阪神・岩貞の安定感を作った新フォーム 「良い意味の勘違い」が余裕を生む

週刊ベースボールONLINE

27日の巨人戦でプロ初完封を挙げ、捕手の原口(左)とハイタッチを交わす岩貞 【写真は共同】

 開幕から先発ローテに入り、防御率0.88、奪三振数は70個、ともにリーグ2位と抜群の投球内容を見せている阪神・岩貞祐太。27日の巨人戦ではここまで投手2冠の菅野智之と投げ合い、プロ初完封を挙げた。ここまで安定感ある投手へと変貌したのは投球フォーム改造によるところが大きかった。すっかり体に染み込んだ新フォームでさらなる成長を目指し、交流戦でも先発の軸としてチームの勝利のために腕を振っていく。

ソフトバンクは特別に意識する

──今季、先発ローテ投手としてしっかりと仕事をしている中で交流戦を迎えます。

 昨年2試合先発(1勝0敗)をさせてもらいましたが、先発ローテ投手としては初めてになります。交流戦はパ・リーグが強くて、セ・リーグは負け越していますよね。個人的な目標としては、しっかり腕を振って絶対に力負けはしたくないです。

──今年は投球内容も良い感じにきていますから、楽しみにしているのではないですか。

 千葉ロッテ、福岡ソフトバンク以外は初対戦になります。こういう場合には投手有利になると思うので思い切り腕を振っていきたいです。相手がどうのこうのよりもまずはキャッチャーと対策を練って、しっかり呼吸を合わせて臨みたいです。

──特別に意識するチームはありますか。

 ソフトバンクですね。昨年は5回3失点(6月11日=ヤフオクドーム)で悔しい降板だったので、今年は登板機会があったら、必ず良い成績を残したいです。2年連続日本一の本当に強いチームですが、そこは気持ちで勝つ投球を目指します。

──今年は球数が少ないにも関わらず奪三振の数が増えています。投球内容も安定するはずで、交流戦も期待できます。

 そうですね。とにかくチームの勝ちにつなげたいです。今年はコントロールに少し自信が出てきて、3ボールになっても、あせらずストライクを投げられるようになってきました。自分に「いけるぞ」と言い聞かせている部分もあります。意識的に良い意味で勘違いさせているんです(笑)。

──今年は余裕があるんですね。

 そうです。昨年までは3ボールになったら、「四球を出してしまう」と思っていましたから。今年はチェンジアップなどの球種が増えたことで、相手打者が的を絞りにくくなっているのではないか、と勝手に推測しています。それに単打だけなら問題ないという考え方に変わりました。昨年までは、この場面では(打者は)スライダーを狙っているんだろうな、と思いながらもそれを投げていたんです。

──技術的な進化がメンタル的にも大きな変化をもたらしているんですね。

 はい。今は、強いメンタルを保つためにさまざまな練習をしています。何度も繰り返し行って体に染み込ませ、自分に大丈夫だ、と言い聞かせています。また投球フォームを変えてからしっくりきているので、満足できる内容につながっています。

体重移動の変化で腕が縦振りに

今季は先発ローテに定着、ハイペースで奪三振を重ねる岩貞 【写真=早浪章弘】

──投球フォームを変えたのはいつですか。

 去年の秋季キャンプのときです。香田(勲男投手コーチ)さんと一緒に改造し、うまく自分の体にフィットし、コントロールが良くなりました。これ良い感じだなあ、と思っていたときに、台湾のウインター・リーグ派遣となりました。そこで四球を怖がらずに、バンバン真っすぐを投げたことで、身につきました。

──投球フォームで一番何が変化したのでしょうか。

 たぶん、皆さんが見ても以前とまったく変わっていないように映ると思います。なぜなら体重移動の部分での改造なので。完成した今の投球フォームは、キャッチャー方向へ真っすぐ体重移動していきます。それにより、必然的に腕の振りが今までよりも多少縦振りになっている感じです。

──今までの体重移動というのは……。

 横振りでした。体と腕を横に回しながら、その体重移動のタイミングが合わないと強いボールが投げられなかった。タイミングが合わないからリリースポイントもバラバラ。タイミングが合わないときには、無理やり力任せで投げていました。

──今は足を上げた後に体ごとキャッチャーに向かって真っすぐ移動する感じですね。

 そうです。キャッチャーに向かって真っすぐ移動するだけでムダな動きをしないという感覚を持っています。最短距離で移動し、最短距離で腕を振ることでリリースポイントが安定しました。

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