山本隆弘の考えるリオへの扉を開く条件 男子バレー五輪予選の観戦ポイント

山本隆弘

気になる日程と対戦国は?

W杯ではフルセットの末イランに逆転負けを喫した。アジア最上位となるために、今回は負けられない 【坂本清】

 先日、OQTに向けて調整が行われている代表合宿を視察した。まず感じたことは選手の雰囲気の良さ。OQT経験者が、未経験の若手が伸び伸びとプレーができるように気を配りながら練習に取り組んでいるように見えた。特にサーブについては、時間を割きながらコースの打ち分け、ショートサーブなどを確認していた。フローターサーブを打つ選手は、世界のスタンダードになってきた高い打点からネット擦れ擦れを通す打ち方をしていた。

 この雰囲気のまま大会を戦い抜いてほしいし、練習の成果を最大限に発揮してほしいと願っている。そのためには、第1戦のベネズエラ、続く中国との試合が重要となる。ここでどんな形でも勝利を収めないと、五輪の切符を手にすることは厳しい。

 ここを2連勝したとして、休息日を挟んで迎えるのがポーランド、イラン、オーストラリアとの3連戦だ。ポーランドは2年前の世界選手権の覇者であり、W杯では最終戦に1敗を喫し、セット率の差で五輪出場権を逃した強豪だ。世界トップクラスとの戦いは、日本チームが目指しているバレーボールを試すような試合にしたい。

 そしてアジアのライバルとなるイラン、オーストラリアとの対戦が続くが、この2試合も勝たないとリオへの扉が閉じてしまう。イランにはW杯で2セット連取から3セットダウンして逆転負けをしたチームだ。アナリストや監督、コーチによって分析をして試合に臨むはずだが、イランは持ち前の攻撃力が健在で、W杯後に監督が代わりブロックとレシーブの組織を再構築してきている。

 オーストラリアは絶対的なエースであるトーマス・エドガーを中心としたチームで、OQTにはベテラン選手が戻ってくるはずである。強化試合とはいえ、五輪出場を決めているイタリアにも勝利した。アジア最上位を取るためには相当厳しい戦いになるが、アジアのチームにはすべて勝利してほしい。

 続く第6戦は、カナダと対戦する。W杯では日本の戦術が完璧に機能して3−0で勝利したが、今回も完璧なバレーを展開しないと厳しい戦いになる。また女子同様、この第6戦は両チームともリオの切符が懸かる試合になる可能性が高いので、注目の1戦となるだろう。

 最終戦は、昨年のワールドリーグ優勝国のフランス。南部正司監督も言っていたが、世界で1番完成しているチームだと私も思う。見ている人たちの度肝を抜き、「ここでそんなプレーをするのか!」と言わせるチームであり、攻守に穴が少ないチームだ。このフランスとの対戦までにどうしてもリオを決めたい。決めていてほしいと願っている。

こころをひとつに

全員が「こころをひとつに」、一丸となって勝利を目指す 【坂本清】

 先日まで女子の予選が行われ、彼女たちは4大会連続で五輪への出場権を獲得したが、どの試合も厳しい戦いばかりであった。男子は女子以上に厳しい戦いとなるだろう。W杯は世界ランキング上位国が集まった大会だったので、良い意味でチャレンジャー精神で挑むことができた。今大会は、若手にとっては味わったことのないプレッシャーの中で勝利が絶対条件の試合が続く。

 五輪経験者である清水と福澤達哉を含め、4年前のリベンジに燃える米山、永野の背中を見ながら柳田、石川の活躍を期待する。

 2大会ぶりの出場権獲得に向けて監督・コーチ陣・アナリストが密に戦術を練っているし、トレーナーは選手のケアを万全に、日々夜遅くまで行っている。

 私が代表にいた時よりさらに強化された点として、食事面が挙げられる。男女チームともに明治の専属栄養士が選手の体重管理や食事メニューのチェックなど、細かいところにまで気を配っているのだ。食事面での配慮の他、ハイパフォーマンスを生み出すため、練習前のアミノ酸摂取から練習後のプロテイン摂取など、戦略的に栄養補助食品も選手のコンディショニングを見ながら取り入れている。大会期間中のホテルでの食事メニューを見ると、大会中に起こり得る選手のカラダの疲労状態や心理を考え、食べやすく、飽きない、そして栄養価の高いメニューが提案されていた。

 リオの切符を取るために各カテゴリーで役割を全うしていく戦いが28日から始まる。
 こころをひとつに、龍神NIPPONの躍進を期待する。

 頑張れ!ニッポン!!

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著者プロフィール

サウスポーから繰り出す強烈なスパイクを武器に、2003年のワールドカップでは、ベストスコアラーとMVPを獲得するなど日本のエースとして活躍する。 04年日本人バレーボール選手としては初めてプロ契約を結び、プロバレーボール選手となる。08年の北京五輪に出場。12−13年シーズンをもって現役を引退。バレーボールで培った経験を生かし、バレーボールの解説や普及活動、メディア出演等で活躍中。

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