いざ宝塚―強い4歳世代それぞれの成長 ドゥラメンテ・キタサン・シュヴァル
ドゥラ・キタサン・シュヴァル 有力4歳勢の成長ぶりとは(撮影:下野雄規ほか) 【netkeiba.com】
二冠馬ドゥラメンテ『大人になりました』
馬体重は502kg(休養前と比べ+18kg)での出走だったが、「太くはない」と、M.デムーロ騎手が馬体の成長ぶりを語った通り、復帰初戦を危なげなく勝利で飾った。
その後、初の海外遠征となった今春のドバイシーマクラシックでは、本馬場入場の時に落鉄が判明。打ち直しを試みたが、レース前でテンションが高い状態では難しく、片脚は裸足のままレースに挑んだ。不利な状況でも力は十分に見せつけたが、2着だった。
「蹄鉄さえついていれば……ホント残念です。負けたけど、世界で一番強いと思っています」(デムーロ騎手)
その背中で強さを感じているからこそ、ドバイで大きな悔しさを味わった。堀宣行調教師もドバイ遠征をこう振り返る。
「ドバイに着いてから日に日に状態が上がっていたので、あのような結果になり非常に残念です。環境への順応も長距離輸送も上手くいって能力が出せるデキでしたが、精神面に課題のある馬です。この点はまだまだ日々課題として取り組んでいこうと思います」
ドバイシーマクラシック2着も「世界で一番強いと思っています」(撮影:大恵陽子) 【netkeiba.com】
「ドバイではメンコが壊れて片方の耳は(覆う布が)ついていませんでしたが、レースでも問題ありませんでした。今もたまにメンコをつけずに調教をしているようですが、先生とも話しましたが問題ないようです。大人になりましたね。若い時はすぐに掛かりましたが、操縦性が上がっているとドバイでも感じました」
誰もが認めるトップホースがさらなる成長を経た今、どんなレースをするのか楽しみは広がる。しかし、多少なりとも不安材料は存在する。それは、海外遠征組が帰国初戦で敗戦が続いていることだ。
安田記念では、同厩舎で香港帰りのモーリスが2着、同じドバイに遠征したリアルスティールは11着だった。堀師は帰国後の調整を慎重に進めながらも、ドゥラメンテのパフォーマンスの高さに期待を寄せる。
「ここのところ海外のレースではある程度の結果を出せるようになってきましたが、帰国初戦でその馬のパフォーマンスが出ないことを大きな課題として取り組んでいます。ドゥラメンテが帰国してからできる限りのケアと状態の確認・判断をしてきて非常にスムーズにきていますが、人為的ケアをしていることは否めません。
しかし、健康面が戻れば仕上げには手間取らない馬です。段階的に調整を進め、概ね順調にきています。欲を言えば、現場では物足りない面は感じますが、パフォーマンスをしっかり出せるところまで戻ってきました。通常なら、ダービー後の骨折やドバイ遠征は、馬の成長に大きな影響を及ぼす部分があると思います。小手先でどうにかなる問題ではありませんが、馬の能力が高くパフォーマンスで乗り越えてくれています」
国内では約1年ぶりとなるGI出走。怪物のさらなるパワーアップに期待が高まる。