スカウト陣も今季のイチローを評価 強い当たりもシフトに阻まれあと6のまま

丹羽政善

イチローは現地20日のフィリーズ戦で代打で登場。強い当たりを放ったが、相手シフトに阻まれた 【Getty Images】

 大リーグのスカウトは、打撃、守備、走力、肩という4つのカテゴリーをそれぞれ80点満点で評価するそうだ。今朝、ナ・リーグ、ア・リーグそれぞれのスカウトとホテルのラウンジで一緒になったときに教えてくれた。

 そのとき、ア・リーグのスカウトがこんな質問を投げかけて来た。

「少し前、われわれのチームでいろいろな選手の評価をしたが、4つの部門すべてで、満点近い得点をとったのは誰だと思う?」

 何人かの選手を思い浮かべながら、一方でバランスの悪い選手の名前を消しながら、という作業を頭の中で行ったが、すぐには答えられないでいると、「簡単じゃないか、イチローだ」と教えてくれた。

「打撃はもちろん、肩の強さ、守備範囲、走塁も申し分ない。彼は2007年のシーズン終了後にフリーエージェントになる予定だっただろ? シーズン途中でマリナーズと再契約してしまったが、そう出なければ、われわれは取りにいっただろう」

「イチローの年俸は格安」

 ナ・リーグのスカウトも同意する。

「イチローのバランスの良さは、例えば彼がメジャーに来てから、群を抜いているかもしれないな。マーリンズが今、代打でしか起用しないのはもったいない」

 そこは言っても始まらないところだが、実際、今のイチローなら、スタメンで使いたいチームがあるだろう。

 トレード期限が8月1日午後4時(米東部時間)に迫るが、例えばリードオフマンが固定出来ないマリナーズなど、欲しい選手だ。
 
「ただ、マーリンズがトレードするとは思えない」とナ・リーグのスカウト。
 
「手放さないよ。来年のオプションもあるだろ? いつ行使を決めてもおかしくない。控えという役割を完璧にこなしているし、リーダーシップ、若い選手に与える影響まで加味すれば、イチローの年俸は格安だ」
 
 イチローの今年の年俸は200万ドル(約2億1000万円)。来季に関しては球団がオプションを持つ。行使した場合の年俸は200万ドル。これなら確かに格安だ。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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