東大・宮台が日本代表へし烈なサバイバル 選考合宿初日は自己最速148キロも…

スポーツナビ
 東大の速球派左腕・宮台康平が17日、神奈川・バッティングパレス相石スタジアムひらつかで実施された第40回日米大学野球選手権大会の侍ジャパン大学日本代表選考合宿初日の紅白戦に先発して2回1失点だった。

 1983年の12回大会で大越健介投手が選ばれて以来、東大から史上2人目となる日本代表を目指す宮台。今春の東京六大学リーグ戦では6試合に登板し、立大1回戦での完封勝利を含む2勝4敗。44回を投げて39奪三振、防御率2.05と安定した成績を残し、140キロ台中盤の球威を評価されて日本代表候補として推薦された。

緊張の中で初球から145キロ

 この日は球場に着いてから先発を知ったという。「緊張していたので余裕はなかった」とマウンドに上がるも、先頭打者・吉田高彰(上武大)の初球、テイクバックが小さくフォロースルーが大きい投球フォームから投じられたストレートは145キロを計測。結果、吉田には3球目の144キロのストレートをライト前へ運ばれたものの、牛島将太(明大)には2ストライク1ボールからの4球目シンカーで空振り三振。森川大樹(法大)にはフルカウントからの7球目シンカーで連続三振を奪った。その中で森川の6球目には自己最速を2キロ上回る148キロを記録した(結果はファウル)。ちなみに、本人はスコアボードに表示された148キロの数字には気付かなかったとのこと。その後、吉田に盗塁を許して二塁へ進まれたものの、182センチ94キロの巨漢・伊藤諄(東海大北海道)をセンターフライに打ち取った。

 一転2イニング目は不安定さが顔をのぞかせる。先頭の佐野恵太(明大)をレフトフライに打ち取るが、成田昌駿(中央学院大)に四球を許すと、小林満平(法大)にレフト前ヒットを浴びて走者をためる。さらに大山悠輔(白鴎大)に146キロのストレートを投じるも、打球はセンターオーバーの二塁打に。二走・成田はホームタッチアウトと味方のプレーに助けられたが、なおも2死二、三塁とピンチ。続く森下翔平(東海大)の打席では、追い込んでからのシンカーがワンバウンドとなる暴投で1点を失った。

代表監督はストレートに高い評価も…

 森下をレフトファウルフライに打ち取り、2イニングを投げて3安打、2奪三振、1四球、1失点。「短いイニングだったので配分を考えずいった」34球のうち17球が140キロを超えた。この合宿に合わせて「体のキレを出すために調整してきた。体調は万全だった」との言葉通り、投球フォームの躍動感や球威を見てもコンディションの良さを感じさせた。ただ、宮台は「真っすぐは走っていた」と振り返るも、大山へファウルを狙って投じたストレートをしっかりはじき返されて二塁打を打たれたことに「レベルの高さを見せつけられた。自分のピッチングはまだまだだなと感じだ」と自己最速を記録しても満面の笑みとはいかなかった。

 初見だったという大学日本代表の横井人輝監督も、選考の途中なのでと前置きをしつつ、「真っすぐにスピードがあった。これぐらい力のあるボールを放るんだなと思った。緊張はあったと思うけど非常に好印象」と高い評価を与えた。一方で、「変化球の性能なんかを見ると7割ぐらいの出来だったのかな。ピッチングとして考えるとこれから」と、パワーヒッターぞろいのアメリカ打線を抑えるのにカギを握る変化球の精度に安定感を欠いたこともあり、一発合格とはいかなかった。

ドラフト上位候補・笠原らがライバル

 横井監督は「右投手はバラエティーに富んでいるけど、左投手は数が少なく、そういう意味では宮台君も貴重な存在の1人」と語る。この日の紅白戦で、左腕ではドラフト上位候補と言われる新潟医療福祉大・笠原祥太郎が最速147キロのストレートを武器に2回無失点、国際武道大・伊藤将司が切れのあるストレートで2回を4三振奪って無失点と結果を出した。18日の紅白戦登板予定のメンバーには一昨年の全日本大学野球選手権準優勝に貢献した神奈川大・濱口遥大、今春の全日本大学野球選手権で優勝して最優秀投手を獲得した柳川優太らも控える。日本代表の座をめぐって、し烈な争いとなるのは間違いない。

 最終日の19日にも3度目の紅白戦が行われるが、宮台の最終結果もそこで判断される。今春のリーグ戦ではスタミナに課題を残した宮台も「(疲れは)今日は大丈夫。投げられるなら投げたい。レベルの高い人たちに投げられる機会が1日で終わってしまうのはもったいない」と登板を志願するつもり。「思い切り投げるスタイルや真っすぐをアピールしたい」と激しいサバイバルを制して、東大2人目となる日の丸のユニホームを着られるか注目が集まる。
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