阪神・岩貞の安定感を作った新フォーム 「良い意味の勘違い」が余裕を生む

週刊ベースボールONLINE

敗戦後の福原からのアドバイス

昨秋のキャンプからのフォーム改造で腕の振りを横振りから縦振りに変えたことが奏功している 【写真=早浪章弘】

──初めて取り入れたときからスムーズに投げられたのですか。

 最初はまったく投げられなくて(笑)。ぎこちないし、違和感があるし……。もう練習しかなかったですね。普通のシャドーピッチングと平均台の上でのシャドーピッチングを繰り返すうちに、徐々に捕手に向かって投げられるようになりました。最初は、(キャッチャーが)ジャンプして捕らないといけないぐらいの場所にしか投げられなかったんですが、ミットにしっかり投げられるようになり始めたらコントロールが安定しました。

──なぜ、改造に着手しようと思ったのでしょうか。

 昨年7月の東京ヤクルト戦(1日=神宮、先発3回3失点)で負け投手になったときに、帰りのバスの中で、福原(忍)さんに「自分の真っすぐが打者にどれくらい通用するのか理解しておかないといけない。次ファームに行ったときに真っすぐだけで投げて試してみては?」とアドバスを受けたんです。それで実際に試したら、初回に1アウトも取れず4失点(苦笑)。そこで、プロで通用しない真っすぐだったんだと思い、新しい投げ方を模索し、香田さんと一緒に、体重移動の練習に取り組みました。

──この投球フォームをつかんで、マウンドの景色に変化が出ましたか。

 はい! ホームベースに向かって体重移動をするとき、打者の体がブレないんですね。それまでは横振りで僕の顔がブレていましたので……(笑)。目や頭の位置も一定を保てることで、必然的にコントロールも良くなったんだと思います。

──では、それまで何が悪かったのかがよく理解できるようになった。

 試合の中で、すごく力んでしまったときに体が遠回りしていることにすぐに気が付きますし、すぐに修正ができるようになりましたね。投げていくときの良いときと悪いときの景色が違います。投げていく中で、横振りになっているな、と思った瞬間にワザとボールを引っかけてボール球を投げることも覚えました。

三塁側を踏むことで得たポジティブ思考

──プレートの踏む位置も変更したとか。

 昨年の春先に久保(康生コーチ)さんに言われてからです。雨の中で投げた後に、次は三塁側から投げてみて、と言われ投げてみたらしっくりきた感じです。そこから三塁側を踏んで投げています。

──今はその2つが融合しているんですね。

 三塁側を踏む中で、縦振りをすると、腕の出所がプレート内に収まるんです。そこからカーブを投げたり、チェンジアップを投げたりするので、コントロールが大きく乱れることはないんです。つまりストライクゾーン内で勝負ができる投げ方になりました。今まではスライダーを右打者の内角に投げるには、ボール5個分くらい曲げないといけないな、と思っていたんですが、今では2個分だけ曲げればストライクゾーンからボールになります。それがポジティブな思考につながっています。今後はもっと7、8回まで投げたいという気持ちはあります。120〜130球を投げても大丈夫な投手だ、と思われるようになりたいです。

──もちろん、負けない投球を続けていく中での話ですよね。

 そうです。先発ローテの一角と言われるようになるには、勝って結果を残してアピールをするしかないです。だから、必死にやっていくだけ。勝っても反省する点は多いので、一つずつクリアしていくために1球1球集中して投げていくだけです。

(取材・構成=椎屋博幸)

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