松井が大活躍のオールドタイマーズ・デー 過去に感謝し現在を祝福する一日

杉浦大介

オールドタイマーズ・デーでライトへ豪快な一発を放つ松井 【Getty Images】

 2回裏、“ミスター・オクトーバー”の愛称を持つレジー・ジャクソンを一塁において、松井秀喜がデービッド・コーンから右翼席への豪快なホームランを打ち込んだ。会心の一打に、松井は一塁に向かう途中で両手を横に広げる仕草を見せて……。

 ほとんどファンタジーに聞こえるかもしれない。しかし、すべては6月12日(現地時間)のヤンキースタジアムで本当に起こったことである。

「これ以上ないバッティング」と松井

 初夏の暑さだったこの日、恒例のオールドタイマーズ・デー・ゲームがニューヨークで開催された。今年も多くの元スター選手が参加した伝統チームの人気イベント。その中で最も生き生きした姿をみせたのは、当日に42歳の誕生日を迎え、「5番・ファースト」で出場した松井だった。

「ハッピーバースデー! ヒデキ・マツイ!」

 試合前のイントロダクションでそうアナウンスされると、バースデーソングも短く演奏される。地元を揺るがした人気は健在。ポール・オニール、バーニー・ウィリアムスといった近年の英雄たちとともに、今年の出場メンバーの中でも最大級の大声援が松井に送られた。

「これ以上ないバッティングだったと思います。現役時代でもなかなかあんなに完璧には打てないですよ」

 後に松井はそう振り返ったが、実際に2階席に運んだ大ホームランは見事な一打だった。さらに4回の2打席目ではフルカウントから右前打。3回裏にはファーストからライトの守備に移り、ライトフェンス際の大飛球を好捕するなど、現役時代をも上回るほどの(?)大活躍でファンを喜ばせた。

  現在のヤンキースはファーストの人材不足に悩んでいる。それだけに、試合後には米メディアも“現役復帰しては”と盛んにジョークを飛ばしたほどだった。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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