“レブロン対カリー”だけではない激突 激闘必至のNBAファイナル展望

杉浦大介

両カンファレンス第1シードが激突

レブロン(写真)を軸にイーストを制したキャブズが、ウォリアーズの2連覇を阻止できるか 【Getty Images】

 ファン垂ぜんのリターンマッチが実現する――。2016年のNBAファイナルは、両カンファレンスの第1シードが激突する最高のマッチアップになった。

 2年連続MVPのステファン・カリーを中心に、群雄割拠のウェスタン・カンファレンスを勝ち抜いてきたゴールデンステイト・ウォリアーズ。一方、個人としては6年連続ファイナル進出という怪物レブロン・ジェームスを軸に、イーストを制したクリーブランド・キャバリアーズ(以下キャブズ)。

 両雄は昨季のファイナルでも対戦し、ウォリアーズが4勝2敗で40年ぶりの王座に就いている。どちらも去年よりも戦力が充実しており、現地6月2日から開幕する最終決戦は激しいシリーズになるに違いない。

「“NBAの顔”がどちらかとか、レブロンの王位を奪うためとか、そんな理由でプレーしているわけではない。僕が目指しているのは優勝リングだけなんだ」

 開幕直前の1日、カリーはそう語って“レブロン対カリー”という見方を否定していた。ただ、ポジションは違うとはいえ、評価を二分する現役最高プレーヤー同士の激突も注目ポイントの1つではある。普段はスポーツに興味のない層まで惹きつけ、とてつもないテレビ視聴率を記録することになりそうだ。

大方の予想はウォリアーズが一歩リードか

カリー(写真)のコンディションも徐々に回復しており、昨季王者の好材料は少なくない 【Getty Images】

 ウォリアーズはシーズン中には73勝を挙げて歴代最多勝利記録を更新し、リーグの話題を独占した。しかし、ウェスタン・カンファレンス・ファイナルではオクラホマシティ・サンダーに一時は1勝3敗と大苦戦を強いられた。この絶体絶命の局面から、第6戦ではクレイ・トンプソンが41得点、第7戦ではカリーが41得点と、自慢の“スプラッシュ・ブラザーズ”が大爆発。オールスタートリオの一角ドレイモンド・グリーンも第5〜7戦は平均ダブルダブルをマークし、怒とうの逆転劇を後押しした。

 1勝3敗からの逆転でシリーズ勝利を飾ったのは、今回のウォリアーズがリーグの歴史上10チーム目(233度中10度のみ)だった。シーズン中は約半年で9敗のみだったウォリアーズが、短期間で3敗を喫したことを不安材料と捉えるべきか。身体能力抜群のサンダーを徐々に見極め、最終的に勝ち抜いたことを王者の強さの証明と見るか。

 米国のメディア関係者の大半は後者だと考えているようで、『ESPN.com』の全28記者のうち22人がウォリアーズの勝利を予想している。シーズン中のキャブズとの対戦では2戦2勝だったこと、ビッグマン同士のマッチアップでは相性が良いこと、プレーオフ第1ラウンドで故障を経験したカリーのコンディションが徐々に回復していることなど、実際に昨季王者の好材料は少なくない。

 シーズン最多勝記録を更新した上で、ファイナル2連覇も果たせば、ウォリアーズは文字通りの“歴史的チーム”として記憶されるはず。金字塔を成し遂げるまで、あと4勝――。短期間で“全米のダーリン”となったカリーとその仲間たちの行方に、今シリーズ中は世界中の熱い視線が注がれることになる。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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