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サンウルブズ、1年目の総括
もがきながら戦って見えてきたもの

最下位に終わるも意義が大きかった1年目

18日に記者会見を行ったハメットHC(右)と堀江主将
18日に記者会見を行ったハメットHC(右)と堀江主将【斉藤健仁】

“日出ずる国の狼”サンウルブズの1年目の戦いが終わった。


 結果は1勝1分13敗、勝ち点9で18チーム中最下位だった。準備期間は2週間ほどしかなく、移動距離も長く、自前のクラブハウスもないなど問題は多々あった。それでも、日本チームが南半球のラグビー強豪3カ国を中心に行われているスーパーラグビーに参入した意義は大きく、当初の目的は大いに達成できたと言えよう。


 なぜサンウルブズがスーパーラグビーに参入したのか。その第一義の目的は、2019年にワールドカップの自国開催を控える日本代表の強化にほかならなかった。日本代表は、世界の強豪国と試合をする機会は年に数回しかない。「テストマッチレベルの試合を増やせる」という理由で、エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチ(HC)が積極的に、日本チームの参入をサポートした。


 だが昨年、9月に控えたワールドカップへの強化と平行してスーパーラグビーの準備が行われていたために、いっこうに選手の契約は進まなかった。運営サイドも日本にできる初めてのプロラグビーチームということもあって後手を踏み、「プロフェッショナルがいない」と業を煮やしたことが理由の一つとなり、スーパーラグビーチームの強化担当職にも就いていたジョーンズHCは日本を去った。


 それでも初代主将となるHO堀江翔太は「今回、スーパーラグビーに参入しなかったら次はない」、「どう転んでも、日本ラグビー界にはプラスに働く」と、いち早く決意し、積極的に仲間に声をかけたことで、ワールドカップ組のPR稲垣啓太、CTB立川理道、WTB山田章仁らがサンウルブズでプレーすることになった。またチーム内のMVPを受賞したSOトゥシ・ピシ、FLエドワード・カーク、アンドリュー・デュルタロ、FBリアン・フィルヨーンらはジョーンズHCがリストアップした選手だった。

幸運だったハメットHCの就任

元NZ代表のハメットHCはスーパーラグビーでの戦い方を熟知していた
元NZ代表のハメットHCはスーパーラグビーでの戦い方を熟知していた【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 昨年12月、やっと初代指揮官が、元ニュージーランド(NZ)代表のマーク・ハメットに決まる。クルセイダーズで選手とコーチとして優勝を経験、2011年から4年間、ハリケーンズを指揮していた人物だった。人柄には定評があり、トヨタ自動車に何度かスポットコーチとして来ていた縁もあり、推薦された。「周りから(日本行きは)反対されたが、闘牛士に赤い布を振られている牛のように」と、純粋にコーチの本能で、ゼロからスタートするチームの指揮官に就いた。


 サンウルブズにとって、ハメットHCを呼ぶことができたことが幸運だったと言えよう。スーパーラグビーでの戦い方を熟知していたハメットHCは、コーチングの能力も高く、常に選手、コーチたちに耳を傾けて、負けが続いても常にポジティブであり続けた。そして180日間のうち、移動も含めて90日が海外での活動であるため「どれだけフレッシュな状態で試合をできるか」とリカバリーを一番大事にした。

WTB山田はランク2位タイの9トライを奪う

スーパーラグビーのトライランキングで2位タイの9トライを決めた山田
スーパーラグビーのトライランキングで2位タイの9トライを決めた山田【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】

 またハメットHCは準備期間が少ない中で、まず「選手はディフェンスよりアタックが好き」と戦術の整備を進めた。パナソニックのコーチである田邉淳氏の手腕も大きかった。ユニットを配置し、グラウンドを広く使う戦術を採用したサンウルブズは、WTB山田がトライランキングで2位タイの9トライを奪取。トライ数の33トライは16位タイだったが、ラインブレイクの回数は149回で全体8位、ボールを持って走ったメートル数も6416mで全体8位、ボール持って走った回数は1692回で全体6位になるなど攻撃面では大いに通用していた。


 4月、勝利したジャガーズ戦もラストワンプレーでトライを取りきって36対28で勝利し、秩父宮ラグビー場が歓喜に沸いた。また13敗の内訳を見てみても、ボーナスポイントがもらえる7点差以内の敗戦が3試合、14点差以内の敗戦が3試合と、負けた試合でも半数は善戦していたことがわかる。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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