【全日本】諏訪魔、半年ぶり復帰戦黒星も完全復活宣言 秋山は三冠前哨戦で王者・宮原に完勝

高木裕美

半年ぶりの復帰戦で完敗した諏訪魔だが完全復活を宣言 【横田修平】

 全日本プロレス「2016 サマーアクションシリーズ」開幕戦となる14日の東京・後楽園ホール大会では1163人を動員した。メインイベントでは、1月から長期欠場中であった看板エースの諏訪魔が約半年ぶりに復帰。Evolutionの青木篤志、野村直矢と組んで、ゼウス、石川修司、スーパー・タイガー組と対戦した。
 諏訪魔は今年の1.2後楽園大会で秋山準から三冠ヘビー級王座を奪取。しかし、その代償として右アキレス腱完全断裂の重傷を負い、王座を返上して治療にあたっていた。

復帰早々、巨体・石川とど迫力ファイト

【横田修平】

 諏訪魔は先発を買って出ると、右足首を何度も回すなどして感触を確かめながらも、タイガーとエルボーを打ち合い、石川とはタックル合戦。7分過ぎにはゼウスとタイガーに交互にチョップを打ち込み、ラリアットで倒すと、石川に3人同時のドロップキックを炸裂。15分には石川の巨体をバックドロップで投げ、ラストライドを狙うモーションも。だが、石川はこれをはねのけ、ファイヤーサンダー、ランニングニーをぶち込むと、豪快なジャイアントスラムで諏訪魔をマットに突き刺し、3カウントをもぎ取った。

「痛いけど面白かった」と闘志が再燃

【横田修平】

「不安だらけ。デビュー戦くらい緊張した」という諏訪魔は、「今日の復帰戦、負けてプロレスの厳しさ、難しさが身にしみて分かりました」と、リングで戦うことの重みを噛み締めつつ、「痛いけど面白かった」と、早くも闘志が再燃。「当然、(目指すのは)三冠なんだけど、面白いヤツがいっぱいいる」と、今日敗れた石川をはじめとする強敵たちとの戦いにも目を向けつつ、「オレらが本格的に動き出すのはこれから。必ず再起動して、新たな標的を見つけて、新しいものを見せつける!」と、一日も早いトップ戦線への返り咲きを誓った。

スターネスダストで王者を粉砕

【横田修平】

 セミファイナルでは、7.23博多で三冠ヘビー級王座を争う王者・宮原健斗と挑戦者の秋山準が前哨タッグ対決。宮原はジェイク・リーと、秋山はDDTプロレスリングのKO−D無差別級王者・竹下幸之介と組んで、熱い火花を散らした。
 宮原はもう一人の若き王者・竹下がリングインすると、背中を向けてシューズを直すなど、他団体ながらライバル心むき出し。竹下の打点の高いドロップキックにフロントキックで反撃するなど、この団体のチャンピオンだというプライドをギラつかせる。秋山には低空ドロップキック2連弾でヒザを破壊しにかかるも、秋山はモノともせずにカウンターのジャンピングニーを繰り出すと、宮原も後頭部へのニーからヒザ蹴りを連発。だが、必殺のシャトダウン式ジャーマンスープレックスを狙おうとしたところ、秋山が振り切り、すかさず顔面にカウンターのニーを発射。さらにランニングニーからのスターネスダストで王者を粉砕した。

【横田修平】

「ここ数年では一番いい状態で臨めている」という秋山は、「周りが自分よりも20以上若い中で、元気をもらっている」と、若き選手たちのエネルギーを吸収し、糧にしているとニヤリ。フィニッシュのスターネスダストについては「久しぶりに試し切りもしておかないと本番で出す時にね(笑)」と、王座戴冠への“予行演習”にもぬかりなし。「今の自分をすべて出すというつもりでいる」と、半年ぶりの王座返り咲きに意欲を見せた。
 一方、敗れた宮原は両肩を担がれ退場。両者の明暗がクッキリと分かれた。

世界ジュニア防衛の光留に高尾が挑戦表明

【横田修平】

 世界ジュニアヘビー級新王者となった佐藤光留は、ベテラン・高岩竜一を退け初防衛に成功。次期挑戦者には高尾蒼馬が名乗りを上げた。
 これまで新日本プロレスのIWGPジュニアヘビー級王座、プロレスリング・ノアのGHCジュニアヘビー級王座を獲得し、メジャー3団体制覇を目指す高岩は、強烈なチョップの威力で佐藤を圧倒。さらに垂直落下式ブレーンバスター、串刺しラリアット、3発にも及ぶデスバレーボムに加え、ショートレンジラリアットをぶち込んでいく。なおも、代名詞ともいえるもちつきパワーボムを繰り出すが、1発目を食らった直後に佐藤が腕をつかむと、足取り腕ひしぎ逆十字固めで大逆転勝利。辛くもベルトを守り抜いた。
 休む間もなく、新たな敵としてリングに現れたのは高尾。この日の第2試合で元チームドリフの盟友・石井慧介からピンフォールを奪い、「解散してシングルプレーヤーとして上に行く」と決意を新たにした高尾は、さっそく王者に「光留さん、挑戦受けてください」と直訴。これに対し、佐藤は怒るどころか「今の試合を見て、オレと試合をしたいだなんて、君はとんだ変態野郎だよ。オレは変態が大好きなんだ。もちろん、受けて立つよ」とその場で受諾。かつてはメイド服姿で入場し、中澤マイケルと「変態團」を結成していた自身の過去の称号を、DDTの若きホープに与えた。すると高尾も「この変態の挑戦、受けてくれてありがとうございます!」と笑顔で大喜び。両者のタイトルマッチが決定的となった。

南野が極悪ファイトで中島の“アモーレ”強奪

【横田修平】

 GAORA TVチャンピオンシップ選手権試合では、南野タケシが王者・中島洋平が「アモーレ」と溺愛する赤いベルトを汚い手で強奪した。
 中島は前回6.15後楽園大会で田村和宏からベルトを奪い返し、ベルトならぬアモーレに優しく口付けをかわすも、直後に南野が乱入。中島のアモーレを奪い取り、ベロチューをかまして陵辱しまくった。

 この日も南野は極悪ファイト前回。まずはゴング直後に握手を求めると見せかけて奇襲攻撃をかまし、手に噛み付くと、リング下から金具を持ち出して隠し持ち、レフェリーの目をあざむいてチョーク攻撃。さらに中島をロープに逆さ吊りにして急所を踏み付けると、場外で鉄柵に振り、場外マット上へボディースラム。リングに戻して顔面を踏みつけ、チョップ合戦から南野がブレーンバスター。中島もプランチャ、トペスイシーダ、卍固めなどで食い下がり、ハイキック、ジャーマンスープレックスとたたみかけるが、南野はボンバー斉藤レフェリーを巻き込み、失神させる。直後に中島のジャーマンが完璧に決まるが、レフェリー不在でノーカウント。
 ピンチを乗り切った南野は、レフェリーのブラインドを突いて中島に急所攻撃を打ち込むと、横入り式エビ固めで丸め込み、ロープに足をかけた状態でフォール。まだ意識もうろうとしていたレフェリーが、これに気づかず、3カウントを叩いてしまったため、王座移動となった。
 南野は「アモーレちゃん、今夜はゆっくり愛し合おうぜ」とベルトを抱き寄せ、中島に見せ付けると、「おまえ、かわいそうだから、得意なリマッチ受けてやるよ」と、情けをかける余裕も。浮かれ気分でアモーレを撫で回す南野に対し、いとしい恋人を失った中島は「アモーレ、アモーレ」とつぶやきながら、焦点の合わない目で控室中をさまよっていた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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