ユーロ3会場の芝問題、ついに解決!?
問題視されるピッチコンディション

ユーロ3会場で足を滑らせる選手が多発

フランス代表のディディエ・デシャン監督はスイス戦の後、荒れた芝について嘆いた
フランス代表のディディエ・デシャン監督はスイス戦の後、荒れた芝について嘆いた【写真:ロイター/アフロ】

 滑ったり転んだり――残念ながら、選手たちが足を滑らせるシーンをユーロ(欧州選手権)2016では幾度となく見かける。犯人はピッチの荒れた芝。現地時間6月19日にリールのスタッド・ピエール・モロワで開催されたグループステージ第3節のスイス対フランスの後、フランス代表のディディエ・デシャン監督は嘆いた。


「選手たちはもっと大切に扱ってもらうべきなのに。本当に残念だ」


 高校卒業後に南仏の小さなアマチュアクラブでプレーしながら、市役所職員として庭師をしていたアディル・ラミは、自らを初めてプロとして受け入れてくれたリールの芝について、できる限り悪く言わないように心掛けた。


「ピッチの状態を言い訳に使いたいわけじゃないけれど、でも、プレーには大いに影響するもの。あんなピッチでプレーをするのは、すごく難しい。でも、庭師にとっても難しいことだったはずだ。それは理解している。だって僕も庭師だったから」


 大会開幕以来、3つのスタジアムの芝の状態が特に問題視されている。それがリールであり、ニースのスタッド・ド・ニースであり、マルセイユのスタッド・ベロドロームである。

開幕前の芝の張り替えが問題か

マルセイユのスタッド・ベロドロームもピッチコンディションが悪いとされるスタジアムの1つ。開幕前にロックコンサートが行われていた
マルセイユのスタッド・ベロドロームもピッチコンディションが悪いとされるスタジアムの1つ。開幕前にロックコンサートが行われていた【写真:ロイター/アフロ】

 まずフランス人の側に立って、言い訳をさせてもらおう。5月上旬から、フランス全土が記録的な長雨と低温に苦しんでいる。特にフランス北部のリールは、ほんの数日前までは朝夕の気温が10度しかなかった。しかも開催10会場中、上記3つのスタジアムのみが、開幕3週間前に芝を張り替えている。つまり低温のせいで、新しい芝がうまく根付かなかったとしても、なんら不思議ではないのだ。


 芝を張り替えるよう指示を出したのは、UEFA(欧州サッカー連盟)だったという。アイルランド人の芝エキスパートが全10競技場を下見し、「リール、ニース、マルセイユに問題あり」と判断したからだ。リールとマルセイユには、UEFA指定のオーストリアの専門業者から新たな芝が届けられた。


 下見の時期が早すぎたのではないか、さらには「根こそぎ芝を入れ替える」というやり方に問題があったのかもしれない、と指摘するのはフランス芝育成組合である。今回の問題を受けて、急きょプレスリリースを出したのだ。


 実は、フランスサッカーリーグは1部・2部の全スタジアムで、シーズンを通した「芝選手権」を行っている。これは各スタジアムの芝の状態をポイント化し、ランキングをつけて争うものだ。ここ数年はパリのパルク・デ・プランスが首位をキープし(15−16シーズンは18.9pt/20点満点)、肝心の3会場は全19チーム中、マルセイユが13位(14.8pt)、リールは15位(12.9pt)、ニースは16位(12.8pt)と確かに低迷している。


 ただしマルセイユに限って言えば、シーズン開幕時のポイントが4.2ptだったのに対して、シーズン後半は17pt台まで向上していた(シーズン終了後の5月13日に行われたロックバンド・AC/DCのコンサートが問題視されているわけだが)。またリールとニースも改善の努力が実り、最終盤は15pt台を確保していた。つまりフランス芝育成組合の判断によれば、5月中旬の時点でユーロの受け入れ会場として、いずれも十分な質の芝が育っていた。だから芝を根こそぎ入れ替えるのではなく、今ある芝に入念な世話を施すべきだった……と。

宮本あさか

スポナビDo

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