波乱万丈のドラフト1位候補遊撃手――中京学院大・吉川尚輝が初の全国の舞台へ

高木遊

自身の野球人生初の全国大会に挑む中京学院大・吉川。高い身体能力を生かしたプレーで、同校OBの広島・菊池以上とも言われる野球センスの持ち主だ 【写真=高木遊】

 6日に開幕する第65回全日本大学野球選手権記念大会(会場は神宮球場、東京ドーム)。全国各地のリーグ戦を勝ち抜いた27校による大学日本一をかけた激戦が予想される。今回はその精鋭たちの中で最も注目度の高い吉川尚輝(中京学院大)を紹介する。

広島・菊池以上と言われる野球センス

プロからの評価が高い安定した守備について、同期のエース柳川優太は「ショートに飛べば打球を見なくてもいいくらい」と笑う 【写真=高木遊】

「足も速いしセンスも抜群。何かやってくれそうな雰囲気を持った選手」(千葉ロッテ・永野吉成チーフスカウト)

「運動能力がすばらしい。とんでもない選手になる資質を持った選手」(中日・中田宗男スカウト部長)

 そのようにプロ球団スカウト陣から絶賛される中京学院大の遊撃手・吉川尚輝。身体能力は同大学OBの広島・菊池涼介以上との声もある今秋のドラフト1位候補だ。

 下級生時からその類稀な野球センスに注目が集まっていたが、大学最終年になるとさらに熱を増し、5月17日のリーグ戦には、なんと12球団47人のスカウトが集結した。

 大きな武器は高い身体能力を生かした守備と走塁で、打撃は課題とされてきたが、今春の岐阜県学生リーグでは打率4割9分と打ちまくり、2年春以来となる自身2度目の首位打者を獲得した。

自身の決勝タイムリーもあり、中京学院大を初の全国大会出場に導いた。勝利の瞬間は「涙が出るくらいうれしかったです」と満面の笑みで答え 【写真=高木遊】

 そして、5月28日に三重・静岡の代表校との巴戦で行われた東海地区大学野球選手権では2試合通じて、得点につながる出塁・走塁を度々見せ、最後は自らのセンター前タイムリーで試合を決めた。守備でも、イレギュラーバウンドに素早く反応、中継に入り本塁封殺、ボテボテの内野ゴロにチャージしジャンピングスローなど好守備を連発し、MVPを獲得した。

「自分が神宮に連れて行っていくんだというのがヒシヒシと伝わりましたね。技術はもちろん精神的にも強い選手になりました」と4年間指導してきた近藤正監督は、吉川の成長に目を細めた。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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