全開で攻めたベッテル「最高の気分だった」 F1カナダGP無線ハイライト
スタートで首位に立ったものの結果は2位。戦いきって、ファンに手を振るベッテル 【Sutton】
「カモン! アイツは一体何をやってるんだ!」
F1カナダGPのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は、いつになく激しい言葉で周回遅れのマシンに対して不満をぶちまけた。それは、彼が今シーズンで初めてというほど限界までプッシュしていたからだ。
「最後の30周は、ずっとフラットアウトだったんだ。全開で彼(ルイス・ハミルトン/メルセデスAMG)を追いかけた。クレイジーなくらいにプッシュしまくって、やれる限りのことをやったんだ。最高の気分だったよ。レースっていうのはこうじゃなきゃね」
優勝は逃したが、ベッテルの表情はいつになく晴れやかだった。
レースが終わってみれば、2ストップ作戦は失敗だった。しかしジェンソン・バトン(マクラーレン)のマシンが止まってバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入された瞬間、フェラーリは事前に予定していたとおり、このスロー走行を利用して少ないロスでピットインを済ませてしまう作戦に出たのだ。
「この周ピットインしろ、ピットインだ」
5番手を走っていたキミ・ライコネン(フェラーリ)が、この無線を受けたのは11周目の最終シケインに差しかかろうかという時だった。すでにVSC終了のメッセージが掲示されており、ライコネンはステイアウトを望んだが、間に合わなかった。
「ピットインの決定は、かなりギリギリだったんだ。VSCは終わりかけていたし、僕としてはステイアウトしたかったけど、すでに最終シケインに向けたブレーキングに差しかかっていたから、話し合う余裕はなかったんだ」
これで15番手まで下がったライコネンは下位集団を次々と追い抜いていったが、約10周後にピットインしたレッドブルやウイリアムズからの突き上げをくらうことになった。
「イージーに行け、キミ」
「後ろを抑えながらイージーになんて、できるはずないだろ!」