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男子レスリング、「惨敗」の現実
ロンドン五輪から4年で出場枠半減

追い込めなかった強化合宿

 フリーの和田強化委員長にも話を聞いた。


──五輪最終予選が終わって、フリーは2枠はとどまった。


「もう1〜2枠増やすことを目的にやってきたので残念。なかなかタイミングが合わない選手もいた。連戦続きでコンディションが合わないところもあった。(昨年12月の)全日本選手権が終わってから1〜2位の選手を中心に強化してきたが、本番では取りきれない、守りきれないといった部分が出てしまった」


──選考と選手のバランスが合っていない部分もあったのでは?


「選考方法が決まってから1位と2位の選手を中心にやってきた。学生が多かったので、授業でなかなか合宿に参加できなかったり、ケガもあってコンディション的な部分で十分に合宿で追い込めなかったところもあった。メンバーがガラリと変わったところもあったけど、1位、2位まで上がってきた者を評価するのが強化委員会の仕事。最終予選で勝てる目的でやってきたつもり。ただ、やってはきたものの、ケガ人がちょっと多かった。スパーリングができない選手も数名いた。全員がそろわない時もあった」


──ナショナルチームとしてのまとまりが足りなかった?


「そこは学生もいたので仕方ない。できないところで調整してやらないといけないけど、全員が同じ塊になって常に一緒に強化合宿という感じではなかった。状況がそういうことだったので仕方ない。アジア予選で出場枠を獲得したフリー57キロ級の樋口黎も学生(日本体育大)だし。リオまでうまく調整しながら強化していく」


──階級の変更で4年前と比べ、五輪の階級はフリー、グレコローマンとも1階級ずつ減った。そのせいで世界の勢力図も変わってきた?


「内容的には技術も必要だが、プラス体力レースというところもある。あと強豪国のロシアの選手が国籍を変えて出場しているケースが増えている気がした。キューバの選手もイタリアやカナダに移って出場していた。われわれの時代からすると、それほど強豪国でなかった国がそういった形で実力をつけてきているというか、レベルの高い選手が出場していると思った」

「ここで立ち止まっても意味はない」

五輪出場を決めているフリー57キロ級の樋口(写真)ら、将来有望な若手選手も多い。母国開催となる2020年に向けて、男子レスリングは立ち止まっているわけにはいかない
五輪出場を決めているフリー57キロ級の樋口(写真)ら、将来有望な若手選手も多い。母国開催となる2020年に向けて、男子レスリングは立ち止まっているわけにはいかない【写真は共同】

 希望がないわけではない。


 夢を断たれ現役にピリオドを打ち指導者を目指す者もいるが、年齢的に2020年の東京五輪を目指す者もいる。フリーを見れば、65キロ級の藤波勇飛(山梨学院大)、97キロ級の山本康稀(GSA)、125キロ級の田中哲矢(自衛隊)はいずれも若く、シニアの国際規模の大会では今回が初の代表だった。


 グレコローマン130キロ級で最終予選に出場して3回戦で夢を断たれた園田新(拓殖大)は後悔がないと言ったらうそになると切り出した。


「ここで立ち止まっても意味はない。もう4年後の東京五輪に気持ちは切り替えました」


 今回の試練を糧にできるかどうかは全て本人次第。リオへの切符は手にできなかったが、未来への投資にはなったと信じたい。

布施鋼治

1963年7月25日、札幌市出身。得意分野は格闘技。中でもアマチュアレスリング、ムエタイ(キックボクシング)、MMAへの造詣が深い。取材対象に対してはヒット・アンド・アウェイを繰り返す手法で、学生時代から執筆活動を続けている。Numberでは'90年代半ばからSCORE CARDを連載中。2008年7月に上梓した「吉田沙保里 119連勝の方程式」(新潮社)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に「東京12チャンネル運動部の情熱」(集英社)、「格闘技絶対王者列伝」(宝島社)などがある。

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