【UFC】堀口、憂流迦がオランダ大会で快勝 アリスターはアルロフスキーKOで凱旋勝利

長谷川亮

堀口、判定圧勝も「1RでKO取れず悔しい

「UFCファイトナイト ロッテルダム」が日本時間8日から9日にかけ、オランダ・ロッテルダムで行われた。
 大会には日本からフライ級でランキング5位につける堀口恭司(16勝2敗)が出場。アイルランドのベテラン、ニック・シーリー(16勝11敗)と対戦した。

 今年からさらなる強さを求めアメリカ・フロリダ州のアメリカン・トップ・チーム(ATT)所属となり練習を積む堀口は、これが移籍後の第1戦。
 試合が始まると、しかしこれまでと変わらぬ軽快なフットワークで、まずはあいさつ代わりの右ストレートを打ち込む。続けてステップに乗った左フックを当てるとシーリーがダウン。駆け寄った堀口はパウンドをまとめ秒殺勝利かと思われたが、シーリーは腕で顔をガードして致命傷を防ぎスタンドに戻る。

 その後も堀口はフットワークを駆使して巧みに距離を作り、踏み込んでのパンチ、さらに組み付いてのテイクダウンも織り交ぜ、シーリーを下にしてのパウンドでは重い音を響かせ客席を沸かせる(1R)。

 堀口は打撃の後で距離が詰まった場面でも、胸を離して距離を取るのではなく積極的にシーリーを倒しに行き、各ラウンドでテイクダウンに成功。シーリーが心身両面のタフネスを見せフィニッシュには至らなかったが、相手の打撃に空を切らせつつ自らのパンチは当て、組めば倒しと圧倒すると展開通りのポイント差で、30−26、30−27、30−27の3−0で判定勝利。

 試合後のコメントでは「本当は1RにKOを取りたかった」という感想も聞かれたが、5分3R=15分に渡り「いろいろ習っていることを試せた」のは収獲であり、ATT移籍第1戦は結果・内容ともに好発進となった。

憂流迦が一本勝ちで王座挑戦アピール

 また同じくフライ級マッチでは大会第1試合に佐々木憂流迦(18勝3敗2分)が出場。アメリカのウィリー・ゲイツ(12勝6敗)と対戦した。
 14年12月のレアンドロ・イッサ、15年6月のタイラー・ラピルーと連敗を喫した憂流迦は、バンタム級からフライ級に転向しての再起戦。

 身長177cmとこの階級では体格的優位に立つ憂流迦は、初回からウィリーの前足へ低空タックル、グラウンドからウィリーが立とうとしたところで背後へ回ってオンブの体勢となるなど、さっそく得意の展開を見せていく。

 1R後半にはややウィリーの右強打に襲われる場面も見られた憂流迦だが、2Rとなり仕切り直すとウィリーの両足を手で豪快に刈りテイクダウン。再度バックへ回ると今度は逃がさず、パンチとヒジを送って首を開けさせリアネイキッド・チョークで仕留めた。

 勝利した憂流迦は2連敗の苦しさに言及しつつも、「震災で大変な人がたくさんいて、少しでも元気を送れればと思いました」と語り、「マイティ・マウス(=デメトリアス・ジョンソン)に(※トムとジェリーの)ジェリーが来た、楽しい追いかけっこをしようと伝えてください」とフライ級の絶対王者にメッセージした。

完勝アリスターはヘビー級王座戴冠に自信

 大会メインイベントには地元オランダ出身でヘビー級ランキングで3位につけるアリスター・オーフレイム(40勝14敗1NC)が出場、同級5位で元王者のアンドレイ・アルロフスキー(25勝11敗1NC)と対戦した。

 開始間もなく、右から入ってつないだアルロフスキーの連打にさらされたアリスターだが、これはガードしてしのぎ、その後はパンチャーのアルロフスキーに対し距離を取って左ミドル、右ローと蹴りで応戦。さらに1R終盤には外掛けでテイクダウンを奪い、鉄槌を打ち込み終了する。

 2Rも同様に距離を作って展開したアリスターはジャンプして2段蹴り式の前蹴りを放ち、これをアルロフスキーのアゴにヒット。続けて左フックでもとらえるとアルロフスキーはたまらず倒れ、そこへ右フックのパウンドを連打したところでレフェリーが試合をストップした(TKO)。

 かつてリョート・マチダがランディ・クートゥアを破ったのを彷彿させる蹴りをさく裂させたアリスターは試合後、11月に予定されるマジソン・スクエア・ガーデン大会でヘビー級王者となり、来年のオランダ大会で防衛戦を行いたいと今後のプランを語った。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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