広島・鈴木誠也に高まるトリプル3の期待 覚醒間近の21歳はスターの資質十分

ベースボール・タイムズ

5ツールプレーヤーへの期待

主にクリーンナップの後の6番を打つことが多い鈴木。打率3割9厘、6本塁打、26打点の成績でチームに貢献している 【写真は共同】

 広島の21歳、鈴木誠也が覚醒の気配を見せている。

 高卒1年目の2013年シーズン終盤に1軍デビューを果たした鈴木は、2年目に36試合、3年目の昨季は97試合出場と着実にステップアップ。迎えた4年目の今季は、4月中旬からスタメンに定着すると、4月26、27日の東京ヤクルト戦2試合で3本塁打8打点、5月25、26日の巨人戦でも2本塁打4打点、さらに6月5日の福岡ソフトバンク戦では、あわやサイクルヒットという5打数5安打の大爆発。7日現在、46試合に出場して打率3割9厘、6本塁打、26打点を記録し、クリーンアップの後を打つポイントゲッターとして存在感を発揮している。

 打つだけではない。外野守備では、二松学舎大付高時代に投手として140キロ後半を計測した強肩を持ち、走塁面でもここまで5盗塁を記録。「バッティング・ミート」、「パワー」、「走塁技術とスピード」、「守備力」、「送球能力」の5項目で高水準の実力を備えている「5ツールプレーヤー」として、カープファンの大きな期待を背負っている。

自慢の強肩に守備の意識もUP

 鈴木が最初に注目を集めたのは、外野からの送球、いわゆる「レーザービーム」だった。
プロ2年目の14年10月の阪神戦で、ライトからまさに矢のような送球で走者を三塁封殺。背番号51と重ね合わせて「まるでイチローのようだ」と称賛された。その強肩ぶりは、昨年オフにはテレビ番組で「現役選手が選ぶ・強肩部門」にて、ソフトバンクの柳田悠岐と同票1位に選ばれるなど、同じプロ選手たちからもお墨付きを得ている。

 外野守備では、捕球や打球判断など、まだまだ課題が多いことも確か。だがそれも、プロ入り後に野手に転向し、当初は内野手からスタートしたという経緯から見れば当然のこと。それ以上に、高い身体能力と俊足、さらに外野に転向して2年足らずということを考えれば、伸びしろの大きさの方に魅力を感じる。

 自覚もしている。今春のキャンプでは、今季から就任した河田雄祐外野守備コーチの指導を受け、守備のレベルアップを図った。鈴木は「昨年までは本当に簡単に考えていた。内野の練習をしていたので、外野も軽い気持ちでできるだろう、という感じだった。でも、捕球の形ひとつで送球の強さも変わるし、いろいろな意味で、守備に対する考え方が変わった」と意識の変化を強調。その成果は徐々に表れ始めている。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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