セリーナ全英V、ついにグラフに並ぶ22勝 予感させるメジャー最多優勝回数の更新

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 テニスのウィンブルドン・女子シングルス決勝は9日、第1シードのセリーナ・ウィリアムズ(米国)が第4シードのアンゲリク・ケルバー(ドイツ)を7−5、6−3のストレートで下し、2年連続7度目の優勝を飾った。セリーナのグランドスラム優勝は通算22度目で、シュテフィ・グラフ(ドイツ)の通算優勝回数に並んだ。セリーナは、シングルスの後で行われた女子ダブルスでも姉のビーナス・ウイリアムズ(米国)とのペアで通算6度目の優勝を果たし、4度目のウィンブルドン単複優勝になった。

冷静なプレーで重圧乗り越える

2年連続7度目、グランドスラム通算22度目の優勝を決めたセリーナ・ウィリアムズ 【Getty Images】

 決勝戦に相応しいパワー、技術の応酬、息詰まる精神戦だった。

 要所に時速190キロ台のサーブを発揮してくるセリーナが有利に見える流れだったが、内実は切迫していた。カギは第1セットの第2ゲーム。第1ゲームを無難にスタートさせていたセリーナは、打ち合いから先に揺さぶりをかけて、いきなり3本のブレークポイントを握った。2人の対戦成績は5勝2敗。直近は今年の全豪オープンの決勝で、セリーナは自滅の形で先手を奪われて敗れた。その教訓だろう、気持ちを抑え、冷静にこのチャンスを生かそうとした。しかし、ケルバーは左からの得意の切り返しで抵抗し、抜群のショットコントロールを武器にラリー戦に持ち込みミスを誘った。

 このピンチを守り切ったケルバー、攻めきれなかったセリーナの気持ちの差が、ポイントの多少とは逆の戦況を作った。獲得ポイント数はセリーナが上なのに、チャンスはケルバーに傾いた。ケルバーは第7、第9ゲームで、打ち合いからデュースに持ち込んで相手の焦りを誘ったのだが、この日のセリーナはこうした場面で冷静に対処し、ブレークポイントまで届かない。セリーナの6−5で迎えた第12ゲームの最初のポイント、セリーナは14本の長いラリーを我慢し、逆クロスにウィナーを放り込んでチャンスをこじ開けると、30−40からもバックハンドのクロスを鋭く突き刺し第1セットを奪った。

 しかし、ケルバーには全豪の経験がある。セリーナのセカンドサーブに集中し、セリーナのセカンドからのポイント獲得率を39%に抑えている。3−3で迎えた第7ゲーム、ケルバーはたった1度のブレークポイントを握った。だが、セリーナはここで時速187キロ、198キロのファーストサーブを叩きこんで逃げ切り、続く第8ゲームを逆にブレーク。最後はラブゲームで決着をつけた。

 昨年の全米オープンでは準決勝でロベルタ・ビンチ(イタリア)に、全豪のケルバーに次いで、全仏オープンでも決勝まで行きながらガルビネ・ムグルサ(スペイン)に不覚を取った。

「今回はとにかく、冷静に自信を持ってプレーすることを心掛けた。第1セットを取ってから、大きく深呼吸して、これまで10年間やってきたテニスをやれば必ず勝つチャンスがあると言い聞かせた」

決勝でのセリーナのプレーはケルバー(右)も絶賛した内容だった 【Getty Images】

 幾度も優勝を重ねた女王でも、グランドスラムの決勝には大きなプレッシャーがある。それを乗り越えたプレーを、ケルバーが絶賛した。

「きょうは、自分ができることはすべてやり尽した。セリーナは本当に信じられないプレーをしていた。自分が負けたとは思わない。彼女が勝った試合だった」

 マリア・シャラポワ(ロシア)が欠け、シモナ・ハレプ(ルーマニア)、ムグルサといった後継候補がもたついている女子テニス界。セリーナは優勝回数をもう少し積み重ねそうだ。

(文:武田薫)


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