように自身の足を叩き、もっと蹴ってこいとアピールする。

 強気な態度とは裏腹に、いずれローのダメージで音を上げるかと思われたマティアスだがその後も変わらぬ様子で試合を続行。テヨンの振るう豪腕パンチをブロックで弾き、3Rからは自らもローを返してダメージを与える。テヨンはパンチに活路を求めるが、マティアスのガードは依然固くブロックに阻まれる。

 4R、クリーンヒットは上げられないもテヨンは連打で手数をまとめ、マティアスがヒジを振るってくるとこれに同じ技を返してカットを奪う。だが、ラウンド後半はやはりガードを固くしたマティアスがローとミドルで反撃し、最終5Rもインローとアウトロー、使い分ける左右のローでテヨンの出足を止め、翻弄(ほんろう)して終了。

 判定は49−48(テヨン)、49−48(マティアス)と接戦を表すように2者で割れ、最後の1者は49−48でテヨンを支持。2−1の辛勝で新王者となったテヨンだったが、「マティアス選手は今までにない戦い方で内容は負けていたと思います。判定は勝ちになっていますが、そうじゃないなっていうのが正直な感想です。反省が大きいです」と笑顔は見られず、胸を張っての戴冠とはならなかった。

TOMONORIは悲願達成に涙

TOMONORIはベラルーシのシティバを破り初戴冠 【長谷川亮】

 一方、もう1試合のダブルメインイベントでWBCムエタイ・インターナショナル・フライ級王座を戴冠したのはTOMONORI。これまで2度インターナショナル王座に挑んできたTOMONORIだがいずれも獲得に至らず。3度目の挑戦となる今回はアマで103戦83勝と豊富なキャリアを経てプロ入りし、WAKO2013世界王者などの実績を持つシャリー・シティバ(ベラルーシ)と対戦した。

「フィジカルでガツガツ来るタイプ。でもガツガツ来てくれると逆にカウンターは狙いやすいと思うので、今回は相手が来たらカウンター、どんな攻撃に対してもカウンターを合わせられるようにしたい」と戦前話したTOMONORIはその言葉通り1Rからカウンターを当て、2R終盤にシティバの踏み込みに合わせて左フックを決めダウンを奪う。

 3R、なおも攻めくるシティバが振るうフックの内側を抜いて縦ヒジでカットを奪ったTOMONORIは、その後はアウトボクシングを展開して危険な場面を作らず3−0の判定勝ち。

 勝利が決すると3度目での悲願達成にTOMONORIはグローブで目頭を押さえ、「今回は何が何でも勝ちに徹して戦いました」と負ければ引退も辞さないと語っていた一戦での勝利を喜んだ。

日本人無敗・一戸を降しMOMOTAROが防衛

対日本人4年間無敗の一戸に対し判定勝利をしたMOMOTARO 【長谷川亮】

 国内頂上対決ともいうべきWBCムエタイ日本統一フェザー級タイトルマッチは王者MOMOTAROが連勝を13に伸ばして一戸総太を降し王座を防衛。

 対日本人4年間無敗の一戸であったが、MOMOTAROは2・3Rと要所で離れた距離からのヒザ蹴りを効かせ、首相撲で組み負けず、4・5Rは持ち味である優れた距離感を活かして一戸をさばいて試合終了。判定3−0でWPMF世界フェザー級王者でもある実力者・一戸を降すと、「次はインターナショナル王座を目指します」とさらなるステップアップを誓った。

 そのほか、大会の全試合結果は以下の通り。
■「NJKF 2016 5th 〜WBCムエタイ祭り〜」
2016年7月23日(土)東京・ディファ有明

<第6試合 WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーライト級王座決定戦 3分5R>
○テヨン(キングジム/WBCムエタイ日本統一王者)
(判定2−1)
●マティアス・セブン・ムエタイ(イタリア/同級世界11位、元同インターナショナル・スーパーフェザー級王者)
※49−48(テヨン)、49−48(マティアス)、49−48(テヨン)
※テヨンが新王者に就く

<第5試合 WBCムエタイ・インターナショナル・フライ級王座決定戦 3分5R>
○TOMONORI(OGUNI/WBCムエタイ日本統一王者)
(判定3−0)
●シャリー・シティバ(ベラルーシ)
※49−47、49−47、50−47
※TOMONORIが新王者に就く

<第4試合 WBCムエタイ日本統一フェザー級タイトルマッチ 3分5R>
○MOMOTARO(OGUNI/王者)
(判定3−0)
●一戸総太(ウィラサクレック・フェアテックス池袋/同級2位、WPMF世界フェザー級王者)
※49−48、50−48、50−47
※MOMOTAROが初防衛に成功

<第3試合 70kg契約 3分3R>
○宮越宗一郎(拳粋会/WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーウェルター級王者)
(判定2−0)
●白神武央(拳之会/WBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王者)
※29−29、29−28、29−28

<第2試合 WBCムエタイ日本統一バンタム級挑戦者決定戦 3分5R>
○林敬明(TSKjapan/同級2位)
(1R3分06秒 KO)
●前田浩喜(CORE/同級1位)

<第1試合 WBCムエタイ日本統一フライ級王座決定トーナメント準決勝 3分3R>
○ローズ達也(ワイルドシーサー沖縄/同級3位)
(判定3−0)
●大槻直輝 (OGUNI/同級2位)
※29−27、30−27、30−27
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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