豪腕・柳擁する明大、V2狙う亜大に注目 第65回全日本大学野球選手権見どころ

松倉雄太

柳中心に35年ぶり日本一狙う

明大では1997年の川上憲伸(元中日)以来の投手で主将を務める柳。今春は6勝を挙げてチームを優勝に導いた。全日本大学選手権では34年ぶりの日本一を狙う 【写真は共同】

 第65回全日本大学野球選手権記念大会が6日から開幕。今年は九州地区大学野球連盟が北部と南部の2校が出場し、26連盟から27校が神宮球場と東京ドームで熱戦を繰り広げる。開幕を前に、今大会のみどころを探っていきたい。

 明大(東京六大学)は、リーグ戦全カードで黒星を喫したものの、10勝5敗1分けで勝ち点5。完全優勝で3年ぶりの出場を果たした。大黒柱は、同校で19年ぶりとなる投手で主将を務める柳裕也(4年・横浜高)。リーグ戦では10試合、72回1/3を投げて、6勝1敗・防御率0.87の成績を残した。さらに投球回数を大きく上回る87個の三振を奪い、同じく投手兼主将だった川上憲伸のシーズン記録を超えた。

 最速150キロを誇るドラフト上位候補右腕を善波達也監督は自らより先に胴上げさせ、「今年は柳あってのチーム」と優勝インタビューで称えた。その柳も、「投手で主将に指名してくださった監督の期待に応えたかった。プライドと責任感を持って、全日本選手権で東京六大学が日本一のリーグと言われるようにプレーしたい」と決意を語った。リーグ戦5本塁打の4番・牛島将太(4年・門司学園高)を中心に打線も勝負強く、35年ぶりの日本一なるか。

中村、山田、諏訪と投手層厚い亜大

リーグ連覇を果たした亜大。中村、山田、諏訪ら層の厚い投手陣で、昨秋の神宮大会に続く全国制覇を視野に入れる 【写真は共同】

 昨秋の明治神宮大会を制し、秋春連覇が懸かるのが亜大(東都大学)。選手権は2002年以来14年ぶりの優勝を目指す。リーグ戦では開幕週で国学大に連敗する苦しいスタートだったが、その後8連勝で逆転優勝を果たした。第6週の専大戦から先発に回った左腕・中村稔弥(2年・清峰高)が3勝を挙げ、防御率0.00。最優秀投手とベストナインを獲得した。

 最高殊勲選手に輝いた山田義貴(4年・沖縄尚学高)に加え、昨秋の明治神宮大会でも好投した左腕・諏訪洸(4年・下妻二高)も控える。満票で捕手のベストナインを獲得した宗接唯人(4年・神戸国際大付高)が打でも中心で、優勝を決めた最終戦の日本大戦では4打数4安打2打点と活躍した。勝ち上がれば、ライバルである東京六大学の代表・明大とは準決勝で対戦する。

1回戦の好カードは日体大vs.九産大

 1回戦屈指の好カードは、投手戦が期待されるのが日体大(首都大学)vs.九産大(福岡六大学)。リーグ戦をプレーオフの末に制した日体大は147キロ右腕の松本航(2年・明石商高)が大黒柱。3月のプロ交流戦で巨人二軍を7回3安打無失点に抑えて自信を掴むと、リーグ戦では9試合6勝2敗・防御率1.61と大車輪の活躍。筑波大とのプレーオフでは8安打を浴びたが、3失点でまとめ選手権の切符を掴んだ。高校時代には3年夏の兵庫大会で1試合20三振を奪ってプロからも注目された存在。今大会で大学ナンバーワン投手に名乗りを挙げたい。

 九産大は、ドラフト候補右腕・高良一輝(4年・興南高)が右内転筋痛、温水賀一(4年・都城商高)と森川祐至(4年・熊本商高)の両投手も故障で離脱するなど苦しい投手事情だったが、伊藤奨太(4年・九州学院高)が7勝1敗と見事にカバー。3年連続の選手権切符を掴み取った。高良も選手権での復帰を目指しており、日体大の松本相手に誰をぶつけてくるかに注目が集まる。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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