【WRESTLE-1】征矢が火野を破りGP2連覇達成 ムタ&武・殺忌苦が王者KAIに勝利

高木裕美
 1日のWRESTLE-1「WRESTLE-1 TOUR 2016 SYMBOL」東京・後楽園ホール大会では、811人を動員。前日の6月30日をもってAKIRA、田中稔、TAJIRI、浜亮太、中之上靖文の5選手が契約満了につき退団するというニュースがあったが、リング上では大きな混乱はなし。3月から長期欠場中であった大和ヒロシが8.11横浜文化体育館大会での復帰を表明するなど、明るい話題もあった。

征矢が2連覇 5人の退団には涙

「WRESTLE-1 GRAND PRIX 2016」決勝戦では、征矢学が火野裕士を破り2連覇を達成。8.11横浜文化体育館大会でWRESTLE-1チャンピオンシップ王者KAIに挑戦することが決定した。

 征矢は準決勝戦で期待の新鋭・芦野祥太郎と対戦するも、前日の練習中に右ヒザのじん帯を損傷した芦野は立つことすらもままならず、わずか27秒、セコンドのタオル投入によりTKO勝ち。この不完全燃焼のモヤモヤを、決勝では火野に思い切りぶつけていった。

 まずは火野の強力な武器であるチョップを封じるべく右腕攻めに出ると、デッドリードライブ、串刺しラリアット。10分過ぎには征矢のデスバレーボム、火野のFuckin' BOMBから互いにラリアットを打ち合い、火野がハンマーパンチでお返し。しかし、征矢も計4発のワイルドボンバーで3カウントをもぎ取った。

 前王者を倒し、2連覇の偉業を達成した征矢は、主力5選手の離脱という事態に「不安だったり、寂しい気持ちになった」とリング上で涙を流しながらも、「このトーナメントを優勝して、残っているメンバーで盛り上げていく!」と宣言。一方、挑戦を受けるKAIも「オレの信じる自由と、あいつの信じるワイルドの戦いだ」と真っ向からのイデオロギー対決をブチ上げた。

中之上&岡林、「外敵」として防衛ロードを進む覚悟

 WRESTLE-1タッグチャンピオンシップでは、中之上靖文&岡林裕二組が、近藤修司&“brother”YASSHIの「近ブラ」を退け初防衛に成功。フリーとなった中之上が、それでもベルトを死守した。

 近ブラは過去に全日本プロレスのアジアタッグ王座などを獲得した名コンビ。息の合った連係やYASSHIの反則スレスレのラフファイトで体格の壁をはねのける。しかし、大日本プロレスのBJWストロングヘビー級王者でもある岡林は、衝撃で体が浮き上がるほどの雪崩式ブレーンバスターをYASSHIに炸裂。中之上もダイビングエルボードロップを突き刺し、フリー初勝利を自らの手でもぎ取った。

 試合後、「どうしても挑戦したいことがあり、自分のワガママで退団させていただきました」と改めてファンに退団の報告をした中之上は、かつて自分が発言した「武藤敬司を楽にさせる」という言葉について「ほかで活躍するのも恩返し。いつか大きくなって対戦したい」と、改めて決意。岡林も「このベルトを持っている限りチャンピオン。リング上がすべて」と、外敵として、まだまだ防衛ロードを築き上げる覚悟を示した。

 一方、敗れた近ブラには大鷲透も合流。8.11横浜では、カズ・ハヤシ、ザ・グレート・サスケ、ディック東郷という元みちのくプロレスのレジェンドトリオに対し、「対抗するのは素行不良ユニット、悪冠一色しかない」と、この3人で立ち向かうと訴えた。

鼓太郎がV5 米国から帰国の児玉が次期挑戦者に

 WRESTLE-1クルーザーディビジョンチャンピオンシップ王者の鈴木鼓太郎は、アンディ・ウーを3たび退け、5度目の防衛に成功した。

 ウーは得意のキックや空中技で鼓太郎の牙城に迫るも、鼓太郎はファンネル、エンドレスワルツでじわじわと体力を削り取ると、ツームストンパイルドライバー、エルボーからのタイガードライバーでフィニッシュを決めた。

 V5達成で「これでWRESTLE-1クルーザー級全滅だ」と王座返上を匂わせた鼓太郎に対し、1年間、アメリカとカナダで海外武者修行してきた児玉ユースケが次期挑戦者に名乗り。「オレが全滅させない。止めるのはこのオレ。タイトルを奪って、クルーザー級の新しい未来、オレが作ります」と新時代到来を宣言する児玉に対し、鼓太郎も「オレは15年間ジュニアに賭けてきた。アメリカに1年間行ってこようがオレには勝てない」とキャリアと実績の差を誇示した。

怪奇派レスラーと化した武・殺忌苦

 スペシャルタッグマッチでは、グレート・ムタが魔界からの使者、武・殺忌苦(ブサイク)を連れて降臨。KAI&稲葉大樹組と対戦。WRESTLE-1チャンピオンシップ王者であるKAIから武・殺忌苦が大金星を挙げた。

 ムタは前回の6.8後楽園大会で、一騎打ちを行った黒潮“イケメン”二郎を魔界に拉致。1カ月の時を経て、魔界から現れたのは、トレードマークのジャケットこそ健在なものの、怨霊のようなおどろおどろしい白い顔に傷だらけの怪奇派レスラーと化した武・殺忌苦だった。

 ムタと武・殺忌苦はさっそく、赤と緑の毒霧の競演を果たすと、場外で武・殺忌苦がKAIのトペ・スイシーダをイスで迎撃。武・殺忌苦がホウキで首を絞め、ムタがイスで殴りかかって顔面から流血させる。なおもムタがフラッシングエルボー、武・殺忌苦が足、そして急所への噛み付き攻撃。KAIも武・殺忌苦へのLATで反撃を試みるが、ムタがイスで妨害。武・殺忌苦はKAIの顔面に毒霧を噴射すると、ムタのアシストを受けてのダイビングフットスタンプで3カウントを奪取。そのまま2人で魔界へと消えていった。

 なお、黒潮には「イケメン試練の七番勝負」第6戦として、8.11横浜で飯伏幸太との一騎打ちが決定。またしても、未知なる扉を開くことになりそうだ。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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