武豊エイシンヒカリ、敵は難コースにあり 奥野庸介のプリンスオブウェールズS展望

JRA-VAN

大本命として挑むエイシンヒカリ

イスパーン賞の圧勝でプリンスオブウェールズSの大本命に推されるエイシンヒカリ 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 ロイヤルアスコット開催2日目のメインを飾るプリンスオブウェールズSは、欧州を代表する中距離の重要レースである。もちろん、過去に日本馬が勝ったことはなく、参戦例も昨年のスピルバーグ(6着)しかない。

 欧州競馬におけるロイヤルアスコット開催のポジションは、他の開催とは別格といえる。世界のホースマンにとって”ロイヤルアスコット”に馬を出走させることは誇りであり、目標でもあるのだ。

 エイシンヒカリは、その晴れ舞台の最注目レースに大本命馬として出走する。

 実力は前走のイスパーン賞で証明してみせた。香港Cまでの一貫した逃げ馬のイメージはどこへやら。2番手にがっちりと控えて、直線では後方でもがくライバルを置き去りにして欧州競馬を制圧。その結果、現在の世界ランクで頂点に立った。

 2番手以下の馬たちのプロフィールは後に述べるが、エイシンヒカリにとっての敵はそれらではなく、“おむすび形”の頂点にあたるスウィンリーボトムと呼ばれる窪地のコーナーを経て、ゴールまで上りが続く難コースだろう。

 現地マスコミの一部からも、「シャンティイはこなせても、アスコットはどうか?」という声が聞かれる。当日予想されるソフトな馬場を含め、こればかりはやってみないとわからないが、イスパーン賞は重心の低い走りで馬力を感じさせた。タフな欧州競馬はもってこいのように思える。

ここ10年の勝ち馬は人気上位が占める

昨年のBCターフ覇者ファウンド 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 今年の出走馬は6頭。イスパーン賞で大敗したニューベイ(昨年の仏ダービー馬)と伏兵視されていた愛オークス馬のコヴァートラヴ(このまま引退)、それに道悪を嫌ったタイムテストらが出走を取りやめた。

 実績上位の4歳牝馬ファウンドは昨年のBCターフで凱旋門賞馬ゴールデンホーンを下した。通算成績(15戦5勝、2着7回、3着2回)が示すように堅実だが、ここ2戦の競馬はともに勝ち馬から3馬身以上離された。まだ、昨年の出来にはないようだ。

昨年の同レースでフリーイーグルに次ぐ2着に入ったザグレーギャツビー(右) 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 昨年の2着馬でフランスから遠征するザグレーギャツビーはここが今年初戦。馬がフレッシュなのは良いが、馬場が悪くなるのはマイナスだろう。

 以下はダークホース。トリスターはドバイターフで優勝したリアルスティールから2馬身以上離されての3着。ここでも入着程度なら。ウエスタンヒムは昨年の3着馬だが、2着だったザグレーギャツビーとは能力差が認められた。マイドリームボートはイスパーン賞でエイシンヒカリに14馬身以上ちぎられている。

 ここ10年の勝ち馬の人気は1番人気が5勝、2番人気は2勝、3番人気が3勝。ファンの支持を集めた実力馬が強いレースである。

◎エイシンヒカリ
〇ザグレーギャツビー
▲ファウンド
☆トリスター
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