ドラ1候補・吉川尚輝の活躍が導火線に=雑草軍団・中京学院大が日本一の快進撃
スピードを生かしたプレーで攻守にチームの日本一に貢献した中京学院大・吉川 【写真は共同】
敵将もプレーに取り組む姿勢を賛辞
まず初回に、吉川はセンターの頭を越える三塁打で先制打を放ち勢いに乗る。すると、日本文理大・中村壽博監督が「吉川君に吸い寄せられるようでした」と振り返るように、面白いように吉川へ打球が飛び、吉川が華麗に舞う好守を連発。吉川は「神宮球場は夢のような舞台。球場に入り鳥肌が立ち、試合が始まってからも興奮していました」と屈託のない笑みを見せた。
またプレーに取り組む姿勢面に関しても中村監督は「プロ注目選手ですが、わがままなところが一切見受けられないスポーツマンシップを持った選手という印象でした」と振り返るなど、敵将からも賛辞が贈られた。
そして2回戦の桐蔭横浜大(神奈川野球連盟)戦では、吉川が4安打2盗塁の大活躍をし、これが他の選手への導火線となっていく。準々決勝の亜細亜大(東都大学野球連盟)戦は吉川が内野安打1本に終わったものの、打線が12安打を浴びせ5点を挙げると、エース左腕の柳川優太(4年・大垣日大高)も1失点完投勝利。大会そのもの自体が、吉川擁する中京学院大を中心に回っているかのような空気になっていった。
試合ごとに自信をつけた選手たち
怖いもの知らずで快進撃を続ける選手たちに近藤正監督は「選手たちが試合ごとに自信をつけている」と目を細めた。またその影響はプレー面だけではない。リーグ戦中は座って戦況を見ていた選手たちがベンチから身を乗り出してグラウンド上の選手に声をかけるようになり、ベンチ外部員によるスタンドの声援も注目度とともに大きくなっていった。
すると決勝戦の中央学院大(千葉県大学野球連盟)戦でも、その勢いは止まることはなかった。準決勝まで4試合で3失点、被安打わずか13本に抑えてきた中央学院大投手陣から、吉川の1安打を含む12安打を放ち、5対2で快勝。胴上げ投手となった柳川に一目散に駆け寄った吉川の笑顔が弾けた。