【ノア】潮崎豪、ノア復帰から半年間の思い 杉浦貴とのGHC戦に「運命を感じる」

高木裕美

杉浦戦は「真っ向から打ち勝つ」

杉浦との戦いの歴史は、プロレスラーとしての格を上げるために必要なものだった 【スポーツナビ】

――ノア参戦から半年間の集大成となる大阪大会。過去に杉浦選手とはGHC王座を懸けて3回戦っています。まず最初は09年12.6日本武道館ですが、その年の6月13日に三沢さんが亡くなり、その翌日にGHC初戴冠をして、王者として臨んだ試合でベルトを奪われた戦いでした。

 あの試合はただただ、杉浦貴との競い合いというか、あの試合がなければ今の自分はなかった。敗れはしたものの、自分の中で得るものがすごく大きかった。

――次は翌年の10年9.26武道館。壮絶な戦いの末、杉浦選手がまたもオリンピック予選スラムで勝利しています。

 やっぱり杉浦と試合をやるとこういう試合になるということを印象づける試合だった。杉浦としかできない試合をしようという思いを、自分としても感じる試合だった。

――次は11年7.10有明コロシアム大会。杉浦選手がGHC新記録のV14を達成する中で、王座奪取に成功しました。新王者となったことで、同年8月の「ALL TOGETHER(新日本、全日本なども集まった東日本大震災復興支援チャリティー大会)」のメインイベントでは新日本の棚橋弘至選手、全日本の諏訪魔選手とトリオを結成しています。

「ALL TOGETHER」とかV14の記録とか、試合した当時はまったく意識してなかった。記録というより、まだまだ潮崎vs.杉浦という戦いを積み上げていきたいという思いだった。

――戦いのブランドとして定着させたかった?

 自分の中ではブランドという感じではないけど、杉浦となら、まだまだ上を超えていけるんじゃないかという思いはあった。でも、鈴木軍になった今は、戦いを積み上げるというより、ただただ、勝ってノアにベルトを取り返したい、という思いしかない。自分が戻ってきた最初のGHCの戦いが杉浦貴というのには運命を感じる。

大阪でのGHC戦では真っ向勝負で杉浦と戦う 【横田修平】

――杉浦選手は潮崎選手がデビューして最初のシングルマッチの相手でもあります。杉浦選手の強さは、どんなところにあると思いますか。

 表情、感情、攻撃。リング上のすべてにおいて凄みを感じる。常に凄みを帯びているオーラがある。鈴木軍入りして、より増した気がする。戦い方を変えても強い。どうやって乗り越えてベルトを取るのか。ノアのためにも、自分のためにも勝ちたい。

――大阪決戦に向けて秘策や対策はありますか?

 考えると余計にヘタを打ちそう。真っ向から行って、真っ向から打ち勝つ試合をしないと勝てない。下手な小細工は通用しない。

――大阪ではイスを使った攻撃や、セコンド介入も考えられますが。

 もし杉浦が逆の立場なら、対策とか考えずに真っ向から打ち破るだろうし、オレも逃げたり、秘策を考えたりしない。真っ向からこれを超え、全部受け止めた上で弾き返したい。

三沢さんのメモリアル興行では王者として

「三沢さんの最後のパートナー」である潮崎。GHCのベルトを巻けたのは三沢さんのおかげであると話す 【t.SAKUMA】

――戴冠後のチャンピオン像として思い描くものは?

 ノアの中でベルトを競いたいけれど、鈴木軍も黙ってないと思う。自分なら、ノアとも鈴木軍とも戦えるので、戦いの輪を広げていきたい。

――現在はフリーという立場から、今後、GHC王者として他団体へ出ていく予定はありますか?

 まったく考えてないです。GHCを獲ることに集中しているし、もし獲ったとしても他団体とか考えてない。とにかくノアを守りたい。

――ベルトを獲れば、三沢さんのメモリアル興行となる6.12後楽園大会にはGHC王者としての出場となります。広島で三沢さんが亡くなった試合でタッグを組んでいた潮崎選手にとって、「三沢さんの最後のパートナー」と言われることについてはどう感じていますか?

 最後のパートナーと言われるのはすごく光栄ですし、三沢さんが亡くなる前まで、正式なパートナーとして試合をやらせてもらったのはありがたい。三沢さんと試合で組んで、いろいろな経験をしなければ、ここまで来られてなかった。GHCのベルトを初めて獲れたのも三沢さんのおかげだと思う。

――三沢さんはどんな人でしたか?

 あーしろ、こーしろとも何も言わないし、周りに気を遣える人でしたね。人間が大きい。自分としても、ああいう懐の深さを目指していきたい、ああいう風になりたいと思いました。

――それだけに、ノアの6月シリーズはこれまでとも気合が違うのでは。

 ノアで6月を迎えるということで、考えることはあります。ノアのリングに上がっている意味を考え、ここで杉浦からベルトを獲って、その意義を感じられるようにしたい。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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