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波乱万丈のドラフト1位候補遊撃手――
中京学院大・吉川尚輝が初の全国の舞台へ

日本代表候補合宿に強い刺激

打撃が課題と言われていたが、今春のリーグ戦では打率4割9分で2度目の首位打者を獲得した
打撃が課題と言われていたが、今春のリーグ戦では打率4割9分で2度目の首位打者を獲得した【写真=高木遊】

「いろんな人に迷惑かけたので、野球を辞めて働こうと思っていました」


 吉川は、中京学院大入学直前当時を振り返ると神妙な面持ちになった。実は東京の強豪大学への推薦入学が決まり、高校3年の2月から合流していたが、生活に馴染めず約1カ月で自ら退部(入学辞退)。当時は野球も辞めようと考えたが、高校の恩師や両親に引き止められ、母校・中京高校の系列校である中京学院大の3月入試に滑り込みで合格し、入学した経緯がある。


 だがそこで野球界に踏みとどまった吉川は、メキメキと力をつけていく。1年秋に打率4割2分6厘を残すと、2年春には打率4割3分9厘で首位打者を獲得。冬に行われた大学日本代表選考合宿に初招集されるまでになった。


 そしてまた強い刺激を受ける。「今まで見たことのないようなストレートの伸びとか打球の速さとかを見て、ウワーって驚きました」と今でも新鮮な思い出として振り返る吉川。また自らの体の小ささも実感した吉川は、すべて自炊という環境にもかかわらず、夕食だけで白米4合を食べる“食トレ”を開始。時間が空けば、自らの車や仲間との乗り合いでジムまで向かい、入学当時67キロだった体重を79キロにまで増やした。

入学辞退した亜大との対戦なるか!?

吉川のグラブには「自分らしく」の刺繍。心身ともに逞しくなった姿で、野球人生初の大舞台に上がる
吉川のグラブには「自分らしく」の刺繍。心身ともに逞しくなった姿で、野球人生初の大舞台に上がる【写真=高木遊】

 こうしてさらに意識を高めた吉川は心身ともに急成長。今春、拾ってくれた大学への恩返しを創部史上初の全国大会出場に導くという形で果たした。


 中京学院大は6日の神宮球場での開幕戦(日本文理大戦)にいきなり登場する。そして2つ勝ち上がれば、3年前に入学を辞退した強豪・亜大との対戦もあり得る組み合わせだ。


 2年冬に参加した代表候補合宿では、大学日本代表のコーチを務めていた生田勉監督に真っ先に挨拶に行くと、「髪が長いぞ」と冗談を飛ばしてもらったという。


「(もし対戦することになったら)またしっかりと挨拶しに行きます(笑)。当時仲良くなった仲間との対戦も楽しみの1つですね」


 野球から逃げ出そうとしてしまった頃の姿はもう微塵もない。心身ともに逞しくなった姿で、野球人生初の大舞台に上がる。

高木遊

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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