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五輪で勝つために、眞鍋監督が下した決断
“日本らしいコンビバレー”に必要なこと

眞鍋監督「ディフェンスとチームワークを重視」

五輪代表選手12名が決定。ディフェンス力とチームワークを重要視し、古賀(中央)が外れた
五輪代表選手12名が決定。ディフェンス力とチームワークを重要視し、古賀(中央)が外れた【坂本清】

 6月27日、女子バレーのリオデジャネイロ五輪代表内定選手12名が発表された。


 パスヒッターの古賀紗理那が外れ、リベロの佐藤あり紗、座安琴希の2名が入った。どちらかをレシーバーとして投入する。


 昨年のワールドカップ(W杯)やワールドグランプリの活躍を見れば、古賀のメンバー入りは確実かと思われていただけに、会見では選考の理由、落選の理由に関する質問が相次いだ。


 悩み抜いたうえでの決断だった、と眞鍋政義監督は言う。


「サーブレシーブ、ディグ(スパイクレシーブ)を含めたディフェンス面を重視しました。(五輪決勝が行われる)8月20日に、目標を達成できるメンバーを選びました」


 重要視すべきは、ディフェンス力とチームワーク。それが12名を決める大きな理由だった。

ギリギリまで続いた五輪のメンバー争い

ワールドグランプリではOQTのメンバーから外れた選手たちが活躍。ぎりぎりまでメンバー争いが続いた
ワールドグランプリではOQTのメンバーから外れた選手たちが活躍。ぎりぎりまでメンバー争いが続いた【坂本清】

 メンバー発表の2日前、セルビア戦後のミックスゾーンで大竹里歩が言った。


「しんどいです」


 少し、目が潤んでいた。


 五輪前、最後の公式戦となるワールドグランプリ。ブラジル、米国、京都で開催された予選ラウンドは、五輪に向けた最後の公式戦。眞鍋監督も「このワールドグランプリで(五輪メンバーを)選考する、と口を酸っぱく言い続けてきた」と言うように、五輪最終予選メンバー14名と、メンバーから外れた4名、2013年の世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得したチームのエースとして活躍した井上愛里沙を加えた19名から、五輪に出場する12名が決まる。


 1戦1戦、1つ1つのプレーに結果が問われる。大竹が「最初は自分のプレーよりも、同じポジションの選手がいいプレーをすると、そればかり気になった」と言うように、自分のベストを出せばいい、と頭では思いながらも、なかなか割り切れない。五輪最終予選(OQT)で戦った選手はもっと大きなプレッシャーを背負っていたのだから、この壁を越えなければ代表の座をつかみ取ることはできない。「OQTで頑張ってくれたおかげでもう一度チャンスをもらえた」と分かってはいても、ギリギリまで続くメンバー争いは心も体も疲弊させるものだった。

勝つために、どんな戦いをすべきか

木村が言う“日本らしいコンビバレー”を展開するためには、センターからの攻撃回数を増やす必要がある
木村が言う“日本らしいコンビバレー”を展開するためには、センターからの攻撃回数を増やす必要がある【坂本清】

 メンバー選考の1つのポイントとして、眞鍋監督が挙げたのは「オリンピックで勝てる12名を選ぶ」ということ。日本がリオ五輪でメダルを獲得するためには、出場する12カ国のすべてに勝たなければならない。中でも大きな壁となるのはW杯を制した中国、14年の世界選手権優勝の米国、そして五輪開催国のブラジル。高さ、巧さ、戦術のいずれも高いレベルを維持する強豪国に日本が勝つために、どんな戦いをすべきか。


 ワールドグランプリは登録されず、試合出場の機会はなかった主将の木村沙織は、OQTを終えた後、こう言った。


「今のままではオリンピックでは戦えない。日本らしいコンビバレーをもっと展開できないといけないし、スパイカーがもっと決定率や効果率を上げないと厳しいと、みんなが感じていると思います」


 オポジットの長岡望悠や迫田さおりの攻撃力に加え、木村や石井など攻撃力を備えるパスヒッターがそろう。それは大きな強みであるのは確かだが、そこばかりに頼って、打数が偏れば、相手は警戒を強める。


 京都大会のセルビア、ロシア戦でも、先にマッチポイントを握りながら、相手のブロックに屈する場面や、簡単にワンタッチを取られて、相手の攻撃機会を増やし、逆転負けを喫した。特にロシア戦は、鍋谷友理枝が「相手の対応が早く、そこに自分たちが対応できなかった」と言うように、序盤は効果的に決まった鍋谷のスピードを生かした攻撃も、常にブロッカーが1枚マークする状況となった。そのため鍋谷のスピードは生かされず、コースをふさがれ、止められる。


 相手のブロックポイントやスパイクミスでの失点を減らし、木村が言う“日本らしいコンビバレー”を展開するために、まず高めなければならない、日本にとっての大きな課題がミドルブロッカー(MB)と、中央からのバックアタックを絡めたセンター線からの攻撃回数を増やすことだ。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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