早実・清宮、期待を裏切らない2回目の夏 初戦は本塁打&チーム快勝で「上出来」

清水岳志

6000人の観客の前で51号弾

2年夏の初戦を迎えた早稲田実・清宮はいきなり高校通算51号となる一発を放った(写真は6月の練習試合から) 【写真は共同】

 本当にこの日が楽しみだった。早稲田実・清宮幸太郎の2回目の夏が始まったからだ。

「ホームランも出たし、上出来かな」

 チームは11対1のコールド発進。自身も通算51号となるホームランを放った。八王子球場の観衆は6000人。報道陣90人を集め、その期待を裏切らない選手だ。10日はまさに1年分、成長した清宮だったように思う。

センターで出場の今春は2回戦敗退

 まずは遡って去年の秋。

「1年生という枕詞は取れるからね」

 早稲田実の和泉実監督が都大会で敗れた時の言葉だ。1年生球児として2015年を席巻し、翌年はどんな選手に育っていってくれるか、楽しみを込めたものだった。

 和泉監督はその時、「ポジション、打順など本人、チームにとって何が一番いいか考えたい」とコンバートを示唆していた。冬から初春にかけて外野の練習をしている報道があって、オープン戦はセンターで出場。迎えた春の東京都大会、パンフレットの登録は背番号8だった。初戦に快勝したが、2戦目の都昭和高戦では4番に入って自身は2安打したが、3番で打線が切れるなど攻撃は空回り。投手陣は勝負所で本塁打を喫し、よもやの敗戦。「自分が引っ張っていかなきゃいけないのに、情けない結果。夏の本番まで、課題を克服したい」と清宮は言った。

簡単にホームランを打ってしまう!?

 誓った清宮は2年生になって成長度合が増幅されている。5、6月にかけては秋田、宮崎、松本(長野)、熊野(三重)などで招待試合が組まれ、ホームラン数を増やしていった。高校通算本塁打は夏の大会前まで50本を積み重ねてきた。松井秀喜(星稜高/元ヤンキースほか)は高校3年間で60本だから、ペースは上回っている。この夏で松井の数字はクリアしているかもしれない。

 春先からその50本の中の数本を目撃した。大きな弧を描く打球あり、鋭いライナーのスタンドインあり。初球もフルカウントからのホームランもあった。今日のホームランは「狙っていた低めのカーブをうまくさばけた。うまくヘッドが返ってくれてヘッドスピードが上がったと思います」と本人の解説。監督も「彼には去年から、いろいろなホームランの形があるからね」と言った。要はよく打つ。珍しいものではなく、簡単にホームランを打ってしまうのだ。

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著者プロフィール

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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