【NJKF】羅紗陀が2年3カ月ぶり復帰戦勝利 “ムエタイ都市伝説”ヤスユキを撃破

長谷川亮

右足スネ骨折の大ケガから2年3カ月ぶりの復帰戦を飾った羅紗陀 【長谷川亮】

 ニュージャパンキックボクシング(NJKF)連盟「NJKF 2016 2nd」が8日、東京・後楽園ホールで開催された。
 メインイベントは右足スネの骨折という選手生命を奪われかねない大ケガを2年3カ月前に負った羅紗陀(キング/元WBCムエタイ日本統一スーパーフェザー&ライト級王者)の復帰戦。しかもいきなり“ムエタイ都市伝説”の異名を取るヤスユキ(Dropout/初代REBELS−MUAYTHAIスーパーフェザー級王者)が相手となり、復帰戦から試練のマッチメイクとなった。

 厚みのある上半身で充実した仕上がりを感じさせた羅紗陀は、ヤスユキの蹴り足をキャッチし、足払いで転倒させてスタート。ヤスユキは得意とする槍のようなジャブからミドル、ローと放っていくが、羅紗陀は1R中盤に右フックのヒットからラッシュを掛け、ヒジ・左右フックと攻め立てる。しかし多くの国内強豪を下してきたヤスユキもここで大崩れせず、連続でのクリーンヒットは与えず2Rへ。

3−0の判定勝利「やっていけそうです」

復帰戦でいきなり“ムエタイ都市伝説”ヤスユキと対戦 【長谷川亮】

 試合後に羅紗陀のパンチを「見えなかった」と振り返ったヤスユキだが、それでも2Rに入ると対応を始め、羅紗陀のパンチ、その後に来るヒジを警戒しながらジャブのリードから左ローを当てていく。しかし羅紗陀も蹴り足を取り、再びヤスユキを足払いで転倒させる。

 2Rまでの途中採点は3者20−19で羅紗陀がリード。後のないヤスユキは3R、攻防の中にムエタイ現役王者も揺るがしたハイキックも織り交ぜ攻めるが、羅紗陀もこれを被弾こそすれ、そこから攻め込ますことはなくパンチで反撃して終了。
 両者の息詰まる攻防は3Rでは短く感じさせたが、勝負の行方は判定に委ねられ、結果は3者30−29で羅紗陀。序盤のリードを守る形で勝利した。

 試合後は「力み過ぎた」「1ポイントでギリギリすぎたのでもっと差をつけたかった」と反省が口をついた羅紗陀だが、「2年ブランクがあったし、よしとしたい」と語り、今後について問われると「やっていけそうです」と明るい表情で答えを返した。

健太が大和との再戦を制し王座返り咲き

大和侑也との再戦を制しWBCムエタイ日本統一ウェルター級王座に返り咲いた健太 【長谷川亮】

 セミファイナルで行われたのは王者・大和侑也(大和)と挑戦者・健太(E.S.G)によるWBCムエタイ日本統一ウェルター級タイトルマッチ。両者は昨年逆の立場で王者・健太の防衛戦として対戦し、ともに2度のダウンを喫する激闘の果てに大和が5R TKO勝ち。試合は昨年のNJKF年間ベストバウトに選ばれており、ちょうど1年後、立場を入れ替えての再戦となった。

 前回は3Rが両者合計3度のダウンが飛び交うビッグラウンドとなったが、今回も健太が右フックのヒットからパンチをまとめてダウンを奪取。前回もダウンを2回先取しながら逆転で敗れた健太は「勝ち急いだ」と敗因を分析しており、今回はそこから深追いしない。

 逆に挽回へ来た大和を、健太は得意とする首相撲でとらえて攻撃を振るわせず、試合運びの上手さを見せてタイムアップ。3Rにダウンのポイントを得た健太が49−47、49−47、48−46の判定3−0で勝利し、ベルトを奪い返すとともに、「今日でプロ60戦目になりますが、名前通り健康で太く生んでくださったお母さんに感謝したいと思います」と母の日らしいマイクで締めた。

一戸がWBCムエタイ日本統一王座挑戦へ

駿太を下した一戸がWBCムエタイ日本統一王座挑戦へ 【長谷川亮】

 またセミファイナルの前に行われた第8試合、WBCムエタイ日本統一フェザー級次期挑戦者決定戦は一戸総太(WSRフェアテックス/WPMF世界スーパーバンタム&フェザー級王者)と駿太(谷山/WMAFフェザー級王者)、どちらも世界のベルトを手にした同士の戦いとなったが、駿太が出ようとすると足を払って転倒させ、あるいは組み付いて押さえといった、相手の光を消すかの戦いで一戸が3−0の判定勝利(49−47、50−48、50−48)。12連勝と驚異の記録を更新し続ける王者MOMOTARO(OGUNI)に次戦での挑戦が決定した。

 そのほか、大会の全試合結果は以下の通り。

■「NJKF 2016 2nd」
5月8日(日)東京・後楽園ホール

<第10試合 61kg契約 3分3R>
○羅紗陀(キング/元WBCムエタイ日本統一スーパーフェザー&ライト級王者)
(判定3−0)
●ヤスユキ(Dropout/REBELS−MUAYTHAIスーパーフェザー級王者)
※3者30−29

<第9試合 WBCムエタイ日本統一ウェルター級タイトルマッチ 3分5R>
○健太(E.S.G/挑戦者)
(判定3−0)
●大和侑也(大和/王者)
※49−47、49−47、48−46
※健太が新王者となる

<第8試合 WBCムエタイ日本統一フェザー級次期挑戦者決定戦 58kg契約 3分5R>
○一戸総太(ウィラサクレック池袋/WPMF世界フェザー級王者)
(判定3−0)
●駿太(谷山ジム/WMAF世界フェザー級王者)
※49−47、50−48、50−48

<第7試合 66垠戚鵝。格3R>
○テヨン(キング/WBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者g)
(1R1分41秒 KO)
●喜入衆(フォルティス渋谷/ムエタイオープン・ウェルター級王者)

<第6試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 3分5R>
○金子貴幸(GANGA)
(判定3−0)
●雄一(TRASH)
※50−47、50−46、50−46
※金子が新王者となる

<第5試合 67垠戚鵝。格3R>
○栄基(エムトーン/J−NETWORKウェルター級王者)
(判定3−0)
●浅瀬石真司(東京町田金子ジム/NJKFウェルター級王者)
※3者30−28 判定0-3 (竹村28-30/小林28-30/和田28-30)

<第4試合 NJKFスーパーライト級次期挑戦者決定戦 3分3R(延長1R)>
○嶋田裕介(Bombo Freely)
(延長判定2−1)
●一輝(OGUNI)
※10−9(嶋田)、10−9(一輝)、10−9(嶋田)
※本戦判定は29−29、29−29、29−28(嶋田)でドロー

<第3試合 52.5kg契約 3分3R>
○大田拓真(新興ムエタイ)
(判定2−0)
●片島聡志(ウィラサクレック池袋/元WPMF日本スーパーフライ級王者)
※29−29、30−29、29−28

<第2試合 60kg契約(ヒジ無し)3分3R>
○関根“gaia”朝之(OGUNI)
(判定2−0)
●宮澤信治 (花澤)
※29−29、30−29、29−28

<第1試合 フライ級 3分3R>
△能登龍也(VALLELY)
(判定ドロー)
△酒井柚樹(はまっこムエタイ)
※30−29(酒井)、29−29、29−29
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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